コロイドゲルの物性研究:非平衡・平衡ゲルの弾性、塑性、振動、音波輸送
Project/Area Number |
22K03543
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13040:Biophysics, chemical physics and soft matter physics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 英如 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00776875)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | コロイド粒子ゲル / 粒子間散逸 / 泡 / エマルジョン / 粘弾性 / 振動状態 / 有効媒質理論 / 非平衡ゲル / フラクタル構造 / 弾性 / 分子振動 / ガラス / 不規則系 / 固体物性 / 分子シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
不規則系とは、粒子が不規則な状態で固まった物質を指す。その代表例としてガラスとゲルが存在する。ガラスでは粒子が高密度でギュウギュウな状態で固まっている。一方で、ゲルでは粒子が引力相互作用でネットワーク状に繋がりスカスカな状態で固まっている。これまでの不規則系の研究において、高密度不規則系であるガラスの固体物性(弾性、振動特性など)の理解が大きく発展した。そこで、本研究ではガラス研究で培った知見や解析手法を用いて、低密度不規則系のゲルの固体物性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はコロイド粒子ゲルの固体物性を明らかにすることを目的としている。これまでに非平衡ゲルの固体物性を明らかにした。引き続き本年度では、平衡ゲルの固体物性を理解する予定であった。実際に分子動力学シミュレーションを用いて平衡ゲルを再現することに成功した。ところが研究を進めるにあたり、粒子ゲルではフラクタル構造とともに粒子間散逸の効果が重要になってくる認識を得た。粒子間散逸の程度によって生成されるフラクタル構造が異なるとともに、固体物性自身も変わってくる。そこで、まずは粒子間散逸がアモルファス固体の物性に与える影響を理解することを優先すべきであると判断した。粒子間散逸が特に重要になるアモルファス系は泡やエマルジョンであるので、そこで本年度は泡やエマルジョンの固体物性を理解することを目標に設定した。繰り返しになるが、粒子間散逸の効果の理解は、元々の目標であったコロイド粒子ゲルの固体物性の理解に直接的に寄与するものである。したがって、本年度は泡やエマルジョンに焦点を当てて研究を実施し、以下の成果を得た。 (1)泡の粒子モデル(調和ポテンシャルで相互作用する粒子系)の分子動力学シミュレーションを実施して、粘弾性特性、音波伝搬特性を調べた。その結果、粒子間散逸がある系は、それが無いガラスとは大きく異なる物性を示すことを明らかにできた。特に、anomalous viscous lossと呼ばれる異常粘弾性特性が、粒子間散逸によってもたらされることを明らかにした。 (2)ガラスの粘弾性特性、音波伝搬特性を説明する理論に「粒子間散逸」の効果を導入して、泡を記述する理論へと拡張した。拡張した理論は(1)のシミュレーション結果を説明するものである。 (3)さらに、ガラスの固体物性理論として成功を収めている「有効媒質理論」を拡張して、泡の粘弾性特性を説明することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、非平衡ゲルと平衡ゲルの2つのタイプのコロイド粒子ゲルの固体物性を明らかにすることを目標に掲げている。これまでに非平衡ゲルの固体物性を明らかにすることができた。特に、同じ不規則な固体であっても、ゲルはガラスとは大きく異なる物性をもつことを示すことができて、インパクトある成果を残すことができている。もう一方の平衡ゲルの研究に入る前に、本年度は粒子間散逸の効果を研究した。その結果、粒子間散逸がもたらす特有の固体物性を明らかにできた。またガラスの理論に粒子間散逸の効果を組み込み拡張することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平衡ゲルの固体物性の研究を行う。 (1)ファンデルワールスポテンシャルに長距離斥力が働く粒子系を用いて分子動力学シミュレーションを行い、平衡ゲルを生成する。 (2)生成した平衡ゲルに対して、構造解析、弾性率解析、振動解析を行い、平衡ゲルのフラクタル構造、固体物性(弾性率、振動特性)を明らかにしていく。 (3)得られた結果を下にして、平衡ゲルと非平衡ゲルの違い、あるいは平衡ゲルとガラスの違いに着目しながら、平衡ゲルの固体物性を理解していく。 (4)粒子間散逸の効果に着目して、平衡ゲルと非平衡ゲルの固体物性を総括する。
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Report
(2 results)
Research Products
(20 results)