激甚化する自然災害に備えた建築基礎構造強靭化のための鋼管杭頭接合部設計法の確立
Project/Area Number |
22K04396
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
古川 幸 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 講師 (30636428)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 鋼管杭 / 杭頭接合部 / 曲げ耐力評価 / 縮小模型試験体 / 塑性設計 |
Outline of Research at the Start |
軟弱地盤や傾斜地で建築物を支持する杭基礎は,災害時に無損傷に留まることが望ましい。しかし2011年の東北地方太平洋沖地震や2016年熊本地震では,杭基礎の損傷に伴う建物の取り壊しが相次いだ。現在,杭基礎への塑性設計の導入が急ピッチで進められており,2019年改定の建築基礎構造設計指針では高耐力・高靭性性能を有する鋼管杭に塑性設計が導入された。一方で,杭の応力状態を左右する鋼管杭頭接合部の設計法の整備は不十分なままである。本研究では,鋼管杭頭接合部を対象に,損傷レベルに応じた接合部の力学特性評価法を構築することで,鋼管杭が終局に至るまで性能が十分発揮できる,鋼管杭頭接合部の塑性設計法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,杭頭接合部の損傷レベルに応じた接合部力学特性評価法を構築し,鋼管杭の高耐力・高靭性性能の安定的発揮を保証する鋼管杭頭接合部の塑性設計法を確立することを目的とする。ここで,評価対象となる接合部力学特性とは,杭頭部の固定度を決める接合部回転剛性,接合部曲げ・せん断耐力を指す。研究期間内に所定の研究成果を上げるため,先行検討により低軸力時における鋼管杭頭接合部の曲げ耐力評価式の素案がすでに提案されている。また,鋼とコンクリートの合成構造を対象とすることから,複数のパラメータでの検討を可能とする縮小模型試験体による実験を主体として研究を遂行する。 初年度は,2年目の本検討にむけて,①先行研究で提案された曲げ耐力評価式の中~高軸力条件における適用性確認と②鉄筋を充填コンクリート内に埋め込むかご鉄筋接合法の縮小模型試験体での再現方法および実験結果の確からしさの確認を行った。①については,想定以上に強非線形挙動を示し,耐力評価式の素案はコンクリートが弾性に留まる範囲でのみ適用可能であることが明らかとなった。以上から,コンクリート側の支圧剛性,強度を別途精緻に評価する必要があることが判明した。②については,鋼管径140 mm程度の内部に直径70 mm程度の円周上にD6の異形鉄筋を配することで試験体を製作した。実験より,簡易評価式で予測できる曲げ耐力も十分に発揮され,充填コンクリート内部の定着鉄筋へも応力が伝達されていることが確認できた。また,こちらも想定していたなったが,充填コンクリート自体も応力伝達に大きく寄与している可能性が明らかとなった。こちらの成果は,2023年度日本建築学会会議論文として提出した。 以上より,初年度で必須の実験を進めるにあたっての問題点の洗い出しを十分に行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度(1年目)は,当初の計画では圧縮および引張軸力載荷実験による鋼管杭頭接合部の鋼管-充填コンクリート間の応力伝達機構の解明に取り組む予定であった。しかし,実験を予定していた大阪公立大学での調整がつかなかった為,急遽2年目に予定していた一定圧縮力下における正負交番水平力載荷実験を先行して東北大学にて実施することとした。また,鋼管内に配したずれ止めの支圧強度の評価として一般的な押し抜き実験も追加で実施することで,圧縮実験を補完した。結果的に,中~鋼軸力下では先行研究で提案した曲げ耐力評価式が適用できないことが判明し,かつコンクリート支圧剛性・強度が曲げ耐力の評価に致命的に関係することが判明したことから,2年目の圧縮実験(もともと1年目に予定)に向けて入念に準備する機会を得た。さらに,先行研究で提案していた耐荷機構も一部適用できないことが判明したことから,再評価のための実験を準備している。以上から,当初の作業工程とは異なるが,最終目標に向けては着実に成果を上げていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の成果を踏まえて,当初は想定していなかったコンクリート支圧剛性評価が,杭頭接合部の損傷レベルに応じた鋼管杭頭接合部の曲げ耐力評価において必須であることが判明した。そこで,2年目(2023年度)では鋼管-コンクリート間の支圧面が明快なかご鉄筋接合方法に焦点を当て,純圧縮試験および2軸載荷試験を実施することとしている。また,従来ずれ止めの力学特性把握に用いられてきた押し抜き実験も併せて実施し,縮小化することでの力学性能の変化を明らかにするデータを得る。さらに純圧縮力に対するコンクリート支圧剛性・強度には,拘束効果をもたらす鋼管の板厚が大きく関係してくることが予想される。そこで,試験体数が限られることから,解析的な検討も実施することで,コンクリート支圧剛性・強度のモデル化に注力する。 また,1年目の成果により,影響が小さいと判明した埋込部の摩擦力に代わる接合部曲げ耐力を増加させる要因を探る実験も実施する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)