Project/Area Number |
22K03620
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津村 浩二 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40648101)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ヒッグスボソン / ヒッグス |
Outline of Research at the Start |
拡張ヒッグス有効理論にもとづいてこれまで見逃されてきた理論空間を発見し, そこからヒッグスセクターの新原理に迫る。現在, 実験データの解析に使われている標準模型有効理論やヒッグス有効理論には, 理論に内包されている制約があり, その予言する現象は十分に一般的でない。そこで, より一般性の高い拡張ヒッグス有効理論を用いてヒッグス生成・崩壊過程の解析を行い, これまで見過ごされてきた新たな理論空間を見出す。
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Outline of Annual Research Achievements |
現在、実験データの解析に使われている標準模型有効理論やヒッグス有効理論には、理論に内包されている制約があり、その予言する現象は十分に一般的でないため、一般性の高い拡張ヒッグス有効理論を用いて素粒子現象の解析を行っている。ヒッグス場とフェルミオンとの一般的な相互作用を含む有効理論を用いることで高輝度 LHC や ILC などの高エネルギー 加速器実験におけるヒッグス結合の測定だけではなくあらゆる素粒子反応過程において新物理の効果を抜き出すことができる。この手法はミュオンの磁気双極子モーメント、ニュートリノや暗黒物質の相互作用を研究する枠組みとしても応用できるため、これらの過程に注目して研究を行っている。 この研究を遂行する上で、拡張された有効理論の予言と紫外完全な模型の予言を比較することは極めて重要であり、そのためにミュオンの磁気双極子能率の不一致問題を解決する模型や、ニュートリノの質量行列の構造を生み出す模型、暗黒物質の直接探索実験の結果をうまく説明する暗黒物質模型を紫外完全な模型として構築することは重要である。そこで、有効理論の研究と並行して紫外完全な模型の研究も行った。 ヒッグスボソンの質量階層性問題は未解決問題として認識されている。その解決方法として知られる模型ではヒッグス結合の間に非自明な関係が要請されることが多い。そのような非自明な関係を見出すために、磁気的フラックスを伴う余剰次元模型についても研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミュオンの磁気双極子能率の理論予言値と実験値の乖離問題を解決する模型において、ニュートリノの質量と混合の予言について再検討を行った。ニュートリノ振動実験の結果は複数の実験において、まだ十分に結果が収束しておらず、結果のアップデートによりこれまでに排除されたと考えられていた模型が再び許容されるという状況になっていることを示した。B中間子の崩壊を通じた新たな制限を考慮すると、模型をより強く制約できることも分かった。 ヒッグスボソンの質量階層性問題の解決を目指して、磁気的フラックスを伴う余剰次元理論の研究を行った。これまでの研究されてきたフラックスを伴う高次元理論で、その取り扱いの容易さから主にT2の余剰次元が研究されてきた。T^2より複雑な余剰次元を考えると多様なフラックスを理論に導入することが出来るため、ヒッグスボソンの階層性問題にそのまま適用できるかどうかは非自明な問題であった。この点をT^2nまで拡張した余剰次元の一般的な取り扱い方法を構築し、それによって多様なフラックスが導入された余剰次元模型においても階層性問題が解決できることを明らかにした。 さらに、暗黒物質の直接検出実験の強い制限を南部ゴールドストンボソンの性質により避ける擬南部ゴールドストンボソン暗黒物質の紫外完全な模型についての研究を引き続いて行い、大統一理論の枠組みに埋め込むことに成功した。暗黒物質の安定性を保証するメカニズムが大統一理論に埋め込むと保たれないことを示し、一方で大統一理論と整合する形で暗黒物質を安定化させる対称性を課せることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒッグスボソンの検証をとりまく状況は着実に進展している。得られた結果はより強く素粒子標準模型の予言するヒッグスボソンを示唆しているが、一方で、ミュオンの磁気双極子能率の理論予言値と実験値の乖離問題や、ニュートリノの質量起源、暗黒物質の起源など解決すべき課題は多い。これらの諸問題を手がかりとして拡張ヒッグス場有効理論の予言を整理していく。
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