閾値近傍のエキゾチックハドロンの観測量への影響と内部構造の解明
Project/Area Number |
22K03637
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
兵藤 哲雄 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (60539823)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | エキゾチックハドロン / 運動量相関関数 / ハドロン分光学 |
Outline of Research at the Start |
ハドロンの内部構造の研究は、ごく最近報告されたエキゾチックな量子数を持つ新粒子 Tcc の発見を契機として新たな展開を迎えている。本計画では、新粒子 Tcc の性質を解明することを基点として、さまざまなハドロンの構造解明にも応用できる理論的枠組み構築する。具体的には(1) Tcc の生成機構の解明、(2) Tcc の内部構造の解明、を中心課題とし、閾値近傍に存在するエキゾチックハドロンの構造を解明する手法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
通常のハドロンはクォーク・反クォーク対で構成されるメソンと,クォーク3体の複合系であるバリオンに大別されるが,近年これらの分類に当てはまらないエキゾチックハドロンと呼ばれる状態の観測が報告されており,理論的・実験的に精力的に研究が行われている.2003年にBelle collaborationで観測されたX(3872)に端を発し,2021年にはLHCb collaborationによりT_ccと呼ばれるクォーク4体の複合系と思われる状態が報告され,注目を集めている.これらのエキゾチックハドロンは主にチャームクォークを含むため,生成するために高いエネルギーが必要であり,関係するハドロン間相互作用に関する情報は実験的に得られていない.しかし近年D^-p相関関数の測定が成功したことで,今後はチャームクォークを2個含むハドロン対の測定も可能になると期待されている.本研究では,エキゾチックハドロンであるT_ccとX(3872)の性質を明らかにすることを目標とし,チャームクォークを2個含むDD^*相関およびDDbar^*相関関数の理論的計算を行った.T_ccとX(3872)に関する経験的なデータに基づいて,異なる荷電状態とのチャンネル結合を持つD^0D^*+ D^+D^*0およびD^0Dbar^*0 D^+D^*-ポテンシャルを構築した.チャンネル結合とクーロン相互作用の効果を含めてD^0D^*+,D^+D^*0,D^0Dbar^*0およびD^+D^*-ペアの運動量相関関数を計算した.結果として,閾値下に準束縛状態が存在することを反映し,相関関数は特徴的なソースサイズ依存性を示すことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していたTccに関するDD*相関関数の研究を完了することができた。また、同時にX(3872)も解析の対象とすることで、チャームメソン相互作用を包括的に議論することができた。ALICE実験グループとの連携を強化し、D-p相関関数の測定の理論解析を担当し、共著論文を出版した。研究結果は国際会議での招待講演などで発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
高エネルギー衝突実験の相関関数の計算はさまざまな系に応用が可能である。例えばストレンジネスS=-2を持つバリオンのXi共鳴状態は近年新しい実験データが取得されたため、理論解析の進展が期待されている。K-Lambda相関関数の測定とXi共鳴状態の解析を並行して行う。また、クォーク自由度が混合したハドロンポテンシャルの解析を行い、相関関数におけるクォーク自由度の影響を評価する。
研究計画で予定していたもう一つの課題であるエキゾチックハドロンの内部構造の探究について、状態の複合性を模型を用いて評価する方法を拡張し、低エネルギー普遍性の帰結を明らかにする。さらにTccおよびX(3872)に応用するため、有効場の理論の手法を用いて崩壊幅およびチャンネル結合の効果を取り入れて複合性を評価する方法を確立する。
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Report
(1 results)
Research Products
(20 results)