防・減災を目的としたインフラサウンド検出のための光波利用センシングシステムの開発
Project/Area Number |
22K04122
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21030:Measurement engineering-related
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大河 正志 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90213644)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 光波利用センサ / インフラサウンド / 微気圧変動 / IoT |
Outline of Research at the Start |
東日本大震災では,津波到達前に,津波発生に伴う微小気圧変動が国立天文台水沢観測所において観測されたことが報告されている。このような微小気圧変動を検出できるセンサを実現し,安価に設置できれば,津波到達前に確度の高い避難指示や減災対策を行う時間が得られ,尊い人命を救える可能性がある。また,本センサに適切な周波数帯域を設定することで,雪崩・土砂崩れ,火山噴火,雷等に伴うインフラサウンドの検出も可能である。そこで,本研究では,津波,雪崩,土砂崩れ等の自然災害による被害の軽減を目指し,周波数帯域を最適化した光波利用センサの実現および社会実装を念頭に置いたセンシングシステム開発とその評価を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,低域遮断周波数の低周波数化を目的に,チューブ付き半密閉空間構造を対象に,遮断周波数のチューブ長依存性,半密閉空間体積依存性,チューブ内径依存性について,実験的な立場で考察を行った。また,小孔付き半密閉空間を用いた光導波型センサを試作し,周波数特性を基に,遮断周波数の半密閉空間体積依存性について考察を行った。 前者の研究課題については,まず,半密閉空間体積を12cm^2(実体積15.4cm^3),印加圧力振幅を500Pa,チューブ断面積を0.049mm^2とし,チューブ長を10,30,50,70,90mmと変えて,低域遮断周波数を評価した。各チューブ長の遮断周波数はそれぞれ576,201,123,83.8,66.1mHzで,フィッティング処理により,遮断周波数とチューブ長には反比例の関係があることが分かった。同様に,体積依存性においては,遮断周波数が体積に反比例することが,チューブ断面積依存性においては,遮断周波数がチューブ内断面積の1.8乗に比例することが分かった。ところで,これらの依存性の実験で得られた最小の遮断周波数は8.2mHzで,第1段階の目標値である1mHzを達成できていない。そこで,各種依存性を基に半密閉空間の設計を行い,実体積を103cm^3,チューブ断面積を0.013mm^2,チューブ長を50mm,印加圧力振幅を500 Paとして,周波数特性を測定し遮断周波数を評価したところ1.55mHzとなり,第1段階の目標値をほぼ達成することができた。 後者の研究課題については,小孔付き半密閉空間を有する光導波型センサを試作し,正弦波状の圧力を印加して,センサ出力の測定を行った。出力の検証用に準備した市販の圧力センサとほぼ同じ出力変化をしており,光導波型センサの動作が妥当であることが分かった。また,半密閉空間体積を30~118cm^3と変えて,遮断周波数の体積依存性について考察を行い,遮断周波数が体積に反比例することも明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は本プロジェクトの初年度で,センサの周波数帯域制限とブラッググレーティングを用いた光導波型センサの開発に着手する計画であった。周波数帯域制限においては,低域遮断周波数の低周波数化が最重要課題で,小孔をチューブ(細管)に置き換え,低周波数化を図った。遮断周波数のチューブ長依存性,半密閉空間体積依存性,チューブ断面積依存性について,実験による考察を行い,遮断周波数がチューブ長および半密閉空間体積に反比例し,チューブ断面積の1.8乗に比例することを明らかにした。さらに,これら依存性を基に,半密閉空間体積103cm^3,チューブ断面積0.013mm^2,チューブ長50 mmの半密閉空間を設計し,遮断周波数を評価したところ,ほぼ目標値である1.55mHzを達成した。また,小孔付き半密閉空間を有する光導波型微気圧センサの開発では,ブラッググレーティングを用いたものではないが,光導波型センサを試作し,正弦波状の圧力印加を行って,センサ出力を測定した。市販の圧力センサでも出力をモニタし,光導波型センサの出力の妥当性も確認した。また,半密閉空間体積を30~118cm^3と変えて,遮断周波数の体積依存性について考察を行い,遮断周波数が体積に反比例することが明らかとなった。さらに,IoTシステム開発にも着手し,ARMAモデルを用いた大気圧予測精度に関する考察,微気圧センサ・大気圧センサ・温度センサからのセンシングデータを1秒間隔で取得し,ゲートウェイ,インターネットを介して,データベースに保存し,データ活用するシステムを構築した。おおよそ2時間の測定データを用いて,半密閉空間を有する微気圧センサの周波数特性を算出し,遮断周波数の評価を行った。 以上のように,半密閉空間構造の応答特性の解明に対する目標はほぼ達成できており,「(2) おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに,遮断周波数約1mHzを実現できたが,さらに1桁下げて,0.1~0.5mHzを目指す予定である。しかし,圧力損失や空気の粘性等で,ハイパスフィルタ特性の実現が困難になることが予想されるため,事前にシミュレーションを行い,対応策について検討する。また,温度変化や外部の空気流等の外乱がセンサ出力に影響することが予想されるため,シミュレーションにより,外乱の影響を明らかにし,対応策について考察を行う。 ブラッググレーティングを用いた光導波型センサの開発に関しては,圧力によるダイヤフラムのたわみやひずみの分布を計算し,ブラッググレーティングの格子間隔,長さ,設置位置等の考察を行う。まずは,FBGと半密閉空間を組み合わせて微気圧センサを構成し,微気圧変動の検出特性の評価を行う。 IoTセンシングシステムの開発も並行して進め,通常の大気圧変化を,ARMAやLSTM等を用いて予測し,その予測値からはずれた気圧変動が検知されたとき,異常と判断し,数値評価を行うシステムを構築する。次に,「センサ・ゲートウェイ」,「ネットワーク」,「サーバー(データ保存・異常検知・警報発出等)」等からなる小規模IoTセンシングシステムを構築する。そして,センシングシステム評価のため,新潟大学構内にて短期のインフラサウンド測定を行う。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)