Project/Area Number |
22K04522
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
|
Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
岡辺 重雄 福山市立大学, 都市経営学部, 教授 (70618131)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 見和 福山市立大学, 都市経営学部, 助教 (80899873)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | 民家間取り / 住家野取図 / 旧山野村役場文書 / 大正時代 / 民家 / 間取り / 旧山野村 |
Outline of Research at the Start |
福山市山野町の古民家の建築履歴を調べる中で、大正11年に旧山野村役場が村内全域の民家間取りを調査した住家野取図が発見された。古民家研究は地域の特定の建物を調査するにとどまることが多いが、本研究は、約500軒に及ぶ全村悉皆調査の史料から、大正期の民家間取りを全村包括的に再現するものである。 その成果を基に、これまでの通説の検証を行うこととする。通説①は、明治から昭和にかけて広間型から四間取型への移行過程とされておりその実像を探る。通説②は、明治期に普及したとされる離れ座敷の普及の度合いを探る。 また、今日まで残っている建物の間取り改変を調べ、生活改善に伴い間取りが変化したとの通説の状況を評価する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
大正11年に旧山野村(現広島県福山市山野町)全域の民家間取りを調査した「住家野取図」が発見された。一般的な古民家研究は地域の特定の建物を調査するにとどまることが多いが、今回約600軒に及ぶ史料から、大正期の民家間取りを村内全域で包括的に理解することが可能となった。2022年度は、大正11年に存在した農家造りの民家549軒を抽出し、母屋の間取りの特徴について集計整理した。 2023年度は、大正11年の民家の所在地を住宅地図や聞き込みにより判明した260軒(無住空家を含む)に対してアンケート調査を実施し、建物更新と間取りの変化を把握した。有効回答は75(28.8%)であり、無住で管理もされていない空家が多いことを再認識した。間取り別の回答状況では小規模な広間型の回答が少なく、小規模間取りは存続していない傾向となった。 大正11年の建物が現存しているとする回答は33(44%)であり、新居に建替たものも多い。なお、現存している建物の建築時期では、江戸期5、明治期14、大正期4、の回答があり、時期を不明とするものも多いが、江戸期の建物は希少性が高いこと、明治期の藁葺き古民家が一定程度存続していることがわかった。 建物更新の時期を部屋・土間・水回り・屋根に分けて把握した。回答の9割で建物が更新されており、台所、風呂の水回りの近代化が先行し、土間への床設置や土間の部屋化がすすみ、昭和中期以降に藁葺屋根の瓦葺化やトタン被覆化が進行したことが読み取れた。 母屋の間取りは、続間型から四間取型に拡大したとされるが、増築による拡大は大正期以前で確認され、増築方向については座敷側、納戸側、土間側のそれぞれがあった。母屋の増築による間取り変化は昭和期以降みられず、小規模建物を解体して、現代住宅に建替えてることが一般的となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の計画はアンケート調査により建物更新の状況を把握することとしていたところであり、実施し、その結果を取りまとめ、日本建築学会中国支部研究発表会で発表したところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の主な目的は達成済みと考えており、当初計画どおり2024年度は大正時代の間取りを住家野取図により把握することに基づく民家研究の可能性について考察し、研究論文とする。 また、補足的に、希少性が確認された江戸期の民家を詳細に調べ、大正期以前の建築と更新の実態を把握したり、江戸期の民家の建築時期の特定や地域の土地所有状況等を探り、今後の発展的な研究のシーズを探りたい。 さらに、住家野取図が県の要請により作成されたと考えられることから、県内他の市町村での作成状況を探っておきたい。
|