Project/Area Number |
22K03456
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
門内 隆明 成蹊大学, 理工学部, 講師 (30514476)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
Keywords | 非平衡統計力学 / エントロピー生成 |
Outline of Research at the Start |
平衡系におけるエントロピー最大の原理に対応するような非平衡系特有の理論を構築することは、現代物理学における重要な課題である。 そのために、操作的な観点を積極的に取り入れ、どの局所物理量を扱えば非平衡状態から定常状態への緩和が起こるか孤立量子系の内包する大自由度性および統計性に基づいて調べる。また、小さな系に外場を印加したときのカレント等の揺らぎを扱い、実際に多くの場合に満たされる条件の下で輸送現象が内包する熱力学的構造について古典系・量子系に対する非平衡統計力学を構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
量子系における緩和・熱平衡化やミクロ系における輸送現象をはじめとする非平衡現象について、急速に理解が深まりつつある。しかし、熱平衡化のダイナミクスについては多くのことが不明であり未解決問題である。また、熱平衡化を仮定した上でミクロ系の動作原理を扱う理論として、確率的熱力学が発展しつつある。特に、カレントの2次までのキュムラントで決まるprecisionにはエントロピー生成の平均値で決まる上限を与える熱力学的不確定性関係が多くの系で成立し、近年注目されている。一方、古典系・量子系において、エントロピー生成の揺らぎに対するすべてのキュムラントを扱う揺らぎの定理が一般的に成立する。 本研究では、任意の有限時間の時間反転対称操作に対する熱力学的不確定性関係が成立する必要十分条件を、局所保存量に対する揺らぎの定理と大偏差原理に基づき導出した。この成果は、特定のモデルによらず、時間反転対称なprotocolの下で動作し、エネルギーや粒子数等の局所保存量をやり取りする一般的な系について熱力学的不確定性関係が成立する幾何学的な条件を与える。そして、この結果を多変数に適用することで、複数のカレントを扱う場合、扱うカレントに応じて複数ある熱力学的不確定性関係を表す不等式間に包含関係があること、短時間極限において等号が成立するメカニズムを明示しかつカレントの平均と分散の時間およびaffinityに対するスケーリング指数の間に一般的な関係があることを明らかにした点が非自明である。 この成果は、論文として公刊した。また、2つの国際会議において口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ミクロな非平衡系の動作原理に関して、2次のキュムラントまでで決まる熱力学的不確定性関係の成立する幾何学的な必要十分条件を、エントロピー生成の揺らぎの対称性である揺らぎの定理の観点から示すことが出来た。これは多変数の場合にも拡張出来ること、短時間領域において平均と分散の時間およびaffinityに対するスケーリング指数の一般的な関係を与える点においても非自明と考えられる。この成果は、論文として公刊し、応用とともに2つの国際会議で口頭発表を行った。当初の予定より進んだと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きミクロな非平衡系の動作原理について、古典系・量子系ともに調べる。 そして得られた成果は、論文や国際会議等で発表を行う。
|