環境DNA技術を用いた南方系魚類を指標とする気候変動評価手法の確立
Project/Area Number |
22K04390
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22060:Environmental systems for civil engineering-related
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
平川 周作 福岡県保健環境研究所, その他部局等, 研究員 (90527623)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 淳 福岡県保健環境研究所, その他部局等, 専門研究員 (40584074)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 環境DNA / 南方系魚類 / 微生物相 / 気候変動 / レジームシフト |
Outline of Research at the Start |
本研究では、環境DNA技術を用いて南方系魚類の動向と微生物相を把握するとともに水質データを統合して解析することにより、気候変動の現状をモニタリング・評価するための新たな手法を確立する。 近年、気候変動に伴う南方系魚類の分布の北上が多く報告されており、環境DNA技術を用いることで気候変動に伴う生態系の変化を簡易かつ敏感に察知できると考えられる。本研究では河川を対象として、①環境DNAを用いた南方系魚類の分布調査、②環境DNAを用いた微生物相調査、③水質のデータ分析、に基づいて水圏環境を階層的に統合した解析を行い、河川生態系における気候変動の指標及びレジームシフトの兆候を捉える評価手法を確立する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
九州北部の唐津湾・筑前海周辺は南方系魚類の北限として知られ、福岡県の日本海側は気候変動による魚類相の変動が生じやすい地域である。近年、気候変動に伴う南方系魚類の分布の北上が多く報告されているが、環境DNA技術を用いることでその侵入状況を高頻度に調査することが可能となり、気候変動に伴う生態系の変化を簡易かつ敏感に察知できると考えた。さらに、同時に水環境中の微生物相を調査し、水質のデータと統合することで河川生態系に起こっている具体的変化や状況を推測できると考えた。そこで、①環境DNAによる南方系魚類の分布調査、②環境DNAによる微生物相調査、③水質の化学分析を実施し、水圏環境を階層的(魚類・微生物・水質)に統合した解析を通して河川生態系における気候変動の指標及びレジームシフトの兆候を捉える評価手法を確立するため、研究を展開している。 令和4年度は、福岡県西部から北部にかけて南方系魚類の報告等に基づいて選定した4河川を対象に調査を開始した。予備調査として、令和4年10月に環境DNA調査と採捕調査を同時に実施したところ、採捕によって南方系魚類のタネハゼ、サツキハゼが確認された。その後、現場での作業内容を整理し、令和5年2月から通年の調査を開始した。なお、水質については多項目水質計による現場測定と有機物指標及び無機イオン成分の化学分析を行った。魚類を対象とした令和4年10月、令和5年2月の環境DNA分析は現在解析中である。なお、今後の魚類相及び微生物相については、通年調査の検体が揃ってから同時に解析する予定である。また、魚類のDNAデータベースを拡充することで環境DNA分析における同定精度の向上が見込めることから、令和4年度は回遊魚34種(うち南方系魚類3種、北方系魚類2種、九州固有種8種)の12S rRNA領域及びチトクロームb領域のDNA配列を解読した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では令和4年度の夏季から調査開始を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け、計画の変更を余儀なくされた。そこで、新型コロナウイルス感染拡大時は、これまでに整理・保管していた回遊魚の標本について12S rRNA領域及びチトクロームb領域のDNA配列を解析し、データベースの拡充を優先して行った。 新型コロナウイルス感染症の流向状況を勘案し、毎月一回実施する通年調査は令和5年2月より開始したが、突発的な事由により令和5年3月下旬から研究代表者の療養が必要となった。通年調査は研究分担者及び研究協力者との連携により継続できているものの、研究代表者は療養しながら断続的に作業している状況のため、予定より解析や取りまとめに時間を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年2月から開始した通年調査について、水質分析は採水の都度実施し、魚類相及び微生物相の環境DNA分析は全ての検体が揃ってから同時に実施する予定である。一方、各調査地点においてどのような魚類が検出されるかを予備的に把握しておくため、令和4年10月と令和5年2月に実施した検体については事前に魚類相を解析中である。今後、令和5年度内に現地調査を終了させ、魚類相、微生物相、水質のデータを精査・整理したうえで統計的手法を用いて解析を実施する予定である。 また、環境DNA分析における南方系魚類の同定精度を向上させるため、南方系魚類の侵入時期を考慮して採捕調査を実施し、個体標本に紐づいたDNAデータベースを拡充する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)