Project/Area Number |
22K03794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17050:Biogeosciences-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
和仁 良二 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70508580)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | アンモナイト類 / 白亜紀 / 浮遊幼生期 / 多様化 |
Outline of Research at the Start |
化石記録が豊富で産出個体数が多いアンモナイト類を材料として,地理的分布の拡大や多様化に,より直接的な関連が想定される“浮遊幼生期”を検討する.海生生物の多様化や地理的分布との関連性を明らかにできるため,生物学で想定されている進化モデルのように生物進化が進んだのか,それとも複雑な未知のメカニズムがまだ存在するのかを,生命進化の証拠である化石記録から実証できる.
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Outline of Annual Research Achievements |
絶滅生物のアンモナイト類(絶滅した頭足類の一群)は,デボン紀から白亜紀末までの約3億5000万年間で1万種を超えるほどの多くの種が存在し,その進化速度は極めて速かったことが知られている.しかし,アンモナイト類がどのように生息域を拡大し,どのように種分化が生じたのか,そしてなぜ進化速度が速かったのか,その詳細なメカニズムはほとんど理解されていない.これらの解明に向けて,化石記録が豊富で産出個体数の多い白亜紀アンモナイト類の”浮遊幼生期”に関するデータを蓄積した. 今年度は地層の分布やアンモナイト類の産出状況を考慮し,北海道の羽幌,古丹別,達布,幾春別地域から採取されたアンモナイト亜目,アンキロセラス亜目,フィロセラス亜目,リトセラス亜目の標本を採取した.さらに,これまでの研究活動において採取済みであるインド南部Ariyalur地域とマダガスカル北西部Mahajanga地域から産出した標本も解析に用いた. 標本は研究室にて,殻の正中線に沿って切断・研磨した.研磨面上において,隣接する隔壁の空間的間隔(中心角)を幼体から成体に至るまで計測した.成長初期に見られる隔壁の空間的距離の大きな変動が終了して一定の値に移り変わる成長段階を特定した.この段階が”浮遊幼生期”が終了した成長段階であると想定される. 白亜紀アンモナイト類の複数のグループ間で,”浮遊幼生期”の戦略がどのように異なっていたのかを明らかにすることが本研究の目的である. 得られた研究成果は,適宜学術論文および国際会議等において発表する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北海道,インド南部Ariyalur地域,マダガスカル北西部Mahajanga地域から産出した白亜紀アンモナイト類の分類群ごとにこの”浮遊幼生期”の戦略を復元し,比較した.その結果,以下のことが明らかになった. (1)アンモナイト亜目およびアンキロセラス亜目では隔壁間隔の変動パターンと螺環の成長パターンとが連動しており,大きな変化が同じ成長段階で起こった可能性がある.この成長段階は,”浮遊幼生期”が終了した成長段階であると想定される(Nishino et al., 2024). (2)アンモナイト亜目およびアンキロセラス亜目では”浮遊幼生期”が終了した成長段階が殻直径数mm程度であった.この殻直径サイズは,世界中の標本および白亜紀アルビアン期(約1億年前)~カンパニアン期初期(約8000万年前)の期間にわたって,ほとんど変化しなかった可能性がある(Nishino et al., 2024). (3)アンモナイト亜目およびアンキロセラス亜目の殻形態(とくに隔壁間隔)の変動パターンは,フィロセラス亜目,リトセラス亜目のものとは異なること(Nishino et al., 2024). 以上のように,これまでに明らかになりつつあった,白亜紀アンモナイト類の中でも異なる”浮遊幼生期”の戦略の存在に関する新たなデータが得られた.これまでに得られた成果については,査読付き学術雑誌において発表した.データの蓄積は予定通りで,成果の発表もおよそ予定通りであると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに解析し,データを蓄積してきた白亜紀アンモナイト類のグループ以外においても適宜解析を進め,”浮遊幼生期”に関するデータを蓄積する.そのための研究材料として,引き続き,北海道の羽幌,古丹別,達布,幾春別地域およびインド南部Ariyalur地域とマダガスカル北西部Mahajanga地域から産出した標本を用いる.得られた”浮遊幼生期”に関するデータは,地質年代,産出地域,などを考慮しつつ解析し,白亜紀アンモナイト類の複数のグループ間で,”浮遊幼生期”の戦略がどのように異なっていたのかを明らかにする.
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