擬等角解析および粗幾何による正則力学系とそのモジュライ空間の研究
Project/Area Number |
22K03344
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
志賀 啓成 京都産業大学, 理学部, 教授 (10154189)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 擬等角写像 / 双曲幾何学 / 正則力学系 / 粗幾何 / モジュライ空間 |
Outline of Research at the Start |
Klein群の不連続領域及びFatou集合の周期成分の解析は,極限集合とJulia集合の解析でもある.これには,従来からの幾何学的函数論の手法とこれらの集合の力学系的不変性を組み合わせて研究するが,さらに最近のcoarse geometryの発展も取り入れながら行う. 有理関数の力学系においては,有理写像の3次元双曲空間の(半群)作用を考察検討し,Klein群の不連続領域に研究では,双曲空間における群の作用にcoarse geometryと幾何学的函数論の連携について考察する.
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Outline of Annual Research Achievements |
擬等角写像と双曲幾何学との関連性について調べた.リーマン面上の双曲測地線に対する擬等角変形の影響について考察した.具体的には双曲測地線間の距離の変動について研究し,擬等角写像の最大歪曲度を用いてその変化を評価した.その際に,ある種の極値問題が重要であることが認識され,その評価について研究した.実際には,それが単射半径と深い関連があることを発見し,そのことと古典的な幾何学的函数論の議論を用いて,有効な評価を得た.この手法は他に類を見ないもので,更なる応用ができるものと期待している. また,位相的に無限型のリーマン面の擬等角変形に着目し,ショットキー群の変形空間と古典的なカントール集合の変形空間の関係を解明し,後者がある種の普遍性を持っていることを示した.この考察をさらに押し進めて,一般化されたカントール集合が擬等角同値になるとき,その最大歪曲度についてのカントール集合を構成する無限列の挙動を用いて評価した. さらに,擬円周がDirichlet有限な調和関数への有界作用素を誘導するという事実を一般のリーマン面に拡張した.これはコンパクトリーマン面におけるSchippers-Staubachの結果の拡張である.これは開リーマン面の理想境界の特質を表すものとして今後の研究が期待される. これらの研究においては,解析的な手法に加えて,幾何学的・位相幾何学的手法を組み合わせて用いるのが特徴である.このことによって,超越的な結果も得ることができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に上げた研究に加えて,双曲計量と擬等角変形の研究が進んでいる.これは,ある種の擬闘距離性を含む議論で,幾何学的函数論と双曲気化を組み合わせた新しいアイディアを含んでいる.本研究課題の手法にマッチしたもので,すでに部分的ではあるが結果を得ている. 以上のことから概ね順調な進展状況と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
Klein群と有理関数の力学系には様々な共通点が見出されている.この観察から,D. Sullivanは両者の間にある共通の理論体系を構築することをこの二つの研究分野の研究指針として提唱している.これは“Sullivanの辞書”して知られている.本研究では,この研究指針に鑑みて,Klein群の不連続領域と有理関数のFatou領域の擬等角同値性,Klein群の変形空間と有理関数のタイヒミュラー空間およびそれらに作用する写像類群の構造を,quasiconformal mappingsおよびcoarse geometryを用いて研究する.このような観点から,関連する研究論文や研究書を参考にして新たなアイディアを模索するとともに,国内外のセミナー・研究集会に参加して研究者と意見交換・討論を積極的に行う.
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)