Mechanical structure of mesons studied by lattice QCD simulations
Project/Area Number |
22K03619
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北澤 正清 京都大学, 基礎物理学研究所, 講師 (10452418)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 格子QCD / エネルギー運動量テンソル / 機械学習 / 重力形状因子 / 重クォーク / 閉じ込め相転移 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、エネルギー運動量テンソル(EMT)の空間分布に着目して格子QCD大規模数値シミュレーションによる中間子構造の解析を行う。EMTの空間分布からは、重力形状因子と呼ばれるハドロン構造の情報が得られ、これによってハドロンの質量分布や力学的構造などの新しい情報を得ることを目指している。また、超高温物質中におけるクォーク解放相転移温度前後で中間子が解離する際のEMT空間構造の温度依存性を測定し、閉じ込め相転移を微視的に理解するための知見を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、格子QCD大規模数値シミュレーションにより静的クォークおよび中間子周辺のエネルギー運動量テンソルの空間分布を測定することを目指している。このような測定を真空及び超高温物質中におけるクォーク解放相転移温度前後で行うことで、中間子構造やクォーク閉じ込めを微視的に理解するための知見を得る。この研究では、エネルギー運動量テンソルの測定にグラディエントフロー法と呼ばれる手法を用いることで効率的な測定を実現する。 当該年度は、これらの目標実現に向けた前段階の研究として、現実クォーク質量の格子QCDシミュレーションにおける、グラディエントフロー法を用いた熱力学量の測定に取り組んだ。このシミュレーションを二つの離散化法(PACS-CS, PACS10)に基づいて行ったが、これまでに有効な結果を得ていたクエンチQCDや重いクォーク質量の場合とは異なり、測定される熱力学の振る舞いが先行研究で得られたものと大きく異なる結果が得られた。この問題の解決は喫緊の課題であり、解析に使用しているゲージ配位の熱化が達成されていない可能性などを調べている。 この研究と並行してエネルギー運動量テンソルに関連した派生的な研究にも取り組み、複数の成果を挙げることができた。我々は以前に、境界条件が課された純ゲージ理論のエネルギー運動量テンソルをグラディエントフロー法を用いて測定する研究を行い、境界条件に対する奇妙な応答を得ていた。当該年度は、このような系を記述するための有効模型を提案し、境界条件に対する応答を調べ、数値計算結果の考察に有効な結果を得た。また、1+1次元系に現れるキンク解周辺のエネルギー運動量テンソルを量子効果を含めて解析する研究も行った。この研究で得られた重力形状因子は、本研究で得られる数値計算結果を理解する際の参考になりうるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではグラディエントフロー法を用いたエネルギー運動量テンソルの測定を行うため、この手法の信頼性の検証が重要なステップとなる。我々は以前に、純ゲージ理論およびクォーク質量の重いQCDにおいてこの手法を用いた解析を行い、有効な結果を得ていた。しかし、当該年度に初めてこの手法を現実クォーク質量の格子QCDシミュレーションに適用したところ、この手法で計算された熱力学量が従来の結果と大きく異なる振る舞いを示すという予期しない結果が得られた。本研究課題の遂行にはこの問題の解決が必須だが、現実クォーク質量の格子QCDシミュレーションは大きな数値計算リソースを必要とすることもあり、現状では問題の原因が突き止められていない状況にある。現在のところ、ゲージ配位の熱化が達成されていない可能性などを疑っており、追加の数値シミュレーションを行っている段階にある。 その一方で、本研究の派生的な研究課題で複数の成果が得られるという有用な進捗も得られた。特に、境界条件が課された純ゲージ理論のエネルギー運動量テンソルを研究するための有効模型を用いた研究での成果を強調したい。これにより、グラディエントフロー法で以前に得ていた数値計算結果の考察が可能となった。現状では、我々が以前に得た数値シミュレーション結果を十分に説明できないが、模型の改良によって解決可能だと考えており、現在そのような研究に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の最重要課題は、グラディエントフロー法を用いた熱力学量測定の数値シミュレーションで発生した問題の解決である。現在、問題の原因究明に向けて追加の数値シミュレーションを行っているが、これらの結果が得られ次第、熱力学量測定に関する研究成果を論文として発表し、本研究課題の基盤技術を確立したい。その後に、本研究の最終目標である静的クォークおよび中間子周辺のエネルギー運動量テンソルの空間分布の測定へと研究を進めることを予定している。 その一方で、現実クォーク質量における数値シミュレーションの問題が解決できない場合も見据え、グラディエントフロー法が機能することが分かっている純ゲージ理論や重いクォーク質量の場合においてエネルギー運動量テンソルの空間分布を調べる研究にも取り組みたい。純ゲージ理論では臨界温度より低温では単体静的クォーク系を作ることができないが、臨界温度より高温や複数の静的クォークを置いた系などにおけるエネルギー運動量テンソルの測定といった興味深い課題がある。グラディエントフロー法の応用として、境界条件が課された系におけるエネルギー運動量テンソルの測定を臨界温度より低温やクォークを含んだ系へと拡張する数値シミュレーションにも取り組みたい。さらに、これらの数値計算から派生的に現れる理論的な研究にも随時取り組んでいくことを予定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)