微視的構造・反応計算を用いた陽子散乱・α散乱解析による原子核の励起モードの解明
Project/Area Number |
22K03633
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金田 佳子 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40300678)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | クラスター構造 / 中性子過剰核 / 非弾性散乱 / 双極子励起 / 微視的構造模型 / α散乱 |
Outline of Research at the Start |
拡張した反対称化分子動力学法(AMD法)を用いて微視的核構造計算を行い、安定・ 不安定原子核の基底状態と励起状態について、アイソベクター型(IV:陽子と中性子が逆位相)とアイソスカラー型(IS:陽子と中性子の位相がそろったモード)の励起強度を解析し、不安定原子核の低エネルギー励起に現れる新奇な励起モードを理論的に解明する。微視的構造模型の結果をインプットにした 微視的核反応計算により、陽子・α粒子の散乱実験の断面積データを解析してIS型とIV型の励起強度など各状態のアイソスピン特性を引き出し、励起モードの同定を行う。低エネルギーに出現する新しい励起現象の理論的予言し、その存在を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
拡張した反対称化分子動力学法(AMD法)を用いて微視的核構造計算を行い、安定・不安定原子核の基底状態と励起状態について、アイソベクター型(IV:陽子と中 性子が逆位相)とアイソスカラー型(IS:陽子と中性子の位相がそろったモード)の励起強度を調べた。不安定原子核の低エネルギー励起に現れる新奇な励起モードとして、クラスターモード、余剰中性子モードに注目して、新しい励起状態を理論計算で探索した。具体的には、He同位体、Be同位体の中性子過剰核における励起0+状態と励起2+状態を計算し、励起状態の構造が遷移強度にどのように寄与するか調べた。8Heにおいては、非弾性散乱を用いた観測実験により0+状態や2+状態への遷移強度がごく最近報告されている。励起状態におけるαクラスターと2中性子(ダイニュートロン)クラスターの発達が、これらの遷移強度にどのように反映されるかを調べるため、基底状態と励起状態の構造計算を行い、ダイニュートロンとαクラスターの発達を取り入れて理論模型の拡張を行った。 Be同位体においては、10Beおよび12Beについて基底状態におけるαクラスター確率を調べ、 陽子標的に対する逆運動学のαノックアウト実験データとの関連を調べた。12Beにおいては、変形の小さいpシェル閉殻配位と変形の大きなクラスター構造が量子的に混合することがわかっており、混合率がαノックアウトや非弾性散乱反応の断面積にどのように寄与するか解析し、観測する断面積から構造の情報を引き出せることを定量的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中性子過剰核の励起状態に関する実験研究が飛躍的に進歩しており、観測された断面積から遷移強度のデータが報告されている。ごく最近の実験報告では8Heの2+状態、0+状態への遷移強度の観測が発表されており、これらの実験値を直接議論するための理論計算を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、中性子過剰核の構造計算を進め、中性子過剰核におけるダイニュートロンクラスターや2中性子相関を調べる。8Heの励起状態におけるloosely boundや共鳴状態に関して、αクラスターの周りの2個のダイニュートロンの運動による3体的な励起モードを詳細に調べ、ゆるく束縛された3体系の性質を調べる。スピンゼロの3体系として、8Heにおけるα+2n+2n構造、10Beにおけるα+α+2n、および、12Cにおけるα+α+αのクラスター発達に起因した励起状態を系統的に調べ、αクラスターとダイニュートロンクラスターの類似性と相違点を明らかにする。3体系のダイナミクスを詳細に調べるために、反対称化分子動力学法の波動関数に、拡張したクラスター模型波動関数を混合させた模型空間を用いて理論計算を行い、クラスター模型波動関数に射影した模型空間で3体系の運動を解析することで、2つのダイニュートロン間の相関を議論する。さらに、ダイニュートロン相関が励起0+および2+状態の構造における役割を調べ、遷移強度への寄与を明らかにする。 αノックアウト反応に関しては、引き続きαクラスターの実験的検証への応用を進める。 12Be基底状態について逆運動学)の実験データの解析を進める。 さらに、他の原子核について核表面のαクラスター確率についての議論を進め、例えばSn同位体での観測実験を考察を進める。核表面の中性子スキンの発達がαクラスターの存在確率にどのように寄与するか考察する。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)