Project/Area Number |
22K03835
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
西川 嗣彬 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 主幹研究員 (20771843)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 金属疲労 / 疲労亀裂 / 微小疲労き裂 / 画像相関法 |
Outline of Research at the Start |
長いき裂では一定となるの疲労き裂進展の下限界応力拡大係数範囲(ΔKth)が、短いき裂ではき裂寸法が小さくなるほど低下することが、疲労限度予測を難しくする一因であるが、ΔKthからき裂閉口成分を除いた本質的なき裂進展抵抗である、下限界有効応力拡大係数範囲(ΔKeff threshold)は、微小疲労き裂において実測された実績すらほとんど無い。本研究では、微小疲労き裂の自動観察システムと画像相関法を活用して、疲労限度における停留微小疲労き裂の開閉口挙動を実測し、ΔKeff thresholdのき裂寸法や材質による変化を明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
疲労亀裂の進展下限界特性が、学術的にも工学的に非常に重要な特性であることは言うまでもない。疲労亀裂が成長しない閾値を表す力学パラメータである「下限界応力拡大係数範囲 ΔKth」は、き裂長さによらず一定の値となるため、工学的に重要な材料特性として幅広く利用されている。しかしながら、ある閾値を超えて亀裂が短くなると、ΔKthは低下しはじめることが古くから知られている。これが、短い亀裂に破壊力学を適用すると危険側の予測を与える理由であり、多くの研究が行われてきた。 ΔKthは疲労亀裂の成長に伴う塑性変形の履歴による、"亀裂閉口"の影響を受けた特性であることから、本質的な材料の疲労き裂進展抵抗は、き裂閉口成分を除いた「下限界有効応力拡大係数範囲 ΔKeff threshold」であると考えられている。また、不思議なことに、材質に関係なく、ΔKeff thresholdは似たような値になることが、長い亀裂を対象にした多くのデータによって示されている。つまり、多くの研究者は、短い亀裂では、亀裂閉口の影響でΔKthが低下すると考えている。しかしながら、短い亀裂でΔKeff thresholdを実測した例は無く、本質的なΔKth低下の原因は曖昧なまま残されてきた。その理由は、ΔKeffthresholdを実測する方法が無かったことが一因である。 本研究の代表者は、マイクロスコープと画像相関法を組み合わせることで、ミクロな疲労亀裂で亀裂開閉口を実測する手法を確立してきた。本研究の目的は、この方法を活用し、短い亀裂におけるΔKeff thresholdを実測することで、その寸法依存性や硬さ依存性を明らかにすることである。これまでに、進展を停止したミクロな疲労亀裂のΔKeff thresholdの実測に成功しており、亀裂が短くなるにつれ低下する傾向があることが明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、短い亀裂におけるΔKeff thresholdを実測することで、その寸法依存性、組織依存性や硬さ依存性を明らかにすることである。このために、初年度にΔKeff thresholdの実測方法を確立し、その寸法依存性を取得することを目標に研究を進め、50~500μmの4水準の人工欠陥を有する試験片を用意して、疲労限度におけるミクロな疲労亀裂のΔKeff thresholdの実測を完了した。これらの実験結果から、その寸法依存性の確認に成功している。2年目には材料の強度レベルとの関係を明らかにすることを目的として、熱処理によって低強度下させたNi基合金の疲労試験片を準備し、低強度材料におけるΔKeff thresholdの寸法依存性の調査を進めた。したがって、研究は計画通り順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、短い亀裂におけるΔKeff thresholdを実測することで、その寸法依存性、組織依存性や硬さ依存性を明らかにすることである。24年度は、短い亀裂のΔKeff thresholdに対する材料の微細組織の影響を調査する。これまでは、オーステナイト系の組織を対象として調査を進めてきたため、24年度は、マルテンサイト系の材料を用いた試験を行うことで、ΔKeff thresholdの寸法依存性が微細組織によってどのように変化するか調査する。
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