物理・化学的なクロッギングが地盤の重金属等捕捉機能に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
22K04309
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22030:Geotechnical engineering-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 智大 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (80943612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 敦史 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (30598347)
勝見 武 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60233764)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 透水係数 / 定水位透水試験 / 反応速度 / 電解質 / 自然由来重金属等 / 吸着層工法 / 低濃度汚染土 / カラム試験 |
Outline of Research at the Start |
近年、大規模建設事業に伴い自然的原因で重金属等を含む低濃度汚染土が大量に発生している。これらの土は、道路盛土等の一定の管理下での適用が期待される。低濃度汚染土の有効利用に向けて、低濃度汚染土層の下部に設ける吸着層等の有効性を明らかにする必要がある。現在、吸着層を含む盛土では、浸透した水は吸着層を透過する際に浄化されて地下水に排出されるべきだが、その「透水性」に着目した研究は限られている。特に、吸着反応に伴う沈殿によって間隙が閉塞し透水性が低下する可能性も考えられる。そこで本研究では、吸着材と母材を混合し吸着層を模した供試体を用いて透水・吸着試験を行うことで、吸着層の透水性変化を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
計画した2つのサブテーマについて、以下のような検討を行った。サブテーマ(1)「透水性能の不確実性が重金属等捕捉機能に及ぼす影響の評価」では、掘削土から溶出する物質の挙動評価を行った。具体的には2年目以降の実験系の確立を目的に、実際の建設工事で発生した頁岩と泥岩を対象にバッチ溶出実験し、自然由来のヒ素とホウ素の実験結果に対して1次反応速度論モデル式をフィッティングすることで、反応速度パラメータを取得した。また、公定法の振とう式バッチ溶出試験と、非振とう式試験の比較も実施し、非振とう式は既存のモデルに整合した一方、振とう式では整合しない結果が得られた。以上の結果から、破砕性を有する自然由来の土壌・岩石試料には振とう式試験は適さない可能性が示唆された。 サブテーマ(2)「吸着層の物理・化学的クロッギングが地盤の透水性に及ぼす影響の解明」では、吸着材を山砂に混合して吸着層を模擬した供試体について、蒸留水や塩化カルシウム溶液、水酸化第二鉄溶液を通水する定水位透水試験を実施した。特に、盛土では掘削土から高濃度でカルシウムや鉄などの電解質を含む浸透水が吸着層に流入する可能性があり、それらが吸着層の透水性に影響を及ぼすことで、重金属等の捕捉機能にも影響する可能性がある。そこで、吸着材として一般的な、カルシウム/マグネシウム系材料を山砂に混合し、濃度の異なる電解質を通水して透水係数の時間変化を評価した。その結果、蒸留水と塩化カルシウム溶液を通水した場合には10-5 m/s程度の透水係数が得られた一方で、水酸化第二鉄溶液を通水した場合には透水係数が2オーダーほど小さくなる結果が得られた。黄鉄鉱を含有する掘削土など、鉄イオンを含む浸透水の流入が見込まれる場合には、透水性の低下を考慮して盛土内に水を溜めないような構造とする必要性が示唆され、吸着層を含む盛土の構築に向けた重要な成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は計画した2つのサブテーマについて、想定通りの進捗が得られた。サブテーマ(1)では、掘削土から溶出する物質の挙動評価を実施できており、2年目以降の透水試験実施に向けた試料の選定が進んだ。実際の建設工事で発生した頁岩と泥岩を対象にバッチ溶出試験を実施し、自然由来のヒ素とホウ素の実験結果に対して1次反応速度論モデル式をフィッティングすることで、反応速度パラメータを取得した。その結果、頁岩・泥岩試料からのヒ素の溶出は24時間程度で平衡に至ることが明らかになった。そこで、2年目以降は24時間以上の固液接触時間を確保した溶出試験によって抽出液を作成し、透水試験を実施する見込みである。 サブテーマ(2)「吸着層の物理・化学的クロッギングが地盤の透水性に及ぼす影響の解明」では、吸着材を山砂に混合して吸着層を模擬した供試体について、蒸留水や塩化カルシウム溶液、水酸化第二鉄溶液を通水する定水位透水試験を実施した。具体的には、吸着材として一般的なカルシウム/マグネシウム系材料を山砂に混合し、濃度の異なる電解質を通水し、透水係数の時間変化を評価した。その結果、蒸留水と塩化カルシウム溶液を通水した場合には10-5 m/s程度の透水係数が得られた一方で、水酸化第二鉄溶液を通水した場合には透水係数が2オーダーほど小さくなる結果が得られた。透水性能低下のメカニズム同定には至っていないものの、当初の予定通り、2年目以降にXRD分析やX線CT分析等を組み合わせることで精緻化を目指す。1年目の研究では、黄鉄鉱を含有する掘削土など、鉄に起因するイオンを含む浸透水の流入が見込まれる場合には、透水性の低下を考慮して盛土内に水を溜めないような構造とする必要性が示唆され、吸着層を含む盛土の構築に向けた重要な成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画で掲げた2つのサブテーマについて、今後の推進方策を記載する。1つめのサブテーマでは、1年目に実施したヒ素とホウ素の溶出試験結果を踏まえ、吸着試験・透水試験を実施する。具体的には、1年目の実験結果をもとに自然由来重金属等の抽出液を作成し、吸着材を非汚染土に添加して吸着層を模擬した供試体に通水することで、重金属等の捕捉機能と透水係数の経時変化を評価する。吸着材には高い吸着性能が確認されている、酸化マグネシウム、酸化鉄、層状複水酸化物を主成分とする材料を用いる。母材には実現場で入手しやすく締固め性能にも優れる山砂を使用する予定であり、粒度、混合比率、乾燥密度をパラメータとして透水係数の経時変化を測定しつつ、自然由来の重金属等のうち報告件数が多い、ヒ素を含む溶液を通水させることで吸着性能を評価する予定である。 2つめのサブテーマでは、1年目の試験結果を踏まえて、透水性能低下のメカニズム解明に向けた検討を行う。具体的には、透水試験前後の供試体の間隙構造の可視化、吸着材の流動と吸着性能の不均質性の評価を行う。吸着材の粒子密度の多くは、母材である土の粒子密度よりも大きいため、X線CT分析による吸着材の空間分布評価が可能と見込んでおり、1年目に実施した透水試験前後の供試体間隙の可視化、吸着材が流動する様子や、XRD分析による沈殿形成反応によって生じた化学的なクロッキングの様子を評価する。また、供試体を等間隔で分割し凍結乾燥させた後に、各分画の粒度分布を測定することで、吸着材の流動を調べる。さらに各分画について、ヒ素を対象にバッチ式吸着試験を行い、透水試験後に生じた吸着性能の不均質性を考察する。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Evaluating the arsenic attenuation of soil amended with calcium-magnesium composites of different particle sizes2022
Author(s)
Gathuka, L.W., Kasai, H., Kato, T., Takai, A., Inui, T., and Katsumi, T.
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Journal Title
Soils and Foundations
Volume: 62
Issue: 3
Pages: 101130-101130
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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