制御理論とメタヒューリスティックスの融合による制御システム「夢」の設計枠組の構築
Project/Area Number |
22K04164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21040:Control and system engineering-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
劉 康志 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (70240413)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | パラメータ変動 / Lagrangian乗数 / ダイナミクス超平面 / ロバスト性能 / ドライブトレインベンチ / ロバスト周波数応答仕様 / 伝達関数の個別整形 / 信号空間の拡大 / Lagrange乗数法 / 制御理論 / メタヒューリスティックス |
Outline of Research at the Start |
制御システム設計において、求められる外乱応答や目標値応答など多種多様な性能仕様に 対して、直接設計できる方法論は制御工学者の長年の「夢」である。この夢の実現に向けて、本研究では複数の制御性能仕様を直接設計可能、かつ、モデル不確かさに対して設計の保守性を最大限に抑えられる制御系設計の枠組を構築する。 この目標を達成するために、本研究では制御技術を計算技術の一つであるメタヒューリスティック方法と融合する方法を開発し、この夢の目標を実現させる。本研究は、制御系設計の方法論に変革をもたらすものであり、産業システムの制御性能と制御系設計の効率を一層向上させるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度では、前年度の成果をより発展させることに重点を置いて研究を進めた。そして、産業システムへの応用も精力的に展開した。研究実績を以下にまとめる。 1.理論:設計条件を精査した。特に、Lagrange乗数に一切簡略化しない場合もっともよい性能を出せるが、膨大な計算時間が必要となる。そこで、Lagrange乗数の取り方について数値例を用いて様々な組み合わせを調査し、性能と計算時間のバランスが良い取り方の解明に努めた。 2.産業システムへの応用:自動車部品のテスト設備であるドライブトレインベンチに本方法を応用した。ガソリン車の場合に対しては設計法が使いやすく、性能もよく実用的であるとの結論に達した。一方、電気自動車の場合ではパラメータ変動の範囲が大きいせいか、設計が成功したり失敗したり、数値設計の安定性に問題が生じている。現在、その原因の解明に注力している。 3.より保守性の少ないロバスト性能条件に向けた新しいアイデア:現状の設計法では、ロバスト性能と安定性に対応するLyapunov行列を不確かなパラメータの線形関数、そしてLagrange乗数を定数とと仮定している。しかし、本来その関係は非線形のはずであり、線形近似は変動幅が小さい場合にしか有効でない。このことは、項目2で述べた数値安定性の一因にもなっていると考えている。そこで、変動幅を分割し、各分割の中で線形近似を行なえば大域的により近似精度を高められるはずである。現在、初歩的な数値調査を行っているところであり、来年度には本格的な調査を実施する計画を立てている。 ここまでの2年間の研究によって、本制御法は実装レベルで使えるところまで仕上がってきていると言っていい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.設計条件の導出: 制御性能仕様を入出力信号に関する評価関数に変換した上、システムのダイナムクスを拡大された空間における状態が移動できる超平面と見なすことによって、システムの性能設計問題を拡大空間における拘束付き最適化問題に変換することに成功した。この問題にLagrangeの乗数法を応用することで保守性の低い設計条件を導けた。 2.設計手法の考案: 導出された設計条件は不確かパラメータの全頂点における連立した非線形行列不動式となっているため、解析的に解くことはできない。そこで、メタヒューリスティック方法を応用して、制御器を探索する手法を編み出した。本手法には、初期値の作成方、安定保証から性能保証へ段階的に移行するアルゴリズムを兼ね備えている。 3.産業システムへの応用、その際に起きた数値計算上の障害: 開発された方法をガソリン車のドライブトレインベンチに適用し大成功を収めた一方、電気自動車のドライブトレインベンチへの応用で課題も浮き彫りになった。電気自動車の場合、パラメータの変動幅はゼロから十万近くまでに及び、きわめて大きいため、数値計算において安定性に欠けるとの課題が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した、大範囲のパラメタ変動問題における数値計算の課題の解決に全力当たる。現段階では、以下のように計画している。 1.変動範囲の区分化: 性能条件における変数のLyapunov行列、Lagrange乗数が共に不確かパラメータの非線形関数であるが、これまでに全社を線形関数、後者を定数と置いて問題を解いてきた。不確かさの範囲が大きくなると、当然近似が破綻する。そこで、不確かさの範囲を分割し、各分割で前記の近似を行うことで、全体的に近似精度を高めていく。 2.Lyapunov行列の連続化による変数の削減: 区分化する際、頂点が指数的に増え数値計算の負荷が課題になるはずである。これを低減できる方策として、Lyapunov行列を区分的に線形化する際頂点において連続性を課すことで変数を減らす。 3.並列計算による時間短縮: さらに、並列計算を導入して計算効率を上げていく。 4.電気自動車のドライブトレインに対する制御系設計を実装レベルへ向上させる。
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Report
(2 results)
Research Products
(20 results)