Artificial substrate for diversity restoration of stream benthic assemblages
Project/Area Number |
22K04340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22040:Hydroengineering-related
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
斎藤 裕美 東海大学, 生物学部, 准教授 (50433454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布川 雅典 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 主任研究員 (90389651)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 河床低下 / 底生動物群集 / 人工基質 / 露岩 / 多様性回復 / 河川性底生動物 |
Outline of Research at the Start |
近年、防災を目的とした河川構造物の設置や河川改修が重要な施策となる一方で、河川環境への人為的改変は生態系が激変すると問題視され、双方の両立が課題となっている。道内では、河川水の流下能力確保のためにおこなわれた直線化や洪水時の河岸浸食防止対策が一因となり、河床の低下による露岩が各地の河川で顕著となっている。河床低下により河岸崩壊などの災害が懸念されるが、同時に河床低下による露出した岩盤の単純な河床構造は、底生動物の限られた種のみを優占させ群集の多様性を失い、河川生態系を貧弱にする。申請者らは露岩した単一な構造の岩盤河床に底生動物群集の多様性を回復する人工河床を開発し、その効果と持続性を調べる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、河川の露岩化による劣化した底生動物群集の多様性を回復する人工河床技術を開発するため、2つの研究をおこなう。 Ⅰ.岩盤河床上と礫河床の底生動物群集の特性比較 Ⅱ.人工河床が底生動物群集に与える効果の持続性と人工河床の耐久性の検証 Ⅰでは、岩盤河床と礫河床の底生動物群集の特徴を1年間の季節にて比較し、単純な構造の岩盤河床と複雑な構造の自然礫河床上に形成される根本的な底生動物群集の特徴を明らかにする。2022年度では、春、夏、秋、冬と4回自然河床と岩盤河床と礫河床の底生動物の採集を各々3基の帯工区間にて実施した。 Ⅱでは、岩盤上に岩盤と同じ素材で作成した人工河床を設置し、人工河床が底生動物群集に与える効果の持続性とその耐久性を検証する。現在、河川改修の際、生態系への機能を高める目的で様々なデザインの河床基質が設置される。しかし、その効果の持続期間を検証した研究はない。このような人工河床の機能は一過性のものではなく、長期間にて河川生態系を支える機能を持続するべきであり、そこで、1年を通して人工河床の効果を維持することを実証する。2022年は、冬季から人工基質実験を開始するため、まず、札幌軟石を加工する工場長と相談し、試作品を作成した。6月から耐久度および河床に固定する技術を開発するため、アンカーやボルト、またはネジなど様々な固定器具とその素材を試みて、技術を獲得した。また、人工基盤の底にも底生動物が着底するため、当初、1枚にて人工基質を作成したが、上面の実の影響を考慮するため、2枚に重ねて人工河床を作成した。実験は2022年の冬季に1回おこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的Ⅰについて遅れている。春、夏、秋、冬にて底生動物群集の採集をおこなった。しかし、種同定の作業に担当した学生さんが視覚障害であったため、出来うるだけ分類作業をおこなった。顕微鏡の視野をTV画面にて写し、分類作業を進めていた。申請者が底生動物の分析を確認すると3分の1しか底生動物群集を確認できなかったため、分類作業が遅れている。ただし、分析結果の傾向は、分担者の布川らがおこなった2018年に同じ河川の流域で行われた底生動物群集の調査では、岩盤区ではコカゲロウが優占していた。本研究では、エリユスリカも優占種としてあがったが、これはサーバーネットの網目が小さく小さい底生動物を採集したためだと考えられる。調査区間の底生動物を元々、春のサンプルは2023年度に採集するつもりであったため、採集は2023年度の春と夏(作業に手を付けてしまったため)を再度採りなおす。 研究目的Ⅱについては、技術獲得に多くの時間を要したが、計画通り進んでいる。河床と同じ石材を扱う工場が現在は1つしかないが、工場長が工場で使用している大型カッターなどを考慮し、人工基質を凸凹にする加工について的確な技術的助言をもらった。また、人工基質を露岩河床に固定する技術を獲得する際、人工基質に効率的に穴を開ける技術や器具を申請者が所属するデザイン学科の教員方から協力を得て、提供していただいた。露岩河床でも表面の細かな凹凸があるため正確に人工基質に開けているボルト用の穴と河床に打ち込むアンカーの穴を一致させるため、河床に穴を開けるための厚い板で作成したテンプレートを作成し、高い精度で穴を開け、アンカーを打ち込み、人工河床をボルトで固定することが出来た。ただし、冬季は、実験河川の河床が予定よりも氷に覆われたため、帯工の1面は使用できず、研究目的の3分の2の人工基質で実験をおこなったが、サンプル数には問題がないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、 本年度は、研究目的Ⅰの自然河床にて礫河床と露岩河床で採集する作業を、春季と夏季におこなう。今年度所属学生は4名なで昨年の1名より多いため、2人自然河床の礫と岩盤にて底生動物群集を分析し、解析を今年度中に終わらせる。 また、研究目的Ⅱの人工河床が底生動物群集に与える効果の持続性と人工河床の耐久性の検証にて、春季、夏季、秋季において実験をおこない、春季に長期タイルを固定する。人工基質実験の底生動物群集の分析、解析を2名で取り組む。また、無次元尺度法を用いて凸凹とそれ以外の環境と底生動物群集の関係をより詳しく分析したいため、PC-ORD統計パッケージを発注する。人工基質上の藻類は、特殊アクリル繊維で人工基盤上の藻類をこすって採集する方法(三橋ら 2019)を導入することで、測定を簡便にする。ただし、特殊アクリル繊維の原料が高くなったため、従来の会社とは異なる繊維が厚い会社の製品を使用する。春季に新しい特殊アクリル繊維を用いて藻類量を採取してから使用する。 申請者は、本実験に関連する人工基質実験の論文を6月に河川技術論文集に発表する(査読が終わり現在修正中である)。研究発表では、6月8日に河川技術シンポジウムに参加し、10月24日にて台湾の台南(中山大学)で開かれる国際学会のSCESAP(the Society for Coastal Ecosystems Studies - Asia Pacific)にて発表する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)