Project/Area Number |
22K03641
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
初田 泰之 立教大学, 理学部, 准教授 (00581084)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ブラックホール摂動論 / 準固有振動モード / 超対称ゲージ理論 / ウィッテン指数 / 超対称性 / 指数 / ブラックホール / 数理物理学 / スペクトル理論 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的はブラックホールの摂動論を数理物理学の観点から独自に調べることである。ブラックホールの摂動論は単にブラックホールの性質を知ることだけに留まらず、連星ブラックホールの衝突合体に伴う重力波観測においても極めて重要な役割を果たす。広いクラスの重力理論においてブラックホール摂動論を統一的に解析する手法を開発することは科学的な価値が非常に高いと考える。一般相対論、超対称な場の量子論、弦理論、数理物理学などの異分野にまたがる問題を多面的視点で捉え直し、一方向だけでなく各々の分野に新たな知見をもたらすことを意識した研究を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はブラックホールの摂動論を数理的な観点から捉え直し、新たな解析手法などを開発しようというものである。本年度は昨年度に引き続き、ブラックホールの準固有振動モードの解析とホログラフィック原理の観点から超対称場の量子論の厳密な解析の2点を行った。
まずブラックホールの準固有振動モードの解析では、ブラックホール摂動を記述するマスター方程式に含まれるパラメータが小さいときにこれを摂動変数とみなして、準固有振動数の摂動展開を任意の次数まで計算する一般的方法を開発した。このような方法はこれまで数値的にしか計算することが難しいような複雑な問題に対しても解析的取り扱いが可能になるので、特に修正重力理論における準固有振動モードの解析に今後役立つと思われる。このことは一般相対論の検証という意味でも重要である。
もう1つは4次元最大超対称な場の量子論におけるシューア指数の厳密解析である。超対称局所化を使えば、この理論のシューア指数の経路積分は有限次元の行列積分になり、解析的な取り扱いが可能となる。本年度はウィルソンループ演算子が挿入された指数の解析を詳細に行った。特にループ演算子の表現が非常に大きい場合に行列積分から予想される解析形が非常に簡単な形になることを発見した。また表現が大きいが有限の場合にどのような補正が現れ得るかについても議論した。このような解析はAdS/CFT対応において重力側の量子補正と関係しているために今後重要となっていくと予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブラックホールの準固有振動モードの解析について、系のパラメータに関する摂動展開の一般論を構築し、それを論文にまとめて出版することができた。このような解析的手法の開発は本研究課題の主目的に沿ったものであり、計画は順調に推移していると言える。一方、超対称場の量子論の解析はまだ重力側との比較まで行っていないが、本年は場の量子論側の解析で新たに3本の学術論文を出版することができたので、こちらも順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の方針で今後の研究を進めて行く予定である。
・より複雑な系でのブラックホールの準固有振動モードの解析:特に複数のマスター方程式が連立しているような系はこれまで数値的方法に頼らざるを得なかったので、本年開発した手法を応用してこのような連立した系の解析ができるようにする。
・シューア指数の重力的解釈:ゲージ群のランクが非常に大きい場合やループ演算子の表現が非常に大きい場合の補正は重力側では超弦理論のブレーンによる補正と対応していると思われている。今後はこのような量子補正を場の量子論側、重力理論側双方で研究し、比較を行う。最終的にはブラックホールのエントロピーの微視的数え上げに応用することを目指す。
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