Project/Area Number |
22K03890
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18040:Machine elements and tribology-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
野口 昭治 東京理科大学, 創域理工学部機械航空宇宙工学科, 教授 (80349836)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 小型玉軸受 / トルク / グリース潤滑 / グリース封入形態 / トルク測定時間 / グリース物性 / グリース封入量 / 玉軸受 / グリース |
Outline of Research at the Start |
本研究では、小型玉軸受のトルクに及ぼすグリースや測定条件の影響を詳細に解明するために、①実用的な小型玉軸受トルク測定装置の試作、②その測定装置を用いての小型玉軸受トルクに及ぼす測定条件(回転速度、荷重等)の影響解明、③軸受トルクに及ぼすグリース封入量と封入形態の影響解明、についての研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、まず昨年度購入したグリースを狙った場所に定量封入できるグリースディスペンサを用いて、6204を対象にしてトルクに及ぼすグリース封入形態の影響を調査する研究を行った。目的は、グリース潤滑の小形玉軸受のトルクがばらつく原因として、搬送中の振動や衝撃により製造時に封入したグリース状態から崩れて、転動体と軌道面の間に入り込んだことが考えられた。そこで、グリースの封入形態を意図的に設定してトルクに及ぼす影響を調べた。グリースが軌道面に入り込むと転動体が掻き分ける抵抗が増えるため、測定初期にはトルクが大きくなるが、測定時間が長くなるとグリースが掻き分けられて、徐々にトルクは減少し、24時間を経過するとグリースの封入形態に依らず同じ程度のトルクとなることを明らかにした。しかし、低トルク軸受の開発においてはトルクの評価時間は30分、長くても1時間程度である。その測定時間であれば、グリース封入形態の影響を受けることになる。本研究は、低トルク軸受開発の評価指標として有効と考えられる。 次に、608を用いて、トルクのばらつきを評価する実験を進めた。小型玉軸受の標準グリースとされるグリースを用いて、回転速度、測定時間の影響を詳細に調査したところ、回転速度が毎分3600までは、トルクの値としてはさほど大きくないが、ばらつきや変動は120時間を経過しても収束していないことが分かった。それに対し、回転速度が高くなると12時間程度まではトルクのばらつき、変動は大きいが、それ以降になるとトルクは小さくなり、変動やばらつきも小さくなる。内部のグリースが遠心力で外側に飛散して、転動体と軌道面間の撹拌抵抗や粘性抵抗が減少したことが原因と考えられる。一般的に転がり軸受のトルクは回転速度が高くなると大きくなると言われているが、グリース潤滑においてはそれが成り立たないことを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度では、昨年度製作したトルク測定装置を増設して、608用4台、6204用6台を使用して、多くの条件におけるトルク測定を効率よく行うことができた。608のトルク現状調査として複数の軸受会社の市販品のトルクを調査した結果については、(公社)日本設計工学会へ論文投稿して、掲載可となり早期公開されている。さらに、トルクに及ぼす測定時間の影響、グリース封入形態の影響についても論文投稿をしており、校閲待ちの状態である。研究期間が2年に満たない状況で、3本の学術論文を投稿できるまで研究が進んでおり、進捗状況としては、順調に進行していると考えられる。 また、これら以外にもトルクに及ぼす起動停止・正逆回転の影響、軸受回転中のグリース飛散状況の観察なども手掛けており、次年度においても成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は研究の最終年度となるが、2022、2023年度に引き続いて、以下の研究を進める予定である。 ①グリース潤滑小型玉軸受における起動停止・正逆回転の影響を調査する。保持器の回転によってグリースは内部を流動し、一定場所に堆積するが起動停止を繰り返したり、回転方向を変えることによって、一定速度で回転させた場合と違った挙動を示すと考えられる。その現象を調査する。 ②グリースの飛散状況を観察する。グリースは遠心力で飛散することによって転動体と軌道面から除去される。グリースの飛散と回転速度の関係がわかれば、その回転速度以上でならし運転を行うことで低トルク仕様の軸受とすることができるので、実用上有用である。 ③トルクに及ぼすグリース物性の影響を調査する。これまでは小型玉軸受の標準グリースを用いていたが、軸受が使用される環境の違いで様々なグリースが使用される。グリースの物性がトルクに及ぼす影響を調べることは、低トルクグリースを開発する上でも有用である。
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