Project/Area Number |
22K04287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22020:Structure engineering and earthquake engineering-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長嶋 史明 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70793537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Dhakal Yadab 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波火山ネットワークセンター, 特別研究員 (60708890)
川瀬 博 京都大学, 防災研究所, 寄附研究部門教員 (30311856)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | S-net / 地震動 / 地下構造同定 / 拡散波動場理論 / 海底観測記録 / 海域地盤構造 / 拡散波動場 |
Outline of Research at the Start |
海域の表層地盤構造については観測が難しく高コストであり、その詳細について十分に検討されているとは言えない。日本海溝で発生した地震はその地盤構造を通って日本列島まで伝播しており、海域の地盤構造を詳細に推定することで将来海域で発生する地震の震源決定や断層モデル推定の精度向上、強震動予測や緊急地震速報の高精度化につながる。本研究では、北海道根室沖から関東までの太平洋沖の海域に設置されている海底地震津波観測網S-netでの地震観測記録を用いて、同地域の地盤構造を同定し地盤の増幅特性を推定し、伝播経路特性を評価することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本近傍のプレート境界ではこれまで大被害を伴う地震が幾度も発生しており、将来発生する海溝型地震によりもたらされる地震動や地震被害の予測精度向上は被害軽減に資するものと考える。しかし、海溝で発生した地震動が日本に伝播するまでに通過する海域の地下構造については、その観測の困難さから詳細な検討はなされていない。本研究では、関東から北海道南部までの太平洋沖に整備された海底地震津波観測網S-netの地震動記録を用いて、地震動の拡散波動場理論(DFCe)に基づき地下構造を推定することを目的とする。 本年度は、まずS-netの連続観測記録から地震動を抽出し、抽出した地震動記録から地震計の傾きにより生じる鉛直方向や方位のずれをTakagi et al. (2019)の手法により補正した。次に、もっとも設置深度が浅い(水深102m)S2N01観測点を対象として、海面からの反射波の影響や拡散波動場理論の適用性の検証を行った。水面から反射した粗密波が水中観測点の上下動成分において上昇波と干渉し、地震動の水平上下スペクトル比(EHVR)の特定の振動数でピークが生じると考えられる。S2N01の水深は102mなので、海水のP波速度を1500m/sと仮定すると約3.67Hzに反射波の影響が生じると期待される。MJMA>5.5の25地震の地震動のS波部以降40秒を用いて求めたEHVRには3.67Hz周辺にピークは確認されず、海面からの反射波の影響は小さかったと考えられる。 S2N01では反射波の影響はないとみなし、DFCeに基づきEHVRを再現するような地下構造を推定した。10層+基盤のモデルを初期モデルとしてS波速度VsとP波速度Vp、層厚を同定した。観測EHVRに見られた低振動数の幅のあるピークや高振動数のシャープなピークを再現できる地下構造を同定でき、DFCeの適用性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は地震観測記録の収集と補正および海面からの反射波を考慮した地下構造同定プログラムの作成を目標としており、研究実績の概要で述べたように地震記録の収集及び補正は完了している。反射波を考慮した地下構造同定プログラムも作成できており、今後の解析で反射波の影響が見える観測点については本プログラムでの地下構造推定を行う予定である。また、地震記録の解析や地下構造同定にも着手しており、来年度は解析実施観測点を増やしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
S-netの全観測点の地震観測記録の収集および補正は完了したので、その記録を用いて反射波の影響を検討し、地下構造の推定を行う。S-net観測網が設置されている領域の全域をカバーするように地下構造を推定し、補間することで3次元的な地下構造の推定を目指す。並行して、S-netの観測記録を用いたスペクトルインバージョン手法によって震源・伝播経路・サイト増幅特性の分離を行い、同定地下構造との比較検討を行う。
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