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日本近世の芝居小屋と興行空間をめぐる都市史的研究

Research Project

Project/Area Number 22K04507
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 23040:Architectural history and design-related
Research InstitutionOchanomizu University

Principal Investigator

神田 由築  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (60320925)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Keywords芝居小屋 / 興行 / 歌舞伎 / 人形浄瑠璃 / 都市史 / 祭礼 / 近世 / 芸能者集団 / 芸能文化 / 地域社会
Outline of Research at the Start

本研究は、日本近世の芝居小屋と芸能興行をめぐる建築的・空間的環境を明らかにし、歌舞伎や人形浄瑠璃などの芸能が全国各地で共通の文化的基盤を形成した背景を、都市史的な観点から探ることを目的とする。近世の芝居は、常設の劇場よりも寺社境内や祭礼市場に建設された仮設的な小屋で行われることが多かった。これらの芝居小屋は建築としては現存しないが、興行関係の史料に含まれる小屋の図面や配置図から、建築的・空間的環境を復元することはかなり可能である。本研究では、それらの情報を集積することで興行空間のイメージを再構築し、あわせて全国共通の芸能文化が形成された要因を、建築や空間という要素から検討する。

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、日本近世の芝居小屋と芸能興行をめぐる建築的・空間的環境を明らかにし、歌舞伎や人形浄瑠璃などの芸能が全国各地で共通の文化的基盤を形成した背景を、都市史的な観点から探ることを目的とする。
2023年度は、2022年度に明らかになった18世紀後半からの「新作浄瑠璃」の影響に引き続き注目し、芝居小屋や興行空間の展開を後押しした全国共通の文化的基盤の形成について、包括的な見通しを描くことに努めた。
成果は2点である。第一に、近世の芝居は、そのものが壮大な遊びであるだけでなく、18世紀には古典文学や和歌と並ぶような〈複合的な遊び〉の源泉ともなっていたこと、そしてその遊びの享受者は、知識人や文人などの社会階層から新たな層にまで拡がりつつあったということ、その具体像が料理書を通して明らかになった(「近世の芝居と料理」)。そして19世紀には全国的に旅芝居や地芝居が盛んになり、芝居の人気作品の詞章や台詞を多くの人びとが共通の知識として持っていることを前提に、さらに言葉による様々な遊びが仕掛けられるようになったのである。こうした遊びの普及が、芝居小屋や興行空間の展開に相乗効果をもたらしたことは容易に想像できる。
第二に、「新作浄瑠璃」は、①全国規模での拡散、②素人への浸透、を通じてその後の芸能シーンに大きな衝撃を与えたが、その影響は祭礼にまで及び、本来「芸能の商品化」とは一線を画して展開してきた共同体の〈風流-祭礼〉の系譜に、商品化された「語り」芸が持ち込まれることになった。なぜなら、「語り」芸の途上に出現した「新作浄瑠璃」が〈素人の芸能〉という文脈を経由して参入することになったからである(「芸能にみる三都と地方」)。
以上、芝居が複合的な遊びの源泉となり、商品としてのみならず共同体の祭礼にまで浸透するようになったこと自体も、芝居小屋や興行空間の増大の要因として考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2023年度は、2022年度に先送りした、大坂を中心とする一円的な空間=文化領域を分析し、瀬戸内海地域を対象に「線」形な展開形態を取る興行空間のモデルを提示する予定であった。しかし、作業の過程で、そもそも全国的なレベルで興行空間が拡大した要因が、芸能の商品化の側面だけではどうしても説明できないことに思い至り、改めて共同体の〈風流―祭礼〉の系譜に着目する必要が生じた。そのため、作業としてはやや遠回りすることになった。また、2024年度に行う予定の、三都の寺社境内における興行空間の検討(具体的には金蓮寺と歓喜光寺)を前倒しで進め、研究会等で報告しレポートをまとめる予定であったが、まだ実現に至っていない。
以上により、2022年度に引き続き芝居小屋や興行空間そのものの分析が遅れているため、これから本格的に建築的・空間的環境についての調査・分析を進めたいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

2023年度は、芝居小屋や興行空間の展開を考える前提として、そもそも全国的なレベルで興行空間が拡大した要因が、芸能の商品化の側面だけではどうしても説明できないことに思い至り、改めて共同体の〈風流―祭礼〉の系譜に着目した。
2024年度はこれをもとに、二つの作業を進めることにしたい。一つは、芝居小屋の有無にかかわらず広く祭礼市の分布状況を考えながら、藩領域という「面」形な展開形態を取る興行空間のモデルを提示することである。ただし、2022年度の分析により、さまざまな芸能者集団が多数存在し、それにともない興行空間も予想したよりも複雑な様相を呈していることが見えてきたため、そうした変数も引き続き考慮する必要がある。また、瀬戸内海地域での分析も並行して進める予定である。
もう一つは、2024年度に行う予定であったのを前倒しで進めていた、三都の寺社境内における興行空間の成果の公表である。早い時期に研究会等で報告し、レポートをまとめたいと考えている。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Research-status Report
  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023 2022

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 近世の芝居と料理2024

    • Author(s)
      神田 由築
    • Journal Title

      日本歴史

      Volume: 908 Pages: 65-71

    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Journal Article] 熊本藩領における地役者と旅役者2022

    • Author(s)
      神田 由築
    • Journal Title

      部落問題研究

      Volume: 241 Pages: 27-57

    • Related Report
      2022 Research-status Report
  • [Presentation] 芸能にみる三都と地方―風流と語りのゆくえ―2023

    • Author(s)
      神田 由築
    • Organizer
      第63回日本風俗史学会大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Invited
  • [Book] 社会集団史2022

    • Author(s)
      塚田孝、磐下徹、三枝暁子、大山喬平、三田智子、ジョン・ポーター、神田由築、久堀裕明、飯田直樹、吉元加奈美、朴澤直秀、町田哲、西田かほる、松本和明、山下聡一、原直史、渡辺祥子、島﨑未央、彭浩、谷直樹、齊藤紘子、森下徹、後藤雅知
    • Total Pages
      358
    • Publisher
      山川出版社
    • ISBN
      9784634530805
    • Related Report
      2022 Research-status Report

URL: 

Published: 2022-04-19   Modified: 2024-12-25  

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