Project/Area Number |
22K04003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 20010:Mechanics and mechatronics-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 健 関西大学, システム理工学部, 教授 (10370173)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 超音波キャビテーション / ソノルミネッセンス / OHラジカル / 不活性化 / 超音波 / キャビテーション / 微生物 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,ターゲットとした微生物だけを超音波で無力化(不活性化)することである.食品,飲料水及びバラスト水(船底の重し)は,細菌,菌類及びプランクトン等の微生物を不活性化するために,一般的に高温・高圧,紫外線及び薬品処理等が行われている.一方,水中に超音波を照射した際に発生するキャビテーションにも,微生物を不活性化する能力がある.本研究では,超音波キャビテーションの物理的・化学的作用の周波数依存性と,気泡と微生物のサイズ関係を利用する複数種の微生物に対する選択的不活性化手法の構築を目指し,人体への影響及び環境汚染を抑えた水処理法の確立に貢献する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,擬似微生物の破壊実験や菌類・細菌類等の微生物の不活性化実験を行った.大きさ,弾性率及び構造の異なる球状・針状物体及び微生物を対象として,超音波の周波数や音圧を変化させて,対象の形状的な変化・反応より支配的な物理的作用を決定することを目標に研究を進めた.具体的には,グラム陽性細菌の口腔内細菌で代表的なStreptococcus mutansを対象に,周波数26,430,950,1600,3600 kHzの超音波照射を行い,コロニーカウントより不活性化率の周波数依存性を把握した.最も不活性化に有効な周波数は430 kHzであった.この周波数帯は,KI法やソノルミネッセンススペクトル評価から最も化学的作用が大きいことが分かった.S. mutansは連鎖球菌であり,球菌のサイズは1 mmであるが,数十個の球菌が連なった連鎖である.そのため,線状の微生物に対するキャビテーションの物理的作用のインパクトを検証することができた.レーザー回折式粒子径分析装置で超音波照射後の粒子径を計測すると最も連鎖切断効果が高かったのは1600 kHzであった. 一方,異なる細胞濃度の細菌でグラム陰性桿菌のEscherichia coli懸濁液に対して超音波を照射し,細胞の膜損傷の定量化及び形状観察から,細胞濃度が超音波キャビテーションの物理的作用の変化に与える影響を検討した.また,E. coliの擬似モデルとしてマイクロ微粒子を用いることで,化学的作用の変化についても検討を行った.細胞濃度によってE. coliに作用するキャビテーションの効果と強度が異なると考えられる.低濃度懸濁液では,細胞形状が大きく変化しないような局所的な損傷を与え,より高濃度な懸濁液中においては核酸を細胞外へ放出するような比較的大きな損傷与えることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連鎖球菌であるS. mutansの球菌に対する不活性化効果は,KI法やソノルミネッセンススペクトル評価による最も化学的作用が大きい周波数帯であることが分かった.しかし,超音波照射によって生成される過酸化水素の相当量を添加しても大きな不活性化効果は得られなかった.また,走査型電子顕微鏡でも物理的な作用による細胞破壊は起きていなかった.顕微鏡でも確認できない程度の小さな欠損がマイクロジェットによって生じた可能性が考えられるが未解明である.また,連鎖の切断に適した周波数と高い不活性化効果を示した周波数が異なる結果となった. E. coli懸濁液を用いて細胞濃度が超音波キャビテーションの物理的作用の変化に与える影響を検討した.低濃度懸濁液では,細胞形状が大きく変化しないような局所的な損傷を与ええると考えられる.また,高濃度の懸濁液中においては核酸を細胞外へ放出するような比較的大きな損傷与えることが示唆された. 理論的な計算では,Rayleigh-Plesset方程式を解くことにより,初期気泡半径,周波数及び音圧を変化させた時の気泡振動振幅及び気泡内温度の計算を行った.実験条件における理想的なキャビテーション場の検討が可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
複数種の微生物を混合した試料を対象とした超音波照射実験を行い,ターゲットの微生物の不活性化実験を行う予定である.例えば,漬物類の発酵を担うL. plantarumにターゲットであるE. coliが混入した場合等を想定し2種混合試料から選択的不活性化実験を進める.グラム陰性のE. coliはOHラジカルによる不活性化が主な原因であるため数百kHz程度が最適と予想している.不活性化評価は,培養法,染色及び蛍光染色法等の個々の微生物に最適な手法を用いる.蛍光分光高度計の導入により,細胞内包物の評価も行っていく予定である.
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