病院の災害演習による危機意識の醸成と行動変容を促す施策の立案方法の開発
Project/Area Number |
22K04576
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25010:Social systems engineering-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
梶原 千里 静岡大学, 情報学部, 准教授 (70707835)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 危機意識 / 行動変容 / 災害演習 / 訓練評価 / 災害医療 / レジリエンス / 教育・訓練 / 教育効果測定 / 危機意識醸成 |
Outline of Research at the Start |
災害に対して十分な備えを行い,レジリエンスを高めるには,災害演習によって,参加者の災害に対する危機意識を醸成し,事前対策へ取り組むように行動を変容させることが重要である.先行研究にて,危機意識や行動が変化するまでのプロセスをメカニズムとしてモデル化し,これに基づいて,演習参加者の危機意識や行動の変容を測定する評価ツールを開発した.本研究では,この研究結果を発展させ,このツールで評価した結果に基づき,演習参加者に危機意識を持たせ,行動変容を起こさせる具体的な施策を立案する方法論の開発とその有効性の検証を目的とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で,危機意識や行動が変化するまでのプロセスをメカニズムとしてモデル化し,これに基づいて,演習参加者の危機意識や行動の変容を測定する評価ツールを開発した.本研究では,この研究を発展させ,このツールで評価した結果に基づき,演習参加者に危機意識を持たせ,行動変容を起こさせる具体的な施策を立案する方法論の開発とその有効性の検証を目的とする. 災害拠点病院のA病院では,毎年1回ずつ,施策を適用した災害演習と,評価ツールを利用した演習の効果測定を実施している.演習では,調剤支援システムが故障して使用できなくなったという想定のもと,実際の薬剤を用いて調剤業務を行ってもらった.錠剤,散剤,水剤を含めた5つのダミーの処方箋を用意し,演習参加者には2人ペアとなってもらい,30分の時間制限の中で,できる限りの調剤を行ってもらった.演習参加者には,演習の実施前,演習の実施直後,演習の1ヶ月後の3つのタイミングで,評価ツールの設問に回答してもらった.また,実施前と実施1ヶ月後には,非参加者を含めた薬剤部全員に評価ツールの設問に回答してもらった. 施策の効果を確認するために,上記演習に対する評価結果を分析した結果,6つの施策のうち,効果が見られたのは2つであった.演習直後に行った自由記述のアンケート結果も加味し,効果が見られなかった4つの施策の原因を考察し,施策の修正案を検討した.例えば,情報の蓄積・統合を促す施策として,「実薬を使った演習を行い,様々な処方箋に対応する」を取り入れていたが,制限時間内に対応すべきことが多く,事前の知識や情報と結びつけて演習を行うことができていなかったと判断した.そこで,処方箋の数を4つに減らした. 見直した施策で,再度,A病院薬剤部で演習を実施し,3つのタイミングで評価ツールに回答してもらった.その結果,6つの施策のうち,4つは効果が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A病院薬剤部で災害演習とその評価を繰り返し実施することで,評価データに基づいた施策の見直しと検証を行うことができている.このように,施策立案,演習実施,効果測定,施策改善というPDCAサイクルを回すことができているため,本研究の目的である「i) 評価ツールで評価した結果に基づき,演習参加者に危機意識を持たせ,行動変容を起こさせる具体的な施策を立案する方法論の開発」,「ii) 施策の効果確認方法を開発し,i)で立案した施策の有効性の検証」の達成に近づいていると判断した.したがって,おおむね順調であるとの結論に至った.
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Strategy for Future Research Activity |
A病院薬剤部の災害演習では,効果の見られなかった施策の原因を考察し,改善策を検討する.そして,再度,同演習に反映させ,その効果を確認する. また,効果が見られた施策においても,現状の評価ツールを用いた施策の効果確認方法だけでは,正確に評価ができない可能性があることがわかった.そこで,評価ツールを用いた5点法による評点と,演習参加者の言語データを突き合わせて分析し,ii) 施策の効果確認方法の原案の問題点を特定する.そして,ii)の方法を改良し,先述した薬剤部の災害演習の評価に反映し,有効性を確認する. これらのA病院薬剤部の災害演習へ適用した結果をまとめ,本研究の目的である,i)施策を立案する方法論,ii) 施策の効果確認方法の2つを提案する.他部門や他病院でも適用できるように,具体的な検討・実施プロセスを手順化する.その効果確認のために,他部門や他病院への演習に適用する.他部門・他病院の演習への反映が難しい場合は,A病院薬剤部の別の災害演習への適用を試みる.
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)