Project/Area Number |
22K03372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菱田 俊明 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (60257243)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 非圧縮粘性流 / Navier-Stokes方程式 / Fluid-structure / 漸近挙動 / 発展作用素 / 安定性 / self-propelled運動 / 外部問題 / 時間周期解 / 最適制御 / Navier-Stokes |
Outline of Research at the Start |
3次元空間において無限遠まで拡がる非圧縮粘性流体の中を物体が運動している。物体は剛体とし、したがってその運動は並進と回転で記述される。物体と流体、双方の運動の相互作用の問題においては、流体の占める外部領域が運動する物体の補集合としてこれも未知であるから、自由度6の自由境界問題と見られるが、実際に解析するときは運動する物体に固定した座標系によって方程式を書き直す。本研究の核心をなす最も基本的な問題は、その座標系によって定常あるいは時間周期的な運動を主流として、その漸近安定性と擾乱の時間減衰率、および主流じたいの空間無限遠での減衰構造、さらに物体の運動の境界上での最適制御である。
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Outline of Annual Research Achievements |
3次元空間をみたす非圧縮粘性流体の中に運動する剛体があるとき、両者の運動の相互作用は流れを支配するNavier-Stokes方程式と剛体の運動量保存則および角運動量保存則に従う6次元常微分方程式との連成系によって記述される。この方程式系の適切性と解の諸性質、特に時空間変数についての漸近挙動や安定性は興味深いが、現代の解析学のよる知見は今なお限定的であり、種々の未解決問題に挑むことは本研究の中心的な課題である。本年度の成果は、剛体の形状を球の場合に限るが、定常解や時間周期解等の主流の安定性理論を構築したことである。自明解の安定性であっても (剛体の形状は任意として) その安定性の証明は近年ようやく与えられたが、非自明解の安定性はいかなる意味においても本研究によるものが初めての成果であり、その詳細は2024年2月に国際専門誌 J. Math. Fluid Mech. から出版された。主流が定常解であっても新規な成果であるが、研究代表者の提案した方法によれば、主流は時間変数に依存してもよい。このとき、主流の周りでの線型化方程式は非自励系となるが、それの生成する2径数発展作用素の時間減衰評価が得られるからである。主流の空間無限遠での減衰度がその安定性と密接に関わることはよく知られており、上記の論文の主定理はスケール臨界減衰の場合をカバーしないが、僅かでも劣臨界であればよく、その重要な例としてself-propelled運動や並進効果によって航跡を伴う運動が挙げられる。これらの剛体運動がその周りの流れの良い減衰度を引き起こすことは、主流の空間無限遠での漸近展開の構造を通して理解される。証明の鍵である発展作用素の長時間挙動の導出において本質的なことは、連成系全体でのエネルギー関係式、双対性の議論、圧力の初期時刻近くでの評価、局所エネルギー減衰評価および空間無限遠での評価である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非圧縮粘性流体の中の物体の運動の制御と安定性、流れの空間減衰構造、流体と物体両者の運動の相互作用の数学的解明が本研究の主題である。特に安定性を擾乱の長時間減衰率と併せて調べる際に鍵となる主流周りでの線型化方程式の初期値問題の解の減衰評価について、研究代表者が外部問題(剛体の運動は与えられ相互作用しない問題)において開発した発展作用素の長時間挙動の解析手法が、Fluid-structure相互作用問題へも応用できたことは重要な成果であった。連成系全体の消散構造を活かすべくTucsnak-Takahashi両氏が提案したmonolithic approachと研究代表者の方法をかみ合わせるところに非自明な工夫を要したが、まずは剛体の形状が球の場合に、ほぼ最良と言える形での安定性定理を得た。空間無限遠近くでの解の時間減衰評価を得る際に、解の切断によって圧力が現れるためにその初期時刻近くでの評価が重要であることはよく知られている。Navier-Stokes方程式を深く解析するうえで圧力項の解析は常に論点となるが、Fluid-structure相互作用問題においては既知の方法は通用しない。本研究では、線型化作用素の主要部をなすFluid-structure作用素の構造に基づいて、その分数ベキを援用してレゾルベントの漸近挙動を求めることを通して、圧力の所要の評価を導いた。この方法は当問題の今後の取り扱いにも示唆を与えるものと期待される。また、安定性定理が述べる擾乱の空間1階微分の長時間減衰率は自明解周りでのそれをも改良する成果で、期待しうる最良な減衰率である。得られた成果は球体のself-propelled運動をカバーし、研究代表者がSilvestre, Takahashi両氏との共同研究によって2017年と2020年に発表した境界上での制御問題の解の安定性解析に応用される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の重要な展開として3つの道を述べたい。いずれも本年度に進展させた相互作用問題の解の安定性解析と関わることである。1つめは空間2次元の問題である。空間2次元と3次元のいずれが難しいかは論点により、解の滑らかさが問題となる場合は3次元のほうが難しいが、解の漸近挙動が問題となる場合は2次元のほうが格段に難しい。相互作用の問題でなくても、基本解の挙動を考えると想像できることである。研究代表者による発展作用素の漸近解析は、空間3次元を含めて3次元以上は取り扱えるが、2次元では議論の前半のステージですでに機能しない。この困難を克服する解析が待望される。2点めと3点めは、空間3次元の問題へ戻して、まずは剛体の形状が球体であっても、主流がスケール臨界減衰する場合の解析である。例えば前進も後退もしない時間周期的な並進運動が典型的である。そのような主流を係数にもつ線型項を主要部からの摂動とみなすのは限界があり、新しい解析の展開が求められる。3点めは剛体の形状を一般として安定性理論を構築し直すことである。monolithic approachだけで定式化したのでは非線型項が非有界係数を伴い立ち行かない。そこで、剛体方程式と流体方程式をいったん切り離すdecoupling approachとの併用が望まれる。このやりかたで進む部分においては連成系全体の消散構造を活用できない不利益はあるが、研究代表者には剛体運動が指定されたときのNavier-Stokes方程式の研究の蓄積があり、それに基づく知見を投入できる。安定性以前の問題として、初期関数に滑らかさを一切課さないときの時間局所適切性であっても、一般形状の剛体運動を扱う既存の2つの手法 (エネルギー法あるいは局所座標変換法)では本質的に通用せず、研究代表者が進める荷重を用いたdecoupling approachが有効である。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)