Project/Area Number |
22K03892
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18040:Machine elements and tribology-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山本 浩司 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70536565)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 再生軟骨 / 潤滑 / ルブリシン / 摺動刺激 / 刺激制御 / PRG4 / 水和能 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,培養軟骨に摩擦刺激を負荷することにより,摩擦面におけるルブリシン発現を促し,軟骨潤滑機能の評価とともに分子発現をモニタリングすることで,潤滑機能に関わり発現変動する分子の探索を行う.そのために,清潔下且つ蛍光顕微鏡上で摩擦刺激の負荷および計測を可能とする軟骨培養システムの構築を行う.また軟骨表層の水和能に影響を及ぼす分子種の同定,及びその機能を明らかにすることを目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
生体関節軟骨は,軟骨基質の構造や機械的性質,更には表層に発現・吸着した分子の影響により,極めて低摩擦を実現している.表層にはヒアルロン酸や,関節液の糖タンパク分画成分から単離されたルブリシン,そしてホスファチジルコリンなどのリン脂質が構造的あるいは化学的な相互作用を介して潤滑環境を構築している.近年では軟骨表層のヒアルロン酸に結合するリン脂質の水和殻が生理条件下における耐荷重特性や低摩擦機構に関わる水和潤滑モデルが提唱されている.しかし,関節表層に存在し,水和機能に影響を及ぼし得る分子群の全容は未解明であり,軟骨潤滑における水和能形成メカニズムの解明には至っていない.本研究では潤滑機能の形成過程を計測・制御することで,分子発現と水和機能発現における関係解明および新規潤滑関連分子の探索を目指す. 本年度は,前年度に作製した培養システムを用いて,培養期間を2倍の14日間に延長した潤滑機能の成熟プロセスに関する検討を行った.一定の摺動刺激(=摩擦力)を2週間に渡り負荷した系では,培養7日目以降に垂直荷重が徐々に増加する傾向が見られた.一方で,摩擦力を一定に保つために負荷した垂直荷重の平均値を刺激として2週間負荷した結果,培養2日目以降に摩擦力が上昇し,7日目以降により顕著に上昇する傾向が見られた.これら2条件の培養2週間後の組織における遺伝子発現を解析した結果,いずれの条件も無負荷で培養した組織に対して,軟骨基質の合成に関与するCOL2A1やACANは有意に増加しており,分解に関与するMMP13は有意に減少していた.特にルブリシンの発現に関わるPRG4は摺動刺激一定の条件において顕著に増加する結果となった.前年度,摺動刺激の変動が少ないときに表層の潤滑機能成熟が促進される可能性を報告したが,長期の培養においてより顕著にその影響が出ることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は当初の予定としては、PRG4のレポーター遺伝子を作製して、潤滑機能の成熟過程において発現する分子の網羅的解析を実施する予定であったが,培養期間を延ばした実験を行った結果,ルブリシンに関して新たな発現傾向および大幅な発現量増加が見られたため,潤滑機能との関係性をより詳細に検討する実験を優先して行った.特に一定の摺動刺激で培養した条件と,一定の垂直荷重で培養した条件を比較した結果,平均して負荷された機械的刺激の量に大きな違いはないものの,培養7日目以降に現れる表層潤滑機能に異なる傾向が見られ,初期の摺動刺激環境が後のルブリシン発現に影響を与える可能性が見出された.また,ルブリシンをエンコードするPRG4遺伝子の発現においては,無負荷の培養に対して10倍以上の差が見られる条件を同定できたため,レポーターによる細胞選別を行わず,wholeの組織で発現比較を行う実験系を新たに組み込んだ.これによりルブリシンのレポーターによる動向に依存しない潤滑関連分子を同定できる可能性が広がると考えられる.同実験の結果は次年度に報告予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は前年度に計画していた潤滑機能の成熟過程において発現する分子の網羅的解析を実施する予定である.まずルブリシンの発現に影響を及ぼすタイムポイントにおいて各刺激条件におけるwhole組織の遺伝子解析を実施する.次に,マウスのPrg4レポーター遺伝子を作製し,アデノ随伴ウイルスベクターを構築する.同条件において,蛍光発現細胞の遺伝子発現解析を実施する.これにより,潤滑機能に関連して且つルブリシンの発現動態に連動する分子群と,潤滑機能に関連するがルブリシンの発現動態には関係しない分子群の選別を行い,水和機能に関わる可能性の高い候補分子の探索を目指す.
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