Project/Area Number |
22K04524
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
阿部 貴弘 日本大学, 理工学部, 教授 (90549445)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 近世城下町 / 町人地 / 設計論理 / 水系 / 町割 / 地形 / 微地形 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、まず、明治初期に作成された大縮尺近代測量図の地図計測による定量的分析という、これまでに大規模城下町に対して適用してきた既存の方法論について、大縮尺の近代測量図が存在しない中小規模の城下町にも適用できるよう改良・精緻化を図る。 そのうえで、中小規模の近世城下町の中から10城下町程度を研究対象として選定し、それらに改良・精緻化した方法論を適用するとともに、城下町間の比較分析等に基づき、各城下町の都市設計論理を解明する。 さらに、設計論理の時系列的変遷を踏まえて、近世城下町の設計論理の全体像を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に実施した研究により、近世城下町の設計論理を読み解くための研究方法論として、城下町間の相互比較を行う際には、近世城下町を類型化したうえで類型間比較を行うことが有効であることを確認した。 そこで、2023年度は、2022年度に実施した類型化をより有用かつ精緻なものとするため、まず類型化の見直しを行った。具体的には、近世初期の1640年代に作成された正保城絵図が現存している城下町(63城下町)を対象に、立地や地形、濠や水路の平面形態といった既往の類型化の視点に加え、濠及び水路の水源や導水方法にも着目して類型を精査し、その結果、大分類として、「Ⅰ.空濠・濠無し型」、「Ⅱ.棚濠型」、「Ⅲ.河川活用型」、「Ⅳ.水面引込型」の4類型、さらに細分類を含めると全7類型に再整理することができた。これにより、城下町の都市構造と立地(地形)との関係、さらに濠及び水路と立地(地形)との関係がより明確となり、これらの比較分析に基づき、今後、地形や濠及び水路等が都市設計論理にどのような影響を及ぼしたのかを読み解くことができると考える。 そのうえで、2022年度から史料調査を開始していた研究対象城下町について、新たな類型に再分類した。さらに、それぞれの城下町について、文献資料や考古学資料、絵図や旧版地図等の都市設計に係わる資料、関連調査や研究成果等を収集・整理するとともに、分析の最初期段階として、特に街路や水路等のインフラの整備過程に着目しながら、都市建設の過程を把握・整理した。また、2022年度に検討した分析資料の不足を補う方法論の一つとして、現代の地形データに基づく微地形図を各都市において作成し、分析資料に加えた。 これらに基づき、おもに街路や水路等のインフラ整備と町割(街区整備)との関係に着目して、各城下町の建設過程を分析し、年表や変遷図として取りまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、2022年度に選定した研究対象城下町について、文献資料や考古学資料、絵図や旧版地図等の都市設計に係わる資料、関連調査や研究成果等を収集・整理し、分析の最初期段階として、特に街路や水路等のインフラの整備過程に着目しながら、都市建設の過程を把握・整理した。 また、2022年度に実施した近世城下町の類型について見直しを図り、類型をより精緻なものとするとともに、研究対象城下町を各類型に再分類した。 これらに加えて、今後の分析をより精緻なものとするための方法論の改良にも取り組んだ。具体的には、2022年度に検討した設計論理を読み解くための既存の方法論を適用する際の課題と解決方策を踏まえ、具体的な課題解決方策の一つとして、近世の絵図には欠落している標高データを補うため、現代の地形データに基づき、1尺(約30cm)感覚の等高線を発生させた微地形図を各都市において作成し、分析資料に加えることで、設計論理の解明に向けた基礎資料を整えた。なお、現代の微地形図については、明治以降の土地改変に対する配慮が必要であることも念頭に置いている。 そのうえで、設計論理の分析の第一段階として、各城下町において、街路や水路等のインフラ整備や町割(街区整備)に関わる年表及び変遷図を作成し、引き続き設計論理の解明に取り組んでいる。 なお、今後の史料調査において、研究の進展に大きな影響を及ぼすような史料の欠如などが生じた場合に備え、当初の計画よりもやや多く研究対象城下町を選定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降は、過年度の研究成果を踏まえ、各研究対象城下町の設計論理の解明に取り組む。 具体的には、過年度の研究成果で整理した近世城下町の類型を念頭に、各類型のもとに分類した個々の研究対象城下町において、地形や濠及び水路等のインフラ整備が町割(街区整備)に及ぼす影響を分析・考察する。その際、特にインフラ整備と町割との関係における都市設計上の優先度に着目する。 そのうえで、設計の際に優先される要素に留意しつつ、城下町間(類型間)の設計論理の比較を行い、それらの相違点や類似点等を抽出し、設計論理の全体像の解明に向けた論点を見出す。 これらと並行して、現代の微地形図の適用可能性についても再検討を進め、設計論理の詳細な分析を進める際の既往の方法論適用上の課題や改善方法についても引き続き検討する。 なお、各類型のもとに分類した城下町において、研究の進展に大きな影響を及ぼすような史料の欠如などが生じた場合には、研究対象城下町の見直しも行う。
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