Project/Area Number |
22K04184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
倉井 聡 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (80304492)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | AlGaN / 量子井戸構造 / 転位 / 点欠陥 / 内部量子効率 / カソードルミネッセンスマッピング法 / カソードルミネッセンス / 欠陥 / 特異構造 |
Outline of Research at the Start |
AlGaN混晶半導体の高品質化に向けて、平均化されたマクロ評価のみでは正確な物性理解に至らない。そこで本研究では、空間分解分光法を用いて低貫通転位密度化が進展したオフ角付き基板上AlGaN量子井戸構造の表面に現れるマクロステップ構造およびテラス構造の内部量子効率への寄与を明らかにすることを目的とする。主としてカソードルミネッセンス(CL)マッピング法を用い暗点密度、発光波長の空間分布評価、貫通転位近傍のCL強度プロファイルの解析を行い、特異構造を有するAlGaN混晶半導体の内部量子効率を制限する要因を顕微分光学的見地から明らかにすることにより高効率化への指針を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
対向配置でアニールされたスパッタAlN(FFA-AlN)テンプレート上に成長した、転位密度が同じかつ内部量子効率(IQE)が異なる深紫外光AlGaN多重量子井戸(MQW)構造に対して、カソードルミネッセンス(CL)強度分布像に現れる貫通転位に対応した暗点コントラストの解析を行った結果について考察を進めた。得られた実効拡散長および暗点コントラストとIQEの関係について、理論フィッティングを適用して解析を行った。既に実効拡散長とIQEには明確な正相関があることが明らかとなっていたが、今回、IQEの変化が点欠陥の影響を考慮した実効拡散長および暗点コントラストの理論モデルを用いて定性的に説明できることが示された。また、用いられたフィッティングパラメータもこの材料系において適切な範囲であった。昨年度に引き続いて、貫通転位密度が異なるFFA-AlNテンプレートおよびMOVPE-AlNテンプレート上に成長した井戸数が異なるAlGaN MQWのIQEと実効拡散長の相関について比較を行った。MQW層数の増加によりIQEが改善、実効拡散長が長くなる傾向から、点欠陥の影響が低減するものと考えられ、これらの結果について考察を更に進めた。MOVPE-AlN上より1桁程度転位密度が低いFFA-AlN上MQWにおいてMQW層数増加に対するIQEの改善効果がより顕著であった。これらの結果は、MQW層数増加によるIQE改善効果に加えて、貫通転位を介した点欠陥拡散の可能性を示唆するものであった。貫通転位の抑制が点欠陥抑制にも寄与する可能性がある。さらに、IQE評価における効率曲線との相関について調べるために、まず、試験的にいくつかの試料に対してCL強度分布像から見積もった実効拡散長の照射電流依存性を評価し、照射電流に対する変化が見られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度を目処に評価手法についての一連の検討を済ませること念頭に研究を推進してきた。2023年度は、主に2022年度に得られた実験結果に対する理論的側面からの補強を行った。これにより、CL強度分布像中の暗点コントラスト解析を用いて、IQEに対する点欠陥の影響を評価する手法が定性的比較においては有用であることを示すことができた。また、実際にその手法を用いて貫通転位密度およびMQW層数が異なる試料に対する解析を行い、その結果をもとにMQW層数や転位密度が試料中の点欠陥の拡散に与える影響について考察し、考えうるモデルを提案できた。この手法を用いた新たな研究展開として、励起パワー密度依存フォトルミネッセンス(PL)測定において観測される非輻射再結合中心の充填過程について、実効拡散長の電流依存性との比較を通じた検討を開始し、非輻射再結合中心の充填を示唆する新たなデータが得られ始めている。 また、派生研究として近年、人体に無害な殺菌消毒用固体光源用として注目されている230nm帯の発光波長を呈するMQWについてCL評価を行い、発光の空間分布について評価を開始した。MQW層数が異なる試料において発光波長、発光強度の空間分布に変化が見られたが、積分CL強度はほぼ一定で結果的にマクロな発光特性に悪影響を与えていないことがわかっており興味深い。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、CL強度像中の暗点解析により見積もった実効拡散長の照射電流依存性についてさらに研究を進める。具体的にはIQEが異なる試料に対して照射電流依存性評価を行うことにより、IQEと相関して現れる変化に着目した検討を行う予定である。IQEとの相関が系統的に得られた場合は、理論的な考察を進める。これにより、定性的ではあるものの、局所的なIQEの高低について議論できる可能性がある。派生研究として230nm帯発光波長のMQWについてもIQE評価と空間分解分光を絡めた実験、検討を継続したい。新たな試料についても入手準備を行っているところであり、更にデータを蓄積していく予定である。
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