Incorporation of nonlocal interactions using nonlinear solutions into the flow of conserved turbulent quantities in wavenumber space
Project/Area Number |
22K03460
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
高岡 正憲 同志社大学, 理工学部, 教授 (20236186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 英一 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (60710811)
横山 直人 東京電機大学, 工学部, 教授 (80512730)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 異種共存乱流 / 局所フラックスベクトル / 臨界平衡 / 準地衡乱流 / ドリフト波 / Rossby波 / 3波相互作用 / 乱流 / 保存量 / 波数空間 / 非局所相互作用 / 非線形解 |
Outline of Research at the Start |
乱流は大小様々な渦や波の複雑な運動で大自由度かつ強非線形性の不可逆現象である。殆どの乱流では、大スケールに非等方性の構造を持つ波動乱流と小スケールに等方性の渦乱流とが共存している(異種共存乱流)。異種乱流間の遷移域に関する臨界平衡と呼ばれる定性的な考えがあるが、「各保存量のスケール間の流れ」の定量化法は未だ確立されていない。我々は最近、異種共存乱流の各保存量のスケール間の局所フラックスを決定する方法を提案し理論予測と合致する結果を得た。他方、波数空間での非局所相互作用が問題となる場合も多い。本研究では、内部構造を有する非線形解を用いて非局所性を取り込むことで提案手法を発展させ適用対象を広げる。
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Outline of Annual Research Achievements |
多くの乱流では、大スケールに非等方性の波動乱流と小スケールに等方性の渦乱流とが共存した異種共存乱流となっている。我々は、こういった異種共存乱流における保存量の非等方なカスケードを定量化する手法として、局所フラックスベクトルを提案した。他方、弱乱流理論において共鳴相互作用が重要な役割をすることから、異種共存乱流でも非局所相互作用が無視できない状況があると考えられる。このようなの状況も扱えるような定量化法を提案することを目的として取り組んでいる。 Charney-Hasegawa-Mima(CHM)方程式は、磁化プラズマ中のドリフト波や準地衡流中のRossby波に対して導かれ、異種共存乱流を示す最も簡単な系の一つである。非等方性を表す線形のβ項が加わった式であるが、2次元Navier-Stokes方程式と同様にエネルギーとエンストロフィの2重カスケードが可能である。また、1991年頃にBalkらにより、この系にはゾノストロフィと呼ばれる準保存量があることが指摘され、3重カスケードも調べられるようになってきた。 外力と散逸を加えて統計的定常状態にある3重カスケードを示す乱流を、局所フラックスベクトルを用いることで、各保存量のカスケードの等方および非等方構造を明らかにした。特に、エネルギーとゾノストロフィはRhines波数よりも低波数領域で非等方構造を示すことや、カスケードが流れ込む波数と実空間の帯状流の周期との関係を明らかにした。また、Rossby半径(プラズマではLarmor半径)に相当するスケール付近でエネルギー逆カスケードがブロック(阻害)されることは知られていたが、Rossby半径に相当するパラメターを変更して局所フラックスベクトルを調べることにより、エネルギーのブロッキングと非等方カスケードとの関係を明らかにした。これらの研究成果は国際学会2件と国内学会1件として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度もCOVID-19の流行のいわゆる第7波や第8波があり、そのために研究会の開催形態も直前まで確定していなかったり、大学の職務の方でも対応の変更が求められエフォートが大きく消費された。こういった状況下で長期の計画を立てることが難しく、当初の予定よりもやや遅れてしまったが、年が明けて令和5年となってからは社会的にもCOVID-19の流行以前と同様にするという動きが出てきて、遅れを取り戻せる環境が整いつつある。 また、研究面においても、局所フラックスベクトルを精度良く求めるには統計的定常状態で多くの時刻のデータを用いるのが望ましいが、統計的定常状態にある乱流ではスペクトルが連続的に分布しており、非局所相互作用が顕著になるパラメターを探すのに予期せず苦労している。長波短波共鳴相互作用を例に上げるまでもなく共鳴相互作用は波数空課の非局所相互作用の基本メカニズムである。共鳴相互作用を手がかりに使用するパラメター同定をしようと考えている。励起されたモード数が少なく非線形性が弱い場合は、弱乱流理論の解析表現などから共鳴相互作用を具体的に取り出すことができるが、異種共存乱流の統計的定常状態では、どのモードからどのモードへエネルギーが与えられたのかを同定することが難しい。そこで、少数のモードだけを励起した、つまり波数空間で局在した擾乱の時間発展により、非局所相互作用を捉えようとしているが、擾乱が高波数側になると統計的定常状態の乱流の揺らぎが擾乱に比して大きいことや擾乱の波数分布の拡散が早いことなどにより、思うような結果が得られず試行錯誤をしながら適切な擾乱を決めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況の遅れの研究面での理由は先に書いたとおり、統計的定常状態にある乱流における非局所相互作用が顕著になるパラメターの選出なので、先ずは時間発展をする非定常の乱流にまで視野を広げる予定である。波動乱流を対象とした弱乱流理論が適用可能な状況では、波数空間の局所性とは独立な時間的な共鳴相互作用が重要な役割をすることが知られている。本研究で対象としている異種共存乱流は低波数側に波動乱流が現れるので、低波数域に波数空間で局在化した初期条件を入れて共鳴相互作用を調べやすい状況を作り、局所フラックスベクトルに非局所相互作用を取り込むことを考えている。 波数空間は線形微分作用素の固有空間であるが、非局所相互作用を記述するのに適しているとは限らない。非線形解は多くの波数モードを内在しており、その相互作用を利用して非局所相互作用を取り込むことを考えている。Charney-Hasegawa-Mima方程式には、実空間で局在したソリトンのようなモドンとよばれる解が存在することが知られている。モドン解の相互作用を保存量の波数空間での流れという視点から調べる。実空間と波数空間とは双対ベクトル空間となっており、実空間の局所相互作用から波数空間の非局所相互作用に関する知見が得られるものと考えている。 他方、3次元の乱流に対する回転や成層の効果により大規模構造の非等方化が進むと、そのスペクトルの傾きの急峻さからも分かるように、低波数域の励起モードと高波数域のモードとの非局所相互作用が無視できなくなる。低波数側では波動力学が卓越するので共鳴相互作用に非線形性を取り込み、臨界平衡を利用して異種乱流間の遷移領域を解明する。また、不安定周期軌道を足がかりに非線形解を求め、カオス力学をベースに乱流アトラクターの再構築を試みる。これらの知見から非局所相互作用の取り込みへと研究を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)