Project/Area Number |
22K03770
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高田 陽一郎 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (80466458)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 粘性流体 / InSAR / 断層すべり / 内陸地震 / 余効変動 |
Outline of Research at the Start |
InSARおよびGNSS観測によって東北地方の火山地域で内陸地震に伴い近隣の高温媒質の流動が観測された。また、台湾では内陸地震に伴い近隣のマッドダイアピル(泥)の変形が観測された。このように断層運動と粘性流動は相互作用するが、詳細なメカニズムは明らかでない。そこで内陸地震の余効変動に的を絞り、数値シミュレーションを用いて断層運動とそれに近接する領域の粘性流動を並列して解くことで、両者の相互作用を定量的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2008年岩手宮城内陸地震にUnicycle(Barbot et al., 2017; Moore et al., 2017)を適用するにあたり、昨年度に引き続き数値不安定性の解決に努めた。断層面上ですべりを与えるグリッドと応力を評価するグリッドを一致させた結果、計算精度は上がった。しかし初期条件である地震時すべり(Iinuma et al., 2009)に含まれるすべりベクトルの急激な空間変化の影響を受けるようになった。すべりの「大きさ」はインバージョン解析の際にスムーズに変化するように拘束されているが、「方向」は(特にすべりが小さい領域で)大きく変わっており、これが強い応力擾乱を引き起こして余効すべりの伸展を妨げている。このような小さなすべりは殆ど地表変位を引き起こさないことからインバージョン解析の誤差と考えて良い。そこで地震時すべりの大きさに閾値を設け、これを下回る場合にはすべり量を0として計算してみた。しかし、すべり量が0になる場所で滑らかさが失われるため、余効すべりの拡大がブロックされた。現在は震源から一定以上離れた領域の地震時すべり(十分小さい)を滑らかに距離減衰する関数で置き換えることを試みている。台湾については2016年Meinong地震に加えて2022年9月に発生したChihshang地震(Mw 7.0)について顕著な余効変動をGNSSが検出した。余効すべりのピークが見込まれる領域は中央山脈の山中であり、GNSSが殆ど存在しない。また欧米のC-band SAR衛星ではシグナルを得られないことも確実であった。そこでL-band衛星のALOS-2画像を用いてInSAR時系列解析を行い、広い領域で明瞭な余効変動を検出した。この余効変動域では熱流量が高いため、地下では粘性流動と断層運動の相互作用が見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
岩手宮城内陸地震については数値不安定の解消に向けてゆっくりだが着実に解析を進めることが出来ている。昨年度に初期応力の導入に成功しているので、技術的に最も難しい局面はクリアしている。また台湾についてはMeinong地震に加えて、さらに粘性流動と断層運動の相互作用が期待されるChihshang地震の余効変動の検出に成功した。Meinong地震は断層が複数に跨りかなり複雑であるが、Chihshang地震はCentral Range Faultという比較的シンプルな形状の断層面で発生したことが分かっているため、こちらの方がUnicycleでのシミュレーションは容易であるかもしれない。少なくとも数値不安定が引き起こされる可能性は低い。また、事例が増えたことで研究成果の妥当性を多角的に検証することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2008年岩手宮城内陸地震の余効変動の数値不安定の解消に向けて、地震時すべり(Iinuma et al., 2009)に含まれた小さくて空間勾配の大きいベクトルを震源からの距離とともに減衰する(方向・大きさともに)滑らかな関数で置き換える。これをUnicycle (Barbot et al., 2017; Moore et al., 2017)の初期条件として入力し、余効変動の計算を2.2年分回す。数値不安定性が解消されたら、東落ち断層を再度追加して余効変動の計算を回し、GNSSおよびInSAR時系列解析の結果と整合的になるように断層パラメターおよび栗駒山西側の地下に存在する低粘性領域のレオロジーを調整する。おそらく後者は殆ど動かす余地は無く、断層構成則のパラメターが重要になると思われる。また、台湾ではALOS-2のScanSARデータを用いてChihshang地震のInSAR時系列解析を継続して余効変動の検出を続ける。もしMeinong地震よりもこちらの方が断層すべりに伴う数値不安定性が少ないようであればChihshang地震にUnicycleを適用し、本研究課題の目的を達成する。国立成功大学および中央大学からGNSSデータの提供を受ける。成果を国内外の学会で発表し、国際誌に投稿する。
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