Project/Area Number |
22K03514
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉本 暁 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 准教授 (90432690)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 層状窒化ハロゲン化物超伝導体 / STM/STS / 超伝導ギャップ / ナノ不均一性 / ストライプ構造 / STM / トンネル分光 / 層状窒化塩化物超伝導体 / エキゾチック超伝導 / ナノ電子構造 |
Outline of Research at the Start |
高い臨界温度Tcをもつ非従来型超伝導物質のほとんどは、2次元伝導面をもつ層状超伝導体であるが、その伝導面間の層間物質やその構造は、臨界温度Tcを決める重要な要因となっている。本研究課題では、異なるTcを持つアルカリ金属等をインターカレートした層状窒化物系超伝導体のSTM/S法による微視的な実空間観測を行い、超伝導ギャップの不均一性と電子状態密度の周期的構造の有無や性質を重点的に捉え、Tc決定要因となる層間の性質、つまり2次元性及び層間原子の乱れやチャージが伝導面の超伝導ギャップや周期的構造のような電子状態の秩序化に対して、どのように影響しているか等をつかみ、Tcの決定要因を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、非従来型超伝導機構を持つとされている層状窒化ハロゲン化物超伝導体におけるインターカレート層間物質の状態と超伝導性との関連について、STM/STSを駆使して原子スケールの電子状態密度を計測することで、新たな知見を得る研究である。
2023年度は、引き続きNa-TiNClの超伝導性(Tc)の違いによる超伝導ギャップ(超伝導の一番の特徴的エネルギー)及び電子状態密度変調(電子のさざなみ)について、Tcが最大の最適Naインターカレート量 (x=0.25)の超伝導物質、Naインターカレート量を約半分 (x=0.1)に減らしたややTcの低い超伝導物質、そして、非超伝導母物質pri-TiNCl (x=0)の複数種試料のギャップ及び状態密度変調構造の比較を行った。特に2023年度は初めてNaインターカレート量を約半分 (x=0.1) に減らしたSTM/STS観測も行い、ギャップ観測される空間の割合は、pri-TiNClほどではないものの大幅に減少していることを見出しているが、安定したデータをとるべく現在その詳細を観測している。 非超伝導母物質pri-TiNClでは明瞭な超伝導ギャップピークを示さないことを昨年度より示していたが、エネルギースケールの異なる別の大きなギャップ (Eg=50~100 meV) が観測されており、その詳細を調べるため、併せてSTM/STSと相補的な情報が得られる低温裂開接合法による状態密度スペクトルの温度依存性を測定した。その結果から、複数種のギャップの存在に起因するとみられる特徴的な温度(T*~ 120 K)が存在することを見出し、銅酸化物と類似した擬ギャップの存在を示唆した。これらの特徴的な温度T*と大きなギャップ値Egの比は2Eg/kT* ~10程度となり、他の非従来型超伝導物質等のそれとほぼ同じ性質をもつという興味深い性質を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子状態密度変調(電子のさざなみ)のストライプ構造の起源の手がかりにせまる実験、及び、層間物質のインターカレート量によるギャップ変化の観測が順調に進んでいるといえる。それらの測定から得られた擬ギャップの存在とその性質をせまる実験も進んでおり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、層間物質なしでも、ストライプ構造を示す事実を明らかにしてきていたが、2023年度は層間物質の量を変化させる実験が進んだ。今後は、Na, K以外の異なる層間物質種のギャップ及びストライプ構造の質的な変化を、層間長さの変化としてとらえ、STM/STS実験及び低温裂開接合によるトンネルスペクトル実験により系統的に探る予定である。また、同時に進めている銅酸化物超伝導体の低温裂開接合トンネルスペクトルにおけるジョセフソン電流についての性質と、当該物質の層状窒化物超伝導のそれとの比較を行い、超伝導ギャップの他に、超電流密度というパラメーターを指標にして非従来型超伝導の性質をより深める予定である。
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