Project/Area Number |
22K04526
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
米澤 貴紀 名城大学, 理工学部, 助教 (40465464)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 大工技術資料 / 「伊藤満作家資料」 / 伊藤平左衛門 / 伊藤満作 / 図面 / 目録作成 / 資料のデジタル化 / 資料評価 / 伊藤満作家資料 / 大工文書 / 建築資料 / 大工技術 / 知識・技術の伝播 |
Outline of Research at the Start |
現在、名古屋市蓬左文庫に所蔵される「伊藤満作家資料」は、明治時代に活躍した伊藤満作が所持していた資料である。当資料は未公開で、その価値評価はまだ為されていない。そこで、本研究では、資料整理と目録の作成を進めると共に、文書に記された建物と実物との照合、資料に見られる大工の活動実態調査より資料の評価を行う。そして、明治維新前後の大きな社会・産業の変化に大工・大工家がいかに対応していったのかを示すものである。建築資料である当資料を建築史の観点から評価し、公開できるようにすることで、広く利用できるようにすることも本研究の目指すところとなる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、明治時代に名古屋の名工として知られた伊藤満作が残した「伊藤満作家資料」(名古屋市蓬左文庫所蔵)の調査を進め、本資料の全容と、伊藤満作および本家にあたる伊藤平左衛門家の仕事を明らかにするものである。それは、本資料が作成された、明治維新前後の社会と産業の大きな変化に大工・大工家がいかに対応していったのかを示すことにつながる。具体的には、①「伊藤満作家資料」を整理、全容を明らかにし、目録を作成する、②資料中の建物を調査し、建築史の視点から資料を評価する、③伊藤満作等大工の活動を示す、の3点を目的としている。 今年度は資料の調査と調書・目録の作成を中心に進めた。その結果、江戸時代に作成された八代伊藤平左衛門(守富)作成の図面が多く含まれること、明治時代の図面や建設関係資料は伊藤満作の仕事に関わるものが多いこと、東本願寺・名古屋別院・竹鼻別院をはじめとした真宗寺院の資料が多いこと、洋風建築も本格的に手がけていること、などが分かった。図面については、江戸時代と明治時代で、用紙の質・種類、筆記具、補助線に違いが見られることも確かめられた。実寸で描かれた細部の図面からは東本願寺の大工・柴田家の意匠を取り入れる前後の例が含まれ、伊藤平左衛門家の変化を明確に示す資料であることも分かった。その他、当時の大工の知識や勉強が分かる覚書の帳面や、尾張藩の大工であったことが分かる明治2年(1869)の鑑札など、興味深い資料も確認できた。 また、資料で確認できる建物名を書き出し、それぞれが記された資料の内容に照らして現地調査で確認することを整理し、調査実施のための準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、目録作成と並行して関連遺構の調査を行うとしていたが、資料で確認できる遺構をある程度把握してから取り組んだことが良いと判断したことと併せ、資料のデジタル化の手順を所蔵する蓬左文庫担当者と検討した結果、資料全体の把握を優先した方が良いと言うことになったため、本年度は資料の確認と目録の作成に注力した。結果、資料調査を想定以上に進めることができた。資料関連大工については、研究に協力頂いている小山興誓氏に、調査整理時に折に触れてご教示頂くことで理解を進めている。 以上より、実地の調査への取りかかりは遅れているが、全体としては概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、継続して資料の調査と目録作成を進めていく。そして、資料に見られる建物もある程度判明してきたため、実地での建物の存在確認と実測・記録調査に取り組む。まずは、愛知県内、近隣を中心に取組み始め、夏期には遠方の事例となる大分県での調査も計画している。そして、最終年度に向けて、研究成果の見通しが立てられるようにしていく。
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