Project/Area Number |
22K04078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21010:Power engineering-related
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
土肥 稔 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (80247577)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | レドックスフロー電池 / バナジウム / 酸化還元 / 太陽電池 / 再生可能エネルギー / 蓄電 / ノンフロー / スパッタリング / エネルギー密度 |
Outline of Research at the Start |
本計画では,レドックスフロー電池の高性能化を進めるとともに,そのノンフロー化について研究する。2022年度には,電池の高性能化について研究する。双極板や集電板を金で被覆することにより,その耐久性の向上を図る。また,電解液の還元装置を作製し,十分な量の電解液を確保する。還元した電解液と本学が所有する太陽電池システムを用いて,レドックスフロー電池の実証実験を行い,電池を評価する。2023度には,レドックスフロー電池のノンフロー化について研究する。ノンフロー化における問題点を洗い出し,その解決策を検討する。2024年度以降は,ノンフロー化した電池の高性能化について研究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023度の研究目的は,現行レドックスフロー電池の問題点の改善とノンフロー化の準備としての電池の高性能化であった。改善点としては,①電解液の酸化防止,②電解液の還元の効率化について研究を行った。①を行うにあたり,これまで4層6 Vであった電池を9層13.5 Vに改良した。この電池を用いて,負極電解液タンク中の空気をアルゴンに置き換えることで,負極電解液の酸化を抑える実験を行った。また,電解液を,やや還元気味にして充放電実験をスタートした。その結果,この電解液移動の効果を除き,10回程度の電解液の酸化の防止することができた。アルゴンの効果が確認できたため,タンクの密閉性を向上することで,さらに電解液酸化を防止することができると考えられる。②については,電極面積を2倍にすることで,電解液還元の効率を上げることができた。 ノンフロー化の準備としては,電解液の高濃度化を試みた。本研究室で使用している1 mol/Lの電解液を加熱し,水分を蒸発させることで2 mol/Lの電解液を作製した。1 mol/Lの実験で,電解液をやや還元気味にして実験をスタートと,負極側では,3価のバナジウムイオンがすべて2価となった後も充電し続けることで,若干の水素ガスが発生することが分かっている。2 mol/Lの実験では,このガスの発生が早く始まり,また,ガスの発生も多いことから,これまで充電完了電圧を1.5 Vとしていたのに対して,1.45 Vまでしか充電することができなかった。さらに,放電時にも同じ負極側でガスが発生し,放電電流が減少した。これは1 mol/Lの場合には起きなかった現象である。放電時にガスが発生したことで,負極の電極内にガスがたまり,電極面積が実質的に減少し,放電電流が減少したと考えられる。現在,放電時のガス発生のメカニズムと,その対策を検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,4層6 V,電極面積400 cm2よりも大きな9層13.5V,電極面積400 cm2の電池を作製し,太陽光発電による実証実験を行った。この電池を用いた充放電実験により,本研究室のレドックスフロー電池の問題点であった電解液の酸化について,アルゴンガスを用いることで解決可能であることが分かった。イオン交換膜を通して電解液が移動する問題が残ってはいるが,移動した電解液を戻すことができる調整弁を用いて当面はしのぐ予定である。電解液の移動に対する現時点での本質的な改善方法はなく,今後のイオン交換膜の進歩に期待している。 酸化した電解液を還元する装置を開発したことで,電解液の再利用が可能となっている。2023年度はその電解液還元の効率を2倍にしたことで,これまでに溜まっていた酸化した電解液を一気に還元することができた。また,科研費で,新しい電解液の購入を行った。昨年度の予定では100Lの購入を予定していたが,電解液の値上がりにより,とりあえず50Lの購入となった。これらの結果,次年度での大容量の蓄電実験が可能となった。 ノンフロー化の準備である電解液の高濃度化については,いくつかの問題点が明らかになった。充電時に生じるガスの発生により満充電できないことや,放電時にガスが発生し,放電電流が減少したことは,予想外の結果であったが,これらの問題を洗い出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,まず,引き続きレドックスフロー電池の改良を行う。これまでに使用していた純炭素双極板と並行して,2023年度は新しくFJコンポジット製の樹脂を含む双極板を科研費で購入し,使用した。この双極板は電解液の浸透が全くなく,集電板溶解の問題を解決することができた。しかし,電池の内部抵抗が増加するというデメリットがあることが分かった。そこで,本年度は電池の低抵抗化を試みる。多層セルの場合,両端の双極板のみFJコンポジット製にすることで,内部抵抗の増加を抑えることができる。双極板の厚みを薄くすることでも,低抵抗化が可能になると考えている。また,双極板以外の部分での内部抵抗減少も試みる。具体的には,1セルの厚みを薄くし,キャリアの移動によるロスを軽減させることを試みる。また,太陽電池を用いた実証実験を行う予定である。還元した電解液と新たに購入した電解液を用いることで,これまでよりも大容量の実証実験が可能となる。 ノンフロー化に向けた電解液の高濃度化について検討を行う。また,その際の問題点について洗い出す予定である。2 mol/Lの電解液を使用した場合,ガスの発生により1.5Vまで充電できなかったことから,ガス発生を抑えるための研究を行う。具体的には,電解液中の硫酸濃度の見直しや添加物の検討,セル内の加圧等を検討している。それでもガスが発生する場合は,バナジウム濃度の見直しや充電電圧の減少について検討する。実際に電池を使用する場合,SOCは90%程度に設定するため,1.5Vまで充電する必要はない。高濃度電解液での最適な充電電圧を明らかにする予定である。また,放電時のガス発生のメカニズムと,その対策についても検討する予定である。 これらの研究を遂行するにあたり,2024年度は,厚さ1 mmの双極板を購入する。そのほか,イオン交換膜,カーボンフェルト等の消耗品の購入を予定している。
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