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磁気流体力学との類似性に着目した粘弾性流体の流れのモデル化と流れ場の解明

Research Project

Project/Area Number 22K03921
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 19010:Fluid engineering-related
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

三神 史彦  千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40272348)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Keywords粘弾性流体 / 磁気流体力学 / アルベン波 / コア流れ / 伴流 / 数値シミュレーション / 偏光イメージング / イベントカメラ / 流体力学 / 可視化 / テクスチャー / ハイパーストリームライン / 宇宙流体力学
Outline of Research at the Start

本研究では,宇宙空間のプラズマの流れと粘弾性流体の流れの支配方程式の類似性に着目して,磁気流体力学的な描像に基づく粘弾性流体の流れのモデルを構築し,物体まわりの粘弾性流体の流れに見られる特異な流動現象のメカニズムを解明する.従来の非ニュートン流体力学やレオロジーで取り扱われることのなかった宇宙流体力学の知見を組み合わせた新しい切り口から,データの解釈に新しい視点を付け加え,流れ現象を捉え直す.

Outline of Annual Research Achievements

本研究は,磁気流体力学の理論を粘弾性流体の流れのモデル構築に適用し,物体のまわりで観察される複雑で特異な流動現象を解明することを目指す.令和5年度の主な研究進展を以下に述べる.
1.高感度・高時間分解能の観測技術の導入: 新たに導入したイベントカメラによる偏光計測技術は,非常に短い時間スケールでの流体の動きを捉える能力を持つ.特に,ひも状ミセル水溶液中を球体が沈降する際に生じるせん断波の伝播を詳細に可視化することができた.この高度な観測により,球体の沈降速度が急速に変化する際に球体後端で生じる突発的な流れの変化を初めて明らかにした.
2.一軸応力状態を用いた流れモデルの開発: 粘弾性流体の流れにおいて一軸応力状態を仮定し,磁気流体力学の理論を適用した.応力テンソルが流れに「凍結」する現象を表す式から,速度分布が決まることを示した.この理論に基づき,回転二重円筒間の流れで,流体が剛体回転するような速度分布を持つコア流れ領域が形成されることが明らかになった.また,平行平板間流れで,一様な速度を示す流れの領域が生じることも予測した.数値シミュレーションにより,これらのコア流れ領域が粘弾性流体の流れにおいても実際に生じることが確認された.
3.粘弾性流体中でのアルベン波類似現象と伴流の研究: 粘弾性流体の流れにおいて流線が張力を帯びる現象を詳しく調べた.その結果,磁気流体力学におけるアルベン波の類似現象が観察された.この現象により,アルベン波の伝播速度より遅い流速で,粘弾性流体中におかれた物体から前方に向かって伸びる伴流が形成されることが明らかになった.数値シミュレーションにより,この理論が粘弾性流体の流れにおいても有効であることが示された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

「おおむね順調に進展している」と評価できる主要な進捗は以下の通りである.
1.新規観測技術の導入とその成果: 新たに導入したイベントカメラによる偏光計測技術は,非常に短い時間スケールで流体の動きを捉える能力を持つ.この技術を用いて,ひも状ミセル水溶液中で球体が沈降する際に生じるせん断波の伝播を詳細に可視化し,これまで観察されなかった球体後端での突発的な流れの変化を明らかにした.この進展は,粘弾性流体の流動を理解する上で大きな突破口となり,新たな科学的知見を提供している.
2.理論モデルの開発と数値シミュレーションによる検証: 粘弾性流体の一軸応力状態を想定し,磁気流体力学の理論を適用した新しいモデルを開発した.このモデルは,応力テンソルが流れに「凍結」する現象を表し,回転二重円筒間や平行平板間の流れで予測された速度分布の特徴を数値シミュレーションで確認することができた.これらの結果はモデルの妥当性を裏付けるものである.
3.粘弾性流体におけるアルベン波と伴流の新発見: 粘弾性流体中でアルベン波の類似現象が観察され,アルベン波の伝播速度よりも遅い流速で,粘弾性流体中におかれた物体から前方に向かって伸びる伴流が形成されることが明らかになった.これは粘弾性流体の力学と磁気流体力学の交差点における新しい科学的知見であり,粘弾性流体の挙動を理解する上で新たな視点を提供している.
これらの進展は,本研究計画の目標に対して明確な進歩を示しており,研究が予定どおりかつ効果的に進行していることを示している.このことから,研究の進捗状況はおおむね順調であると評価される.

Strategy for Future Research Activity

1.実験による理論の検証: コア流れや前向き伴流といった,理論や数値シミュレーションで確認された流れパターンを実験的に実証することに焦点を当てる.PIV計測を用いて速度場を精密に調査し,理論モデルが予測する流れの挙動を具体的に観察する.これによって,理論の予測と実際の流れの一致を確かめ,理論の妥当性を広範囲にわたって検証する.
2.沈降速度急変現象の解析: イベントカメラによる偏光計測技術を駆使し,ひも状ミセル水溶液中で球体が沈降する際の速度の急変およびその背後のメカニズムを詳細に分析する.特に,球体の速度が繰り返し急変する現象に焦点を当て,自発的な急変が生じる原因を明らかにするために,計測データを蓄積し分析を行う.
3.張力のリコネクションの研究: 粘弾性流体中で観測される主応力場のリコネクション現象を,磁気流体力学の類似性を活用して分析する.トポロジー的アプローチを導入し,流れの局所的な構造変化が全体の流れの挙動にどのように影響を及ぼすかを新たな視点から理解するための研究を進める.これによって,理論的な洞察を深め,これまでの成果の不足点を補う.
4.巻き締め張力の影響に関する研究: 物体の回転に伴い発生する巻き締め張力が,流体中のジェットや流れパターンにどのような影響を与えるかを詳しく調査する.PIV計測を用いて,回転する物体周辺の流速分布を詳細に分析し,磁気流体力学の知見と比較して,ジェットの到達距離や流れパターンの変化を解明する.

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Research-status Report
  • Research Products

    (12 results)

All 2023 2022 Other

All Presentation (11 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] グリフおよびテクスチャによる粘弾性流体の流れの応力テンソル場の可視化2023

    • Author(s)
      大上 明, 三神 史彦
    • Organizer
      第51回可視化情報シンポジウム
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] ひも状ミセル水溶液中を落下する球の沈降速度急変現象2023

    • Author(s)
      三神 史彦, 斗ケ澤 駿太
    • Organizer
      日本機械学会 2023年度年次大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 粘弾性応力の凍結場と回転二重円筒内の流速分布2023

    • Author(s)
      三神 史彦
    • Organizer
      日本流体力学会年会 2023
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 応力テンソル場の特異点に基づく粘弾性流体の流れのリコネクション現象の可視化2023

    • Author(s)
      橋本 隼大, 三神 史彦
    • Organizer
      日本流体力学会年会 2023
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 粘弾性応力の凍結場によって決まる流速分布2023

    • Author(s)
      三神 史彦
    • Organizer
      第 71 回レオロジー討論会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] ひも状ミセル水溶液中を沈降する球まわりの流れの偏光イメージング計測2023

    • Author(s)
      斗ケ澤 駿太, 三神 史彦
    • Organizer
      第 71 回レオロジー討論会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 並列円柱を通過する粘弾性流体の流れに及ぼす円柱隙間間隔の影響2023

    • Author(s)
      佐治 勇太郎
    • Organizer
      第 71 回レオロジー討論会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 粘弾性流体中の球の軸対称後流の数値シミュレーション2023

    • Author(s)
      滝澤 大成, 三神 史彦
    • Organizer
      日本機械学会関東支部 第 30 期総会・講演会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 粘弾性流体中での円柱の抗力特性2022

    • Author(s)
      右島 拓,三神 史彦
    • Organizer
      日本機械学会2022年度年次大会
    • Related Report
      2022 Research-status Report
  • [Presentation] 回転円柱まわりの粘弾性流体の流れ構造に及ぼす回転と張力の寄与2022

    • Author(s)
      三神 史彦,富田 真生
    • Organizer
      日本流体力学会年会2022
    • Related Report
      2022 Research-status Report
  • [Presentation] 波状壁の上を通過する粘弾性流体のせん断流れの数値解析2022

    • Author(s)
      古川 陸弥,三神 史彦
    • Organizer
      日本機械学会第100期流体工学部門講演会
    • Related Report
      2022 Research-status Report
  • [Remarks] 流体数理工学 三神研究室

    • URL

      https://fluid.tm.chiba-u.jp

    • Related Report
      2023 Research-status Report 2022 Research-status Report

URL: 

Published: 2022-04-19   Modified: 2024-12-25  

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