Project/Area Number |
22K04658
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25030:Disaster prevention engineering-related
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Research Institution | Japanese Red Cross Hokkaido college of Nursing |
Principal Investigator |
根本 昌宏 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 教授 (50316311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大越 雅之 岐阜大学, 工学部, 研究員 (70625970)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 災害 / 避難所 / 寒冷期災害 / 火災 / 災害関連疾患 / 低体温症 / 災害関連死 / 冬期 |
Outline of Research at the Start |
本研究は1.冬期避難所の効率的な展開手法 2.安全な暖房・換気 3.火災への安全性確保を目的とする。いずれも,疑似的な避難所を大規模にかつ宿泊を踏まえた開設を行い,その課題を明らかにする.寒冷期の災害対策に特化した過去11年間の実績を踏まえ,暖房資機材の展開においては,いまだ手付かずの「防炎」についても着目する.さらに災害対応のキーマンとなる自治体の職員に参加の機会を提供し,実際の現場を体感させることで,最大限の寒冷期防災策への効果が得られる.
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究成果を踏まえ、令和5年度は「安全な暖房・換気」の手法開発に関する取り組みと「火災への安全性確保」について具体的な検証を行い、途中経過について学会・論文にて公表した。成果の概要は以下のとおりである。 1.体育館型の仮想避難所を展開し、避難所で汎用されるポータブルストーブを使用せず、熱交換式ダクトヒーターの運用を行いそのデータを採取した。外気温がマイナス17℃まで下がる中、2台のダクトヒーターの運用によって室温は8℃まで上昇を続けた。室温としては不足している。 2.ダクトヒーター稼働直後から室内の二酸化炭素濃度は減少を続け、4時間後には屋外の二酸化炭素と同等のレベルで一定となった。災害時ににわかに展開する資機材において、寒冷期に新鮮な温かい空気を提供できる貴重なものであることを実証した。 3.想定火源の特性把握(熱特性、距離)ストーブとJH の基本特性を把握し、ストーブは上部に抜けるエネルギーが大きい。水平方向は、エネルギー伝達は小さい。ジェットヒーターは水平方向は、エネルギー伝達が伝達されているが上/下に抜けるエネルギーも大きい。今後、火源の熱特性を反映した避難所使用素材に対する燃焼挙動を把握する。 4.大型燃焼試験(避難所素材)において、メサミン上部着火では、防炎シーツの適応により単独延焼防止可能なことが分かった。強制着火では上部、及び下部着火双方において、上部素材(シーツ、ウレタンフォーム、天板)防炎化により延焼まで20 分間時間を確保できることが分かった。これにより、火災発見から避難するまでの時間を稼ぐことができる。また、延焼した場合も火勢は非防炎より小さなものであった。よって、防炎化した素材の一部防炎化により段ボール製足箱の延焼を遅延させることができる知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実証試験として令和5年度に予定していた厳冬期災害演習2024は令和6年能登半島地震の災害対応に専従するため中止となった。研究費の繰り越しはこの要因による。 厳冬期に発災した令和6能登半島地震は寒冷期の避難所問題を浮き彫りにし、研究者自身が現地で対応したことで多くの知見を得た。本研究の推進が益々重要視されるとともに、早急に社会実装する必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の取り組みにより、これまでとは異なる手法で避難所の温熱を作り出し、かつ温かい換気をダクトヒーターで実現することが明らかとなった。しかしながら、ダクトヒーターの運用では安定的な電力が必要である。ガソリンを使用する発電機を持続運用することは難しく、避難所に展開するためにはより簡便な手法を取り入れなければならない。現場のニーズとの乖離は社会実装を困難とするため、厳冬期災害演習フィールドを通してより簡便で容易な展開手法の確立を今後の研究として位置付ける。能登半島地震の避難所事案を鑑み、避難者だけでなく支援者にも安全な温熱環境の提案が必要であることが浮き彫りとなった。火災予防の観点を踏まえ、大型ヒーターによる温熱の維持だけでなくパーソナルヒーターの安全な運用について令和6年度の研究で推進する。 令和5年度では火災設計未確立の避難所において、避難所で汎用されている暖房器具の基礎特性と火災対策検討を平行実施した結果、火災熱源特性を把握し、かつシーツ等上部素材の防炎化により延焼防止、及び延焼遅延ができることが分かった。火災は人命がかかる緊急課題であり、火災設計においてはこのようなマルチタスクが必要となる。
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