Project/Area Number |
22K03659
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉田 浩司 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 教授 (80241727)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 粒子線検出器 / シンチレーター / 波長変換ファイバー / カロリメーター / 素粒子実験 / 実験核物理 |
Outline of Research at the Start |
直接CP対称性を破る中性K中間子稀崩壊探索実験の次期計画実現に向けて,KL崩壊領域側面部をカバーするBarrel Counterと呼ばれる~20mのγ線VETO検出器やその他のγ線VETO検出器の基礎開発を行う。発光が速い有機シンチレーターの特性を有し,機械的強度,加工性などにも優れたリサイクル材料を用いた蛍光材料,従来品よりも速い発光性能が期待できるWLS Fiber,口径も大きくなり,低ノイズで安定した単一光子観測が可能なMPPC等,新たに開発された素材やデバイスを積極的に活用し,検出器の性能向上を追求するとともに,製造に伴う環境負荷の低減や経済性の向上も図っていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
2項目について実験装置の開発整備をおこなった。(1) 5Gsps (1Gsps) -Digitizer を用いた簡便な検出器評価ベンチシステムをノートPCで利用できるように開発した。それをUVSOR放射光を用いたシンチレーターの物性実験で試用してみた。加速器がマルチバンチ運転している環境下でも、検出器信号のサンプリング、詳細な時間情報の収集ができ、高速なシンチレーターの時間応答(蛍光寿命が1~2ns)を測定できることを実証した。(2) 波長変換ファイバー(WLSF)の機械的な性質(光通信で使用される光ファイバーより硬質で曲げにくく折れやすい)に配慮した減衰長測定用暗箱を新たに作成した。これまで本学の先行研究で利用していた暗箱の2倍程度の容積を有し、ファイバー本体、光源、PMT等の光センサーなどの各デバイスにアクセスしやすくなり作業効率が改善された。光源も106Ru線源によるシンチレーター発光とLED発光を適宜入れ替えることができる。 本研究の前年度に、従来品よりも応答が速いと思われるWLSF材料を3候補得ていたが、これらについて、UVSOR放射光を用いて蛍光寿命等の物性実験をおこない、応答性能等の評価を確定した。うち2種については製造メーカーのカタログに記載できる値(蛍光寿命 ~1.3ns)を得ることができた。 またJ-PARC E-14 KOTO実験で新たにインストールされる荷電粒子VETO検出器「UCV」に実装される厚さ0.2mmの薄型シンチレーターについても蛍光寿命をUVSORで測定した。その主成分は1.9ns (91.4%) であり十分高速な性能を有していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように、学内の実験室や加速器(放射光)施設での測定や作業の効率化に貢献できる装置の整備を進めることができた。これらについては、これまでの実績についての解析作業やサマリ、それに基づく追加整備が若干必要ではあるものの、研究グループのスタッフや学生等の協力(マンパワー)が十分期待できる状況にあるので、次のステップに進んでいくことが可能である。 放射光施設での物性実験においては、励起発光スペクトルの高精度な2次元測定が容易となり、時間相関単一光子計数法における実験条件の決定(励起波長の選定)をより詳細におこなうことができるようになったので、これまでの測定では埋もれてしまっていた発光成分の時間性能を測定することもできるようになっていくと思われる。 また山形大学グループは、東北大学電子光理学研究センター(ELPH)において標識化光子ビームライン用の検出器開発をおこなってきており、Tagging Counter用にMPPCを高速応答に対応させる技術・経験を積み重ねてきているが、これはそのまま本研究の光デバイス関連のスタディとしても進捗させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2種の高速応答の波長変換ファイバー(WLSF)がメーカーにより量産可能になった状況を受けて、これらを実装したサンドイッチカロリメーターの実現に向けた予備実験等をおこなっていきたい。 リサイクル材料も含めたプラスティックシンチレーターとWLSFの組み合わせを具体的に検討し(それぞれの吸光および発光スペクトルの様相は重要である)WLSF読み出し系を試作していく。当初は光電子増倍管を用いて検出器全体の応答性能(獲得光電子数、エネルギー分解能、応答速度など)をスタディしていくが、MPPCの利用も目指す。J-PARC E14 KOTO STEP 2 ではVETO検出器にも良い位置分解能を有することが求められるので、WLSF集光系の光電気信号変換デバイスとしてMPPCを用いることにより,検出器にワイヤーチェンバーのような機能を持たせることが可能であろうと考えられるからである。新世代のMPPCは低ノイズであり、単一光子測定も容易にできるようになってきているので、十分に実現可能なアイディアであろうと思われる。 これまでの研究で幾ばくかの鉛板や光電子増倍管がすでにあるので、ある程度の見込みが出てきたところでサンドイッチとして積層して、さらにスタディを継続していきたい。
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