Project/Area Number |
22K03442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 義弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10349227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 祥輔 群馬工業高等専門学校, 一般教科(自然科学), 助教 (70777979)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 超離散力学系 / トロピカル差分 / max-plus方程式 / 離散力学系 / 非線形 / 分岐現象 / 超離散法 / 力学系 |
Outline of Research at the Start |
分岐現象・時空パターン形成現象を表現する連続モデルに対して、適切な差分化を行い、超離散法を適用することで得られる離散モデル(特にmax-plus方程式)を解析する。そして、連続モデルと離散モデルとの関連を探ることによって、超離散力学系の理解を深める。さらに、得られた結果をmax-plus代数で記述可能と思われる現実系に応用する。 本研究は、非線形動力学の手法に従って、パラメータを制限することなく超離散化方程式の解の性質を相平面上の解の流れに基づいて解析するものであり、パラメータを制限しないという意味で先行の研究結果を包含するものであると共に、超離散化方程式に対する新たな解析手法を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
自然界にみられる分岐現象・時空パターン形成現象に対して、非線形動力学、非平衡統計力学の観点からこれまで数多くの研究が行われてきた。例えば、Belousov-Zhabotinski(BZ)反応に見られる時空パターンは、活性因子、抑制因子なる連続変数の時間発展に着目した連立非線形微分方程式(連続モデル)を用いて記述される。このような非線形方程式は、解を数学的に厳密に導出することが困難なため、解の定性的振る舞いを考察する事が一般的であり、統計物理学、生物物理学を含む複雑系全般のダイナミクスに対する理解に貢献している。 一方、対極的なアプローチとして、セルオートマトン(CA)やmax-plus方程式といった、時間、空間及び状態量を離散的に取り扱うモデル(離散モデル)も発展してきた。ここで、以下の数理科学的「問い」が提起される。すなわち、「ある分岐現象・パターン形成現象を連続モデルと離散モデルによって記述した場合、両者の間にはどのような数理的関係があるか」というものである。この問題は、非線形非平衡現象に対する統合的な記述方法を見出す際の重要な問題であり、ウルフラムの第9番目の問題としても広く知られている。 本研究課題2年目となる2023年度は、主にリミットサイクルを示す系に対する超離散化を行い、「現在までの進捗状況」で示すような結果を得た。この結果については「研究発表」に示されているように、力学系および可積分系に関する研究集会、応用数理国際会議、日本物理学会、応用数学合同研究集会、日本応用数理学会などで口頭発表を行い、査読付き論文として出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リミットサイクル解を有する離散力学系において、系に含まれるパラメータの値によっては、リミットサイクルが超離散状態となることが確認されている。我々の研究では、この例であるトロピカル差分化された離散 negative feedback モデルと離散 Selkov モデルに着目し、モデルに含まれる時間刻みに相当する変数τを分岐パラメータとして、超離散状態がどのように出現するかを確認した。例えば、離散 negative feedback モデルの場合、その固定点においてτ=τ0 で Neimark-Sacker 分岐を起こし、 τ > τ0 でリミットサイクル解を有する。そこで、リミットサイクル解に含まれる状態に対して位相を定義して、離散 negative feedback モデルの分岐図を θ に着目して描いた。その結果、τ > τ* において、リミットサイクル解が超離散状態となっていることが分かった。さらに、離散 negative feedback モデルの4回反復写像に対する固定点を求めることによって、リミットサイクルには安定なものと不安定なものが存在することが確認できた。これらの結果から、離散 negative feedback モデルにおいて、 τ = τ* でsaddle-node 分岐が生じ、超離散状態はこの saddle-node 分岐によって位相がロックされた状態と見なせることが分かった。さらに、我々は離散 negative feedback モデルに対して超離散極限公式を適用して得られる max-plus 方程式が有する超離散リミットサイクル解との対応関係についても議論した。なお、この性質は離散 Selkov モデルにおいても同様に成立することを確認した。これらの成果は申請時の計画に沿ったものであることから、「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を踏まえて、トロピカル差分化された離散力学系、並びに、超離散力学における同期現象・パターン形成現象を取り扱う。特に、(一般化)Selkovモデル、ならびに、超離散リミットサイクルを示すモデルに対して空間変動項を導入することで得られるパターン形成を解析する。一般に、連続モデルにおいては、リミットサイクル振動する状態に空間依存性を導入することによって、ターゲットパターンやスパイラルパターンといった特徴的なパターンの出現が知られている。従って、超離散リミットサイクルにおいても同様のパターンが出現するかを確認する。その他、共振-発火型ニューロンモデル等、リセットイベントを示す現実的な問題にも適用できるかどうかを確認する。
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