Project/Area Number |
22K03569
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14010:Fundamental plasma-related
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 龍史 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (40318796)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 非線形電磁気学 / 自己力 / 輻射反作用 / 自己エネルギー / 高強度場 |
Outline of Research at the Start |
Maxwell-Lorentz系は広範な古典電磁力学現象を精度良く記述できることが分かっている。しかし高強度場中の荷電粒子のように輻射が重要となる領域では、電磁場を外場として扱うLorentz方程式は自己力を取り入れた方程式に拡張される必要がある。その候補としてLorentz-Abraham-Dirac方程式が最も広く受け入れられているが、数学的な問題からその正当性に疑問がある。このため高エネルギー領域の古典電磁力学は未だ完成していない。そこで本研究では非線形電磁気学モデルを場の基礎方程式として採用することで運動方程式の高エネルギー領域への拡張を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
荷電粒子が発生する際、発生する輻射場によりエネルギーが輸送されてゆくが、同時に輻射場から荷電粒子への反作用が存在する。これは輻射反作用あるいは電磁的自己力と呼ばれており、荷電粒子自身への輻射電磁場による電磁気力によるものである。荷電粒子として電子について考えると、古典電磁気学では素粒子の一つである電子は大きさを持たないため、電子が誘起する電磁場は電子の存在する点で発散し、その点を除いて電磁場は定義される。このため自己力を直接評価することはできず、発散を回避するため自己エネルギーの繰り込みの手法が用いられている。 この手法により導出された自己力を含む運動方程式はLorentz-Abraham-Dirac (LAD)と呼ばれている。この方程式はある程度受け入れられてはいるが、数学的には問題を含んでいることが分かっている。特に、暴走解やpre-acceleration解が存在するため、一般解のみならず数値解を求めることも容易ではない。 本研究では繰り込みによらない自己力の評価の仕方について検討する。古典電磁気学の基礎方程式であるMaxwell方程式が電磁場に対する線形方程式であるのに対し、非線形性をもつ電磁気学がいくつか提案されている。本研究ではこれらの非線形方程式を用いた自己力の評価と、それによる荷電粒子に対する運動方程式の導出を目的としている。本年度は、Maxwell方程式におけるLienard-Wiechertポテンシャルに相当する輻射場の導出を試みた。非線形系であるため一般的な解を導出することは、極めて困難であるため、特定の運動を対象に検討を行った
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに得られている非線形電磁気系における解析解は限られており、一般的な輻射場に対するものは得られていない。そこでいつくかの特別な運動を対象に輻射場の解析を行った。それらは、一様加速運動と等速円運動である。いずれも電荷運動の軌道は極めて単純であることから、上述のLAD方程式の解析等でも用いられることが多い。しかし、このような系であっても非線形電磁気の方程式を解くことは容易ではなく、加速場とコンシステントな輻射場の導出は現時点で成功していない。 一様加速運動については、その軌道が静止系でされる固有加速度をパラメータとする双曲線となることが分かっている。マクスウェル方程式系を用いた解析では、慣性座標系あるいはそれに対してローレンツ変換で関係づけられる局所ローレンツ系における解析解(Born解、Schott解)がよく知られている。非線形電磁気学系を用いた場合は、電場および磁束密度と、電束密度および磁場との間の関係を表す構成方程式が古典電磁気学で知られる電磁場から計算されるローレンツ不変量の非線形関数であるため、電荷の運動方程式に現れる加速電場と、電荷運動により誘起される輻射場が非線形方程式系を同時に満足するような解を探す必要がある。これは一般的には難しいため、Barutの展開方法など近似法を援用したが現状では解決できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策としては、他の非線形電磁気学系に対象を広げて検討を続ける予定である。本年度は非線形電磁気学の中でも比較的非線形性の弱い1つのモデルについて検討してきた。非線形電磁気学には多数のモデルが提案されており、電磁場の非線形性が異なる形で考慮されている。構成方程式が非線形となることには変わりがないが、その方程式が変わることで解あるいは近似解が得られる可能性も考えられるので検討する予定である。また、等速円運動については検討の途中であるため引き続き研究を進めてゆく予定である。
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