Project/Area Number |
22K03588
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14030:Applied plasma science-related
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
星野 正光 上智大学, 理工学部, 教授 (40392112)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 電子衝突 / 分子解離 / 質量分析 / プラズマ素過程 / 衝突断面積 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、半導体プロセスや核融合反応の理解にむけたプラズマモデリングのための素過程データとして利用される電子衝突断面積において、特にデータの少ない分子解離で生成されるイオンやラジカルのプラズマ中での役割を、原子・分子レベルで定量的に評価し、より現実に近い高精度なモデリングを行うための衝突断面積データベースの更新を目指す。具体的にはこれまで行ってきた電子衝撃法と出現質量分析法を組み合わせ、電子衝突で生成された解離種の同定とその生成比を測定するための装置開発を行い、低温プラズマ中における分子解離機構を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プロセスプラズマ中の挙動をより現実に近い状態で解明するため、プラズマモデリングの基礎データとなる電子衝突断面積、特にデータが希少な分子解離で生成される正・負イオンやラジカルの生成断面積測定を行う。申請者がこれまで行ってきた電子分光技術と出現質量分析法を組み合わせることで、プラズマ中での分子解離過程の詳細な機構を原子・分子レベルで定量的に直接測定、評価することに特化した実験装置の開発を行なってきた。具体的には、第1電子銃から放出された低エネルギー電子と標的分子との衝突解離で生成された解離種を、第2電子銃で再び電離し質量分析する方法である。一般に2回衝突の実験は、信号強度が微弱で長時間の測定が見込まれるため、大強度電子ビームとノイズやバックグラウンドの軽減が必要不可欠である。さらに、第2電子銃によって電離された中性解離イオンと第1電子銃で直接電離されたイオンを区別する困難さもあり、慎重なデータ解析と検証が求められる。そのため、時間的な制限も含め本申請課題では既存の装置を一部改良して進めてきた。 初年度(令和4年度)は、主に実験装置の開発、組み立て、真空排気、動作確認を中心に行なった。令和5年度は、主に開発した装置の動作確認を兼ね、第1電子銃のみを用いた交差ビーム法によるアンモニア分子の解離性電子付着過程の測定を試験的に行った。測定と解析の結果、装置の動作確認ができたことに加え、これまで着目されてこなかった共鳴状態とそこからの解離経路についての新たな知見を得ることに成功した。しかしながら、測定の途中段階において第1電子銃の出力できる入射エネルギー範囲に限界があり、低エネルギー領域で測定に耐えうる十分なビーム強度が得られないことが判明した。そのため後半は電子ビーム軌道シミュレーションと実際の電子銃動作テストを行ったことから当初の計画からはやや遅れる結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度である令和4年度は、当時の半導体不足による真空排気装置の多少の納期遅れに見舞われたが、概ね当初の計画通り装置の設計・開発を進めることができた。特に、新たに開発した第1電子銃における電子ビームの加速エネルギーの許容範囲とビーム収束を制御するために必要な静電レンズ電圧を見積もるために、電子ビーム軌道シミュレーションを入念に行い、かなり広い範囲での電子ビームの生成条件の導出に成功した。令和5年度は、その結果にもとづき開発した実験装置の動作確認を主として行った。また、確認の一環としてアンモニア分子の解離性電子付着に関する測定を行い、これまで着目されてこなかった新たな解離経路に関する知見を得た。しかしながら、確認実験を進めていく上で、本研究が注目する特に低エネルギー領域の電子ビーム生成において、実質的な電子ビーム強度が当初の予想より大幅に不足しており、十分な生成イオンの信号強度が得られないことが判明した。そこで、一度実験装置を解体、調整、電子ビーム制御機構の見直し、改良を施すことでその問題点の改善に大半の時間を要することとなった。現在、改良した実験装置を真空装置に導入し、再度動作確認を行うことを目指し調整中である。そのため、当初予定していた計画よりやや遅れている。しかしながら、この電子ビーム強度は本申請課題の要であることから、この問題点が解決し、改めて動作確認をすることで、最終年度である令和6年度には、当初の目的であった解離性電離、及び解離性電子付着過程で生成された正・負イオンの精密測定、さらには部分的に中性解離過程に関する新たな知見を得るための測定に挑戦できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度(令和4年度)は概ね計画通りに装置開発を実行できた。令和5年度は、動作確認の途中、低エネルギー領域における実質的な電子ビームの強度の不足から十分な信号強度が得られないことが判明し、その改善に後半の大部分を費やした。しかしながら、イオンの計測部分である四重極質量分析装置の準備、真空排気系はすでに開発が完了し、動作の確認もできていることから、第1電子銃の電子ビーム強度の増大により速やかに当初の目標であった幅広い電子エネルギー範囲での測定が可能になる。そこで最終年度となる令和6年度は、前半ですでに令和5年度に測定を完了した第1電子銃を用いたビーム交差実験による分子の電離、解離で生成されたイオンの計測による再現性の確認に加え、様々な標的分子に対して同様の測定と比較を行い、改良後の詳細な動作確認を改めて行う予定である。そして、当初の目的であった第1電子銃と第2電子銃から放出された電子ビームを用いて標的分子を解離・電離させた検出に向けた実験準備を進め、バックグラウンドを精密に評価することで、実際の中性解離過程の測定のための準備を行う。後半では、具体的に過去に報告例のあるCF4分子の中性解離過程の測定を行い、先行研究と直接比較することで、装置の信頼性を確認する。その結果に応じて、これまで測定例のないプロセス分子や地球環境分子へと測定対象を拡張し、電子衝突断面積データセットの更新を目指す。 特に最終年度は、採択期間中に得られた測定結果や実験装置の開発状況を取りまとめ、国内外の原子分子に関連する会議やプラズマプロセス、核融合プラズマに関する諸会議にて成果報告を行う予定である。
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