Project/Area Number |
22K03651
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中村 正吾 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50212098)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 液体キセノン / チェレンコフ光 / 分光測定 |
Outline of Research at the Start |
液体キセノンは真空紫外領域から近赤外領域まで透明で,幅広い波長域でチェレンコフ光を発生し得る。本研究では,液体キセノン中でβ線により発生するチェレンコフ光の発光スペクトルを,超高感度な分光測光技術を導入して世界で初めて高精度で実測する。そしてその知見に基づき,液体キセノン検出器の一般的特性の理解を深めると共に,液体キセノンを大規模に用いる最先端の宇宙素粒子実験でのチェレンコフ光の利用を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,液体キセノン(LXe)中で発生する微弱なチェレンコフ光について,真空紫外(VUV)の約160nmから近赤外(NIR)の約1000nmまでの広い波長領域で分光測定してスペクトルを求める。そして得られたスペクトルの情報から,LXe中を高速走行する荷電粒子を弁別する可能性を議論し,LXeを大規模に用いる暗黒物質探索や2重β崩壊探索,太陽ニュートリノ観測など,高速の電子の発生を伴うイベントの弁別が有用と考えられる最先端の宇宙素粒子実験でのチェレンコフ光の利用を推進する。 チェレンコフ光の分光測定は,LXeにチェッキングソースの放射線を入射して,VUV分光器と冷却CCDカメラを組み合わせた分光測光系で行なう。チェレンコフ光はシンチレーション光の約100分の1の強度の微弱光のため,シンチレーション光の寄与も正確に評価して差し引く。 2年目である今年度は,年度当初に主要な実験装置であるVUV領域対応の分光測光系の故障に見舞われたが,その原因追究に多くの時間を費やし,多大な費用を掛けて故障の原因となったVUV領域対応の冷却CCDカメラを製造国の米国で修理することで,最終的に2023年末までに分光測光系を復旧させることが出来た。その間,可視領域からNIR領域対応の分光測光系を用いてSr90線源のβ線がアクリル材に入射する際に発するチェレンコフ光を分光測定する試験を行い,アクリル材の形状によって微弱な分光光の強度が大きく変わる現象を確認して,その機構を明らかにした。また,VUV分光器内の迷光を抑制するバッフルも開発した。これらの有用な知見は,2023年8月に開かれたSMART2023研究会と2024年1月に開かれた研究会「放射線検出器とその応用」で発表した。また,本研究計画全体の意義と現状,および今後の見通しについて,2023年秋の日本物理学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度当初に主要な実験装置であるVUV領域対応の分光測光系が故障し,その原因追究と修理に多くの時間と多大な費用を費やさざるを得なくなって,研究計画の変更を余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
延期していた凹面回折格子の導入は,年度当初に予想していなかった冷却CCDカメラの修理を優先させたことで予算的に不可能になったが,その一方で,チェレンコフ光を分光測定する際の測定効率を飛躍的に上げる手法を新たに見出したので,その手法を利用することで既存の凹面回折格子で当初の計画と同等の成果を得ることを目指す。
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