Project/Area Number |
22K03527
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 秀紀 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (00397746)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | スピントロニクス / ハーフメタル / ホイスラー合金 / 放射光 / 電子状態 / 新分光法開発 / スピン偏極電子状態 / 光電子分光 / X線吸収分光 |
Outline of Research at the Start |
Co 基ホイスラー合金(Co2MnSi、Co2MnGe、Co2FeSi 等)や Mn 基ホイスラー合金(Mn2VAl 等)の純良単結晶試料、および不規則合金に対して、高輝度放射光を利用した共鳴非弾性X線散乱、軟X線角度分解光電子分光、X線吸収磁気円二色性による複合研究を行う。電子構造と磁気秩序構造の詳細を明らかにすることにより、ハーフメタル型ホイスラー合金のスピン偏極電子構造と物性制御機構を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は硬X線光電子分光、軟X線吸収分光、共鳴非弾性X線散乱等の様々な放射光分光測定を駆使することにより、ハーフメタル型電子構造を有するCo及びMn基フルホイスラー合金のスピン偏極電子構造の詳細を明らかにすることを目的としている。特にトンネル磁気抵抗(TMR)素子の性能が室温において大きく減ずる理由についての知見を得ることを最終的な目標としている。
これまで特にフェリ磁性体Mn2VAlに着目し、磁場印加状態における内殻準位のスピン偏極を利用して、磁場中における硬X線光電子分光の測定手法の開発を重点的に行い、明瞭な磁気円二色性を再現性良く測定することに成功した。さらに、これらのMCD信号が磁場反転に対する符号反転の確認に成功し、本質的なスピン偏極状態を反映したスペクトルであることを検証した。また、直接的に価電子帯電子構造の詳細を調べるべく、軟X線角度分解光電子分光(ARPES)により、ARPESで得られた三次元フェルミ面マッピングに明瞭な円偏光依存性を見出した(国内学会2件)。以上に加え、ハーフメタル 型ホイスラー合金Co2MnSiの2p吸収スペクトルに現れる広域X線吸収微細構造(EXAFS)に磁気円二色性(MEXAFS)の成果、及び、Co2MnSiとMn2VAlに対する共鳴非弾性軟X線散乱の結果について国際会議において発表を行なった(国際会議招待講演1件、国際会議発表2件)。
さらに、上記のHAXPES、ARPES、及びX線吸収スペクトルの偏光変更依存性測定技術を強相関希土類化合物に適用することにより、非従来型超伝導体CeNi2Ge2のCe4f電子構造の基底状態の対称性の決定および異方的混成効果の起源について明らかにした(論文2件、プレスリリース1件)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HAXPES-MCDについては大きな進展があり、実証実験を積み重ねて磁場反転にも成功し、本質的な実験スペクトルの計測に成功し、実験技術を確立することに成功した。この技術はスピントロニクス材料研究のみならず、希土類や酸化物等の強相関電子系においても利用できると考えられるため、高い波及効果が期待できる。
一方、軟X線ARPESについては当初予期していなかった装置の不調により、残念ながら予定より進捗が遅れている。昨年度の放射光施設のビームラインの不調は、現在は光源装置の更新により高度化され、より高いフラックス、集光条件で実験が可能となったが、不運なことに光電子分析器の不調が判明し、現時点では高精度のARPES測定が困難な状況にある。これまで高精度測定に向けた予備実験を定期的に実施することにより実験技術は着実に蓄積されているため、装置的な問題が解決した暁には重点的に実験を推進する予定である。また、磁気EXAFSについても放射光施設の挿入光源の不調により現在実験が不可能であり、尚且つ復旧の目処も立っていない状況にある。しかしながら、既に測定を終えている高精度の実験結果を用いて理論研究グループとの共同研究を推進中である。国際会議において発表を行う等、計画よりやや遅れがあるものの着実な進展がある。
以上を総合すると、研究計画の進捗は、不慮のやむ終えない事情が重なり、やや遅れている状況にあると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
Co基ホイスラー合金のスピン偏極電子構造を系統的に測定するべく、RIXS-MCDの測定を中心に実験を遂行する。特にHAXPES-MCDについては、これまで確立した実験技術をさらに発展させ、磁場印加方向の制御や温度変化測定を実施することにより、ハーフメタル型ホイスラー合金で問題となっているスピン偏極度の温度変化の起源についての知見を得ることを目指し、研究を遂行する。
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