Project/Area Number |
22K03360
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
永井 敦 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (90304039)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 離散ソボレフ不等式 / 離散ラプラシアン / グリーン行列 / 筋交問題 / 一般化逆行列 / 筋交い問題 / グラフ理論 / ソボレフ不等式 / グリーン関数 / 離散 |
Outline of Research at the Start |
離散ソボレフ不等式に関する数理研究および応用研究を行う。 数理研究については、ソボレフ不等式の最良定数を求める一連の手順をグラフ(V,E)上で展開する。Aをグラフに対応する離散ラプラシアンとして、Aの一般化逆行列Gを求める。Gはグリーン関数の離散化と見なせる。行列Gの再生核構造を調べて離散ソボレフ不等式の最良評価を行う。 応用研究については、離散ソボレフ不等式の最良定数はグラフの硬さを表す一つの指標と考えられる。離散ソボレフ不等式は材料力学、建築工学、電気工学の数学的基盤を与えることが期待される。理工学の分野に新しい視点を加え、応用を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
グリーン関数と離散ソボレフ不等式の研究を行った。特に以下3点の研究を進めた。 (1) 棒のたわみ問題のグリーン関数の正値性と階層構造:棒のたわみを記述する4階線形常微分方程式の半区間 [0,∞) における4種類(固定端、回転端、スリップ端、自由端)の境界値問題を設定し、そのグリーン関数の正値性と異なる境界条件下でのグリーン関数同士の大小関係(階層構造)を証明した。本研究成果は1編の論文としてMath. J. Okayama Univ.に発表した。 (2) l^p 型離散ソボレフ不等式の研究:完全グラフ上の離散ラプラシアン行列と対応するグリーン行列(ムーア・ペンローズ一般化逆行列)から、l^p 型離散ソボレフ不等式を導出して、不等式の等号成立条件、つまり最良定数と最良ベクトルを具体的に求めた。本研究成果は1編の論文として現在投稿中である。また2024年3月に大阪公立大学にて行われた日本数学会応用数学セッションにて1件の発表を行った。 (3) 離散ソボレフ不等式の筋交問題への応用:1行n列および2行n列の格子の適切な位置に筋交を入れた筋交モデルを考える。格子が歪まないための筋交の位置についてはServatius による2部グラフを用いた先駆的研究がある。本研究では筋交モデルを平面グラフと見なしたときに、その離散ラプラシアン行列と対応するグリーン行列を調べた。さらに各種筋交モデルに対応する離散ソボレフ不等式の最良定数と最良ベクトルを求めた。最良定数は筋交モデルの硬さを表す1つの指標であり、筋交いをどの位置にどの向きに入れたときに最良定数が小さく、言い換えれば筋交モデルが歪みにくくなるのかについて数学的基盤を与えた。本研究成果は2024年3月早稲田大学で行われた離散数理研究会で招待講演を行い、現在論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績(1)で述べた線形常微分方程式の境界値問題のグリーン関数については研究が順調に進んでいる一方で、離散化やl^p型離散ソボレフ不等式への拡張、工学への応用については未解決のままになっている問題が多い。 研究実績(2)で述べたl^p型離散ソボレフ不等式の最良定数の研究については、完全グラフ上の不等式の論文を執筆し投稿中である。その他のグラフにおけるl^p型離散ソボレフ不等式の最良定数や最良ベクトルは未解決であり、計算を進めている状態である。 研究実績(3)で述べた離散ソボレフ不等式の筋交問題への応用については、論文を執筆している段階であり、応用数理系の雑誌論文に投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
工学上重要な各種グラフ上の離散ラプラシアン行列と対応するグリーン行列を求めて詳しく調べる。具体的にはグリーン行列の再生核行列としての構造を究明して、再生等式から離散ソボレフ不等式を導出し、不等式の最良定数と最良ベクトルを求める。離散ソボレフ不等式の視点から工学の諸問題の数学的基盤を構築する。今後は以下の3つのテーマを中心に研究を進める。 (1) 各種正多面体上のl^p型離散ソボレフ不等式:現在正8面体グラフ上のl^p型離散ソボレフ不等式の最良評価に関する計算を行っている段階であり、今後もこの計算を進めるとともに他のグラフについても拡張を試みる予定である。 (2) 離散ソボレフ不等式の筋交問題への応用:簡単な場合(1xn型格子や2xn型格子)については、ある程度の研究成果が出ている。この成果を厳密に証明するとともに、より大きなサイズの格子についても計算を進める予定である。 (3) C60フラーレンやその仲間における離散ソボレフ不等式:過去にC60(切頂正20面体)と1812個の異性体上の離散ソボレフ不等式研究を行った。本研究成果の高次フラーレンや低次フラーレンへの拡張についても研究を進め、化学への応用を目指す。
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