Project/Area Number |
22K03692
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小山 貴裕 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (00738396)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 分子分光学 / 星間分子 / 回転遷移 / 実験室分光 / リン化合物 / 炭素鎖分子 / 分光学 / 純回転遷移 |
Outline of Research at the Start |
リンは生命にとって必須の元素であり,太陽型原始星周りでのその存在量や分布の解明は,生命発生の起源の解明につながる。ALMA望遠鏡などの高感度観測装置が稼働している現在,観測によってこれに取り組むことが可能となっている。しかし,実験室でのリンを含む分子の分光データが不足しているために,本格的研究は進んでいない。本研究では,ALMA望遠鏡用の受信機を転用した室内分光装置を用いて,リン化合物の高精度分光測定を行い,その遷移周波数と強度を精密に決定する。これらを星間化学研究の基盤的知見として公開すると共に,原始星まわりの高感度観測に利用し,リンを含む星間分子の存在条件や生成過程を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
極低温,超高真空の星間空間では,地球環境下では見られない特異な化学反応によって,様々な星間分子が作られる。原始地球の形成時,あるいは彗星・塵などによってそれらが地球にもたらされ,生命の発生に繋がった可能性があることから,星間分子の生成過程や,惑星系のもととなる原始惑星系円盤の化学組成を明らかにすることは,天文学研究の重要な課題の一つとなっている。なかでも,118種類ある元素の内,リンは細胞膜を構成するリン脂質や遺伝子を担うデオキシリボ核酸を構成する生命にとって必須の元素である。しかし,リン化合物について,実験室での精密な分光測定データが限られているために,星間空間におけるリン化合物の研究は,他の分子に比べて大幅に遅れている。本研究は,この問題に,リンを含む分子のミリ波サブミリ波帯での直接(実験室)分光測定により取り組む。ALMA 望遠鏡は,230 GHz 帯 (Band6),350 GHz帯 (Band7)で特に,非常に高感度かつ高分解能の観測がなされており,実際,観測論文のおよそ7 割がこれらの周波数帯のデータを使ったものである。本研究に用いる放射型分子分光計SUMIRE は,このBand6 (215-265 GHz)での分子の高感度直接分光が可能な世界で唯一の装置である。 昨年度は, (1)測定される分子輝線への地磁気の効果を打ち消すための電磁コイルのガスセル前後,左右,上下への設置,(2)分子の放電生成用のホロカソード電極のガスセルへの導入,(3)セル冷却用の液体窒素の自動流量コントロールシステムの構築,(4)納入が1年遅れていた拡散ポンプの実験室への設置,を行った。また,それらが連携して正しく機能することを,一硫化炭素および一酸化硫黄の輝線を用いて確認した。これらの化学種はHeのガスフロー中での二硫化炭素と酸素の放電を用いて,ガスセル内に生成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大幅に遅れていた拡散ポンプが昨年度納入されたことから,想定していた分光装置の作成が完了できた。 また,その拡散ポンプ内の圧力を正確にモニターする必要があったため,熱陰極電離真空計を購入した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験装置の製作が完了したことから,一硫化炭素や一酸化硫黄などを用いて電極に印加する電圧,試料ガスの圧力,濃度など実験条件の最適化を行う。また,ラジカル種を測定することで,磁場補正コイルの適切な印加電圧を決定する。これらが完了次第,メチルホスフィン三種(P(CH3)3,P(CH3)2H,P(CH3)H2)などの輝線の測定を行い,BAND6と7における正確な遷移周波数を決定する。 決定した遷移周波数を元に,アルマ望遠鏡の観測結果の中に対応するラインが無いか確認し,これら分子の存在量や分布および星間空間での生成過程を明らかにする。
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