Project/Area Number |
22K04743
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26040:Structural materials and functional materials-related
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
三谷 祐一郎 東京都市大学, 理工学部, 教授 (60732641)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | シリコン窒化薄膜 / 水素 / ナノ欠陥 / エネルギー準位 / 信頼性 / シリコン窒化膜 |
Outline of Research at the Start |
スマートフォンやパソコンで大事なデータを保存する記憶素子(メモリ)では、記憶を司る材料であるシリコン窒化薄膜の品質の向上が重要になる。これに対し、優れた記憶力を発現させるためには、シリコン窒化薄膜中のナノレベルの構造の理解に基づく設計指針の構築が必要である。本研究では、シリコン窒化薄膜のナノ構造制御技術とマクロ特性である電気的性質との相関を実験的に明らかにし、優れた記憶力を有するメモリ機能素子実現を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
シリコン窒化薄膜(窒化ケイ素薄膜)中の局所電子構造(電子捕獲型準位=ナノ欠陥構造)について、2022年度ではマイクロ波励起水素プラズマを用いた低温処理でホールの伝導や捕獲に寄与するナノ欠陥構造のエネルギー準位の深化を実証した。この現象の起源は原子状水素が膜中の水素と反応し除去されるという仮説を立てたが、実際には厚さ80nmのうち表面10-20nmの領域のみが水素濃度が減少すると言う結果で、電気特性解析の結果との整合性がとれていなかった。そこで2023年度では、①水素の同位体である重水素を用いたマイクロ波励起プラズマプロセスを適用し、既存の膜中水素(軽水素)とプラズマプロセスにより外方から導入される水素との切り分けを行う、②X線光電子分光法による水素結合の変調を詳細に調べることで、外方からの水素による膜中含有水素の解離反応の痕跡を把握する、ことについて詳細に調べた。その結果、重水素は80nmのシリコン窒化膜全体に侵入していること、X線光電子分光法から水素結合のスペクトルがマイクロ波励起水素プラズマプロセス時間の増加とともに減少していくことが明らかとなった。つまりこのことはマイクロ波励起水素プラズマプロセスによって、シリコン窒化膜の含有水素結合が導入水素と反応し解離し、その結果として表面近傍水素は外方拡散で膜外に除去され濃度が減少するが、膜中は低温プロセスが故に水素解離反応は発生するものの外方拡散できずに膜中に留まり、見かけ上水素濃度は変化していないが電気特性からはナノ欠陥構造の減少が起きているという結果を示していると考えられる。さらにこの結果の裏付けとして、③昇温脱離ガス分析法を用いて水素脱離の温度依存性を調べたところ、水素プラズマプロセス処理を施していないサンプルと比較して、低温での脱離ガス量が増大すると言う結果が得られ、推察した物理モデルを裏付けていると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度では、、マイクロ波励起水素プラズマ装置を用いて原子状水素を供給し、低温・非平衡条件下でシリコン窒化薄膜中の水素濃度減少に関して、MISキャパシタ(金属/絶縁膜/Si構造)を試作し電気特性から計測・解析する事を目標にし、一部2022年度に前倒しで進めていた。そのため2023年度ではマイクロ波励起水素プラズマプロセスによるナノ欠陥構造のエネルギー準位変調のメカニズムの探求に重点を置くことができ、①水素の同位体である重水素のの活用、②物理分析による膜中反応過程の検討を進め、本研究で仮定・推察していた微視的描像の解明に向けて大きく前進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究テーマの最終年度となる2024年度に実施する具体的な研究のポイントは下記の2つとなる。 (1)水素起因ナノ欠陥構造と電子伝導及び電子捕獲特性との相関 2022年度と2023年度では、シリコン窒化薄膜中の水素を制御することでホール伝導及びホール捕獲に寄与するナノ欠陥構造のエネルギー準位とその量(トラップ密度)の変調とその機構を実験的に捉まえることができた。しかし、電子デバイスにおいては電子と正孔に対する特性が性能上重要である事から、2024年度では電子についても水素起因ナノ欠陥構造との相関を明らかにする研究を進める。例えば、伝導特性や捕獲特性を調べるにあたり、シリコン窒化薄膜とシリコン基板との間に、バンドギャップ(禁制帯幅)の大きいシリコン酸化薄膜を挟むことにより、ホール伝導やホール捕獲を抑制することができ、電子に対する情報を得ることが可能となる。また、シリコン窒化薄膜上に異種絶縁膜を積層する事で、MONOS構造(金属/酸化物薄膜/シリコン窒化薄膜/シリコン酸化膜/シリコン基板の積層構造)を作成することにより、電気ストレスによる水素分布や電荷移動解析が可能となる。 (2)ナノ欠陥構造の経時変化挙動(信頼性)のモデル化 上記のMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)構造素子を用いてナノ欠陥構造への電荷捕獲の時間依存性で計測する。このナノ欠陥構造への電荷捕獲の時間依存性の計測は、2022年度に前倒しで確立した荷電中心位置計測技術を用いる。高電圧印加などによる電気的ストレス下で生成されるなの欠陥構造と含有水素量に起因した既存欠陥構造との切り分けや相関関係を電荷捕獲分布や電荷移動を調べることにより、シリコン窒化薄膜の信頼性と膜中水素の相関を明らかにする。
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