Project/Area Number |
22K04683
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26020:Inorganic materials and properties-related
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
浅野 貴行 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (00301333)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | モリブデン酸銅 / マイクロ波 / クロミズム / マイクロ波加熱 |
Outline of Research at the Start |
モリブデン酸銅(CuMoO4)とモリブデン酸コバルト(CoMoO4)は,外部刺激によって色が可逆的に変化する「クロミズム」の機能を有する磁性材料である。しかし,クロミズムの起源である構造相転移に伴う巨大な体積変化により,材料内に不均一な粒径分布が生成されるため,クロミック材料の機能制御に多大な悪影響を及ぼしていることが明らかとなった。本研究では,マイクロ波照射の特徴である選択加熱を最大限に活用し,均一粒径を有するクロミック材料を創製する。そして,温度・圧力・磁場の熱力学変数に「粒径」を加えた四変数を自在に制御した実験環境により,内在する新奇複合クロミック機能を磁気異常として観測する。
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Outline of Annual Research Achievements |
モリブデン酸銅(CuMoO4)は,外部からの何らかの刺激によって色が可逆的に変化するクロミズムの機能を有する磁性材料である。しかし,このクロミズムの起源である構造相転移に伴う巨大な体積変化により,材料内に不均一な粒径分布が生成されるため,クロミック材料の機能に多大な悪影響を及ぼしていることが明らかとなった。 本研究では,マイクロ波照射の特徴である選択加熱を最大限に活用し,均一粒径を有するクロミック材料の創製を目的としている。 本年度は,昨年度設備備品として整備した2.45GHzシングルモード加熱装置を用いて,CuMoO4の出発物質である酸化銅(CuO)と酸化モリブデン(MoO3)に対してマイクロ波照射を実施した。その結果,CuOは,2.45GHzシングルモードアプリケーター内の電場及び磁場最大の両位置において,試料温度が容易に上昇をした。この現象は,CuOが誘電性と磁性の両性質を有しているためである。それに対してMoO3では,電場最大の位置でのみ温度上昇を確認した。その原因として,MoO3のMo6+が閉殻構造であるため不対電子が存在せず,マイクロ波の磁場に対して応答しなかったことが考えられる。そこで,これら出発物質の誘電性と磁性の相違点を有効に利用するため,磁場最大の位置における選択加熱を実施した。使用した出発物質のCuOとMoO3は,遊星型ボールミル粉砕機を用いて数ミクロンまで粉砕した。粉砕前と粉砕後の二種類の出発物質に対して,マイクロ波照射による固相反応を実施した結果,粉末試料の合成に成功し,また,磁気的性質から,明らかに粒径が違いに起因する磁気的異常が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に整備した2.45GHzシングルモード加熱装置は,順調に稼働している。本研究において注目しているクロミック材料のモリブデン酸(CuMoO4)は,これまで電気炉等の外部加熱を用いた固相反応により粉末試料を合成していた。しかし,本研究において,初めてマイクロ波照射による自己発熱(内部加熱)を利用して粉末試料の合成に成功した。また,出発物質の誘電性と磁性を考慮したマイクロ波選択加熱を活用することにより,粒径を制御したCuMoO4の合成,さらに磁気的性質の制御へと展開する可能性を示唆する実験結果が観測されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2.45GHzシングルモードマイクロ波加熱装置を用いて,アプリケータ内の電場及び磁場最大位置における誘電性と磁性を考慮した選択加熱による試料合成が実施できることが明らかとなった。そこで,ミクロスケールにおいてマイクロ波の選択加熱に起因する巨大な温度勾配(温度差),即ち,高温のCuOから低温のMoO3への非平衡状態下での固相拡散を利用した粒径制御を実証するため,粒径の異なる多数個の出発物質を準備し,粉末試料の合成を実施する。その結果,マイクロ波における選択加熱機構の解明し,さらに,微視的及び巨視的な実験手段を駆使して新奇多重クロミズム物性の実験的解明を試みる。
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