Ⅲ-Ⅴ族半導体量子ドットネットワーク構造の創製と量子デバイスへの応用
Project/Area Number |
22K04196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山口 浩一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40191225)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 量子ドット / インジウム砒素 / 電子的強結合 / ミニバンド形成 / 分子線エピタキシー / フォトルミネッセンス / 2次元物質 / 均一エネルギー幅 / 量子デバイス / III-V族半導体 / 結晶成長 |
Outline of Research at the Start |
人工原子とも呼ばれる半導体量子ドットは、次世代の情報通信デバイスや高効率エネルギー変換デバイスなどへの応用が期待されている。本研究では、量子ドット材料とその構造の多様化に向け、各種基板材料上に分子線エピタキシー法により、多種のⅢ-Ⅴ族化合物・混晶半導体((Al,Ga,In)-(As,N,Sb)系)の面内超高密度量子ドットの自己形成法を確立するものである。さらに、酸化膜中に埋め込んだ面内超高密度の量子ドット人工原子層から成る新たな2次元人工原子層物質の創製およびその新奇光電子物性の発現と新たな量子デバイスへの応用展開を拓く。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の主要な研究業績は、面内超高密度InAs量子ドット層における隣接量子ドット間の電子的な面内強結合による面内ミニバンド化の実証であり、その成果は2022年10月にJapanese Journal of Applied Physics誌に掲載された。 研究代表者は、分子線エピタキシー(MBE)によりGaAs(100)基板上に自己形成したInAs/InAsSb系量子ドットの面内密度が1×1012 cm-2の世界最高密度を達成している。本研究では、その面内超高密度InAs量子ドット層のフォトルミネッセンス(PL)スペクトルの温度依存性について、PLスペクトルの最小エネルギーの温度依存性に着目した。温度上昇による個々の量子ドットの均一エネルギー幅の増大により隣接量子ドット間の電子的な強結合が起こるモデルを提案した。量子ドット間の強結合による最低エネルギーの温度依存性において、ある温度からバンドギャップの温度依存性(Varshni shift)よりもさらに低エネルギーシフトが起こり、再び低エネルギー側でVarshni shiftに従う傾向を示す実験結果を得た。提案モデルによるモンテカルロシミュレーションによって実験結果を再現し、面内強結合よる量子ドット間でのミニバンド形成を世界で初めて実証した。この成果により、量子ドット層における電子状態の零次元電子系から2次元電子系への遷移を温度によって制御できることを明らかにした。 また、面内超高密度InAs量子ドット層における面内電気伝導特性についても実験を試みており、非線形特性が得られることを明らかにした。この結果より、量子ドットネットワーク構造の物理的なリザバーコンピューティングへの応用が期待される状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、半導体量子ドットの面内強結合による2次元電子系の実現とその新たな2次元物質創製およびデバイス応用への展開を目指している。その前者の面内超高密度量子ドット層における電子的強結合を世界で初めて実証した点は大きな成果である。 面内超高密度量子ドット層を新たな2次元物質構造として、その電子状態の制御や新現象の発現とデバイス応用の展開を目指しており、その準備段階としては良好な進捗状況と言える。また、この面内超高密度量子ドット層における量子ドットネットワーク構造を物理的なリザバーコンピューティングへの応用に向けて順調な状況であり、今後の展開に期待が持たれる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究成果を基に、面内超高密度量子ドット間における零次元電子系から2次元電子系への量子状態遷移を2次元パーコレーションによるモデル化を検討し、面内超高密度量子ドット層の構造による量子状態遷移の特性変化を調べる。また、面内超高密度量子ドット層の変調構造による電子状態の変化を実験的に調べ、新たな2次元物質構造の設計・製作を目指す。 さらに、面内強結合した2次元量子ドット層について、電気伝導特性の温度依存性を詳細に調べ、量子ドット層における輸送特性、輸送機構を明らかにし、その非線形特性を利用した物理リザバーコンピューティングへの応用展開を図る。 当初の研究計画に示した酸化膜上への面内結合系量子ドット構造の作製については、量子ドットの結晶品質の問題もあったため、今後は半導体基板(GaAs基板)上へのInAs/InAsSb系量子ドットの自己形成を中心に展開していく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)