Project/Area Number |
22K03661
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 勢也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (00747743)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | 原子核物理学実験 / 宇宙核物理学 / 不安定核ビーム / X線バースト / rp過程 / トロイの木馬法 / 冷却気体標的開発 / 爆発的水素燃焼過程 |
Outline of Research at the Start |
X線バーストなどの爆発的な天体では、高温・高密度の環境のため原子核反応が活発に起こっているが、特に、α/陽子捕獲反応の連鎖が、爆発の光強度の時間変化などを特徴付けていると考えられている。しかし、このような反応断面積の多くは、未だ十分な実験データがなく、X線バーストの挙動の理解に大きな不定性を残している。この研究では、個々の重要な原子核反応のうのちひとつ、26Si(α,p)29P反応に着目し、直接測定では難しいCoulomb障壁以下のエネルギーでの反応断面積の初測定を目指す。これは、世界でも類を見ない、不安定核ビームを用いた「トロイの木馬法」の (α,p) 反応への応用によって可能になる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、直接的には測定の難しい原子核反応断面積を間接的に測定することによって、その反応が重要となるX線バーストなどの天体現象中の元素合成過程への影響を解き明かそうとするものである。当初の計画としては、研究の前段階で直接測定が適用可能な高エネルギー領域(重心系エネルギーで>3 MeV)で断面積を確定してから、トロイの木馬法による間接測定により、低エネルギー領域へデータを延伸する計画であった。しかし、前研究の直接測定では、理論的な統計モデルから予想される断面積よりも2桁程度以上も小さいことが分かり、断面積の絶対値の規格化が必要なトロイの木馬法にそのデータを適用するほどのデータの質を得られなかった。そのため、今後の研究方針については、より有用なデータを得るために、いくらかの変更が必要であると考えている。 当該年度の成果としては、今後どのような戦略を取るにしても共通で必要となる実験装置の整備を進めた。具体的には、原子核反応で出てくる荷電粒子を捉えるための複数のシリコン検出器を低ノイズかつコンパクトに使用するためのケーブルや真空フィードスルーなどの環境を整えた。また、今後どのような実験をプロポーズしていくかを決定するために、実験のシミュレーションや、研究グループ内での議論を進めている。また、不安定核である二次ビームの強度は、生成気体標的の熱耐性に依存する。この標的の試作品の試用で改善点(耐圧力性能、標的膜冷却性能)が浮き彫りになり、今後の改良を検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前研究の直接測定では、理論的な統計モデルから予想される断面積よりも2桁程度以上も小さいことが分かり、断面積の絶対値の規格化が必要なトロイの木馬法にそのデータを適用するほどのデータの質を得られなかった。そのため、当該年度の進捗としては、トロイの木馬に特化した実験セットアップの整備というよりは、実験の内容を変更したとしても共通で必要となる実験装置の整備にとどまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針については、より有用なデータを得るために、当初の計画からいくらかの変更が必要であると考えている。トロイの木馬を有効化するためには、断面積の絶対値の規格化をするデータが必要であるため、その質を上げるための直接測定を再度行うのは、一つのアイディアである。または、よりビーム強度を上げて統計量を稼ぐために、時間反転反応によって断面積の測定をすることも考えられる。あるいは、X線バーストでの元素合成過程中の他の重要な原子核反応に測定の主眼を移す戦略も有効かもしれない。いずれの戦略を取るにせよ、共通で必要となる実験装置の整備を進めることは重要である。シリコン検出器を通常よりも多数使用する必要があるため、確実に運用するために検出器の増強、ケーブル類、フィードスルー類、プリアンプ類、信号処理回路系統、データ収集系統の高度化・効率化を進めていく。また、安定核ビームから生成される不安定核ビームの強度を上げることも統計量を増やす上で重要であり、そのための生成標的の耐熱性能を上げるための伝熱シミュレーション、気体標的容器の試作、気体循環用のポンプ性能の増強なども検討していく。
|