Project/Area Number |
22K04668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26010:Metallic material properties-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
尾中 晋 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40194576)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 結晶粒界 / 粒界面方位 / 方位差ダイヤグラム / 多結晶構造 / 双晶系粒界組織 / 方位差角ダイアグラム / Mackenzie分布 / 粒界方位 |
Outline of Research at the Start |
多数の結晶粒で構成される多結晶においては,3つの結晶粒が会合する粒界三重線も数多く存在する.しかし,これらを材料組織因子として評価・分類した研究は,理論的なものも実験的なものも過去の例は極めて乏しい.そこで本研究では,粒界三重線周りの結晶粒間の方位関係を定量的に評価・分類する新しい手段として方位差角ダイヤグラムを提示し,多結晶の物性解明への貢献を試みる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,金属材料の評価と性能向上を目指す試みとして,粒界三重線周りの結晶粒間の方位関係について考えるものである.多数の結晶粒で構成される多結晶においては,三つの結晶粒が会合する粒界三重線も数多く存在し,例えば塑性変形抑制箇所として,材料全体の物性を支配する因子となることがある.しかし,二つの結晶粒間の方位関係やそのあいだの結晶粒界に比較して,三つの結晶粒間の方位関係と粒界三重線については,それらを材料組織因子として評価・分類した研究は,理論的なものも実験的なものも過去の例は極めて乏しい.本研究ではこの課題に挑戦している. 粒界三重線周りの結晶粒間の方位関係を定量的に評価・分類する手段として,多結晶に含まれる粒界三重線周りの三つの結晶粒間の差方位角の分布を整理して示すことができる方位差角ダイヤグラムを提示してきている.今年度のこの方位差角ダイヤグラムに関係する成果は,超強加工とその後の焼鈍により作製した純銅微細粒多結晶における双晶系粒界組織の発達の解析である.現在,論文として国際誌に投稿中の状態であるが,双晶の多重形成とその結果としての三重線の形成を幾何学的な視点から考察し,実験結果との比較を行った内容となっている.また,Fe-Al合金における変形双晶の形成を実験的に調べ,{332}<113>双晶という特異な変形双晶の形成過程についての考察も行った.この結果は国際誌に論文として公表した.今後は,更に種々の金属材料における多様な組織変化についての考察を行い,方位差角ダイヤグラムの変化と粒界三重線が関与する多結晶物性の変化とのあいだの関連性を明らかにすることで,粒界三重線を材料組織因子として評価・分類するための研究を進めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに本研究で提示できた方位差ダイヤグラムは,粒界三重線回りの三つの結晶粒についての幾何学的な考察によって得られたものである.これは,三つの結晶粒のあいだの三つの方位差角とそれらのあいだの拘束条件を明らかにすることによって得られたものであり,三重線に関するものとして過去に例のない知見となっている.立方晶構造の結晶の場合,二つの結晶粒間について最大の差方位角をもたらす方位関係が,互いに隣り合う三つの結晶粒についてもそれらに含まれる三組の二つの結晶粒間について同時に満足される場合があることを示すことができた. また今年度は,双晶境界が存在する場合に結晶粒間の方位関係や粒界三重線の構造がどのようになるかということについての考察を行ない,その結果は日本金属学会の講演大会にて公表した.このような考察を行った理由は,特に面心立方構造を持ち積層欠陥エネルギーが低い場合に,金属や合金には高い頻度の双晶境界が含まれるためである.このような知見も含め,方位差角ダイヤグラムを作成して粒界三重線をその材料の評価因子とするための準備が順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
多数の結晶粒で構成される多結晶においては三つの結晶粒が会合する粒界三重線が数多く存在するが,これまでにも述べてきたように,これらを材料組織因子として評価・分類した研究は,理論的なものも実験的なものも過去の例は極めて乏しい.本研究は,粒界三重線を材料組織因子として評価・分類するためのもので,新しい手段として提示した方位差角ダイヤグラムを使って,今後も多結晶の物性解明への貢献を行う. 今後は双晶系粒界組織における結晶粒間の方位関係と粒界三重線に注目した研究にも重点を置く予定である.また,多結晶では,一般に,隣り合う結晶粒間のすべり系に方位差が存在する.多結晶における塑性変形を考えるうえで,これによるすべり変形の粒界での抑制が重要な因子になることはよく知られている.しかし,同様な塑性変形の抑制は粒界三重線周りでも起こり,その範囲は結晶粒径に匹敵するような範囲にまで拡がることが予備的な実験によってわかってきている.そこで本研究では,方位差角ダイヤグラムによる材料組織の評価・分類に加え,多結晶における塑性変形の粒界三重線周りでの抑制についても考察を行っていく.
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