Project/Area Number |
22K04781
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26050:Material processing and microstructure control-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 哲也 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10286635)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 大気圧プラズマ法 / リモート型 / ガスバリア特性 / リモート式 / シリカ膜 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,大気圧プラズマ法によりシリカ系薄膜(SiOCH)を透明樹脂基材上に作製する.大気圧プラズマ法では,電極間の距離が狭く,基材を直接電極間に挿入するダイレクト式では薄いフィルム状基材にしか被覆できない致命的な課題がある. 本申請では,この課題を克服して,リモート式大気圧プラズマ法で良質のシリカ膜を合成することを目的とする.また,膜成長率を向上させ,良質な膜を合成するためのメカニズムを解明し,最終的には「新しい装置デザイン」を提案する計画である.具体的には,十分な密着強度を有し,真空で作製した薄膜と同等な特性を有した膜を作製する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,大気圧プラズマ法によりシリカ系薄膜(SiOCH)を透明樹脂基材(ポりカーボネート:PC)上に作製するのが最終目的である。大気圧プラズマ法では、電極間の距離が狭く(1-3ミリメートル)、基材を電極間に挿入するダイレクト式ではフィルムしか被覆できない致命的な課題がある。この課題を克服して、リモート式大気圧プラズマ法で良質のシリカ膜を合成し、また膜成長プロセスを解明し、最終的には「新しい装置デザイン」を提案するのが本研究全体の目標である。過去の研究では、シリコン基板上に作製したSiOCH膜の硬さは約4GPaであり、通常のガラスの硬さ、約7GPaに近づいている。2022年度は、ペットボトル表面にシリカ系薄膜を合成することで、ボトル本体のガスバリア性(酸素や二酸化炭素などの気体が透過しない程度を示す指標)を向上させることを目的とした。成膜装置は、対向した電極間にガスを流入し、電圧を印加することでプラズマを発生させて薄膜を合成する構造となっているが、従来の装置では電極長さの変更ができず、電極長さの最適化が不可能であった。また、ガス温度が低温であるためプラズマの活性が低い状態であり、薄膜の密度が十分でなかった。そこで2022年度は、1.電極長さが可変、2.ガスの高温化(ガス通路を高温電極真横に設定)、の2点が実現する装置を新たに設計・製作した。新装置を用いた実験では、噴射ガス温度が従来装置44℃から新装置77℃(PETが変形しない限界温度)まで上昇したことが確認でき、成膜した薄膜はガスバリア性(水蒸気透過率測定装置)、Si含有割合(EDX)、密着性(スクラッチ試験機)の3つの評価項目(括弧内は測定方法)において従来装置を用いた場合よりも優れていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新装置を用いて電極長さおよび処理時間の最適化実験を実施した。 電極長さ最適化実験では、電極長さを40,70,100mmと変化させ、70mmのとき最もガスバリア性が高かった。これは電極が長い方が電極温度が高く、さらに通過距離も長くなることでプラズマガスの活性が増大したためだと考えられる。一方、電極100mm時には噴射ガス温度が99℃となり、PET基板のガラス転移点を上回ったため、ガスバリア性が低下した。 次に、100mmの電極では基板が変形したため、噴射ガス温度を抑えるために処理時間を短くする実験(処理時間最適化実験)を行った。本実験では100mmの電極を用い、基板を移動させる速度(以後、台速と呼ぶ)を0.1,0.2,0.3mm/sec.と変化させた。その結果、台速が速いほど噴射ガス温度は下がり、0.3mm/sec.のときには70℃を下回ったが、ガスバリア性やSi含有割合は前の実験の電極70mm、台速0.1 mm/sec.の時が最適であった。これは台速を速くし処理時間を短くすると、単位面積あたりに基板上に堆積する前駆体の数が減少し、膜密度が低くなるためであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は1.新装置を用いた実験、2.ボトルへの成膜、3.さらに新たな装置の開発、の3点を進めていく。1.2022年度製作した新装置では電極長さと処理時間の最適化を行った。成膜にはほかにもガス流量や印加電圧、電極と基板の距離など、その他の各種条件があり、それらの最適化を行う必要がある。2.前述の実験は全てPETフィルム表面にシリカ系薄膜を成膜するものであったが、フィルムへの成膜条件最適化を検証したのちに、ボトルへの成膜実験を開始する。ボトルへの成膜実験には、薄膜を合成するヘッドだけでなく、ボトル本体を回転させる機構が必要となるため、佐々木工機株式会社と連携のもと、ボトル回転装置の製作に取り掛かる。上記の実験をもとに新装置の問題点を確認し、さらに高ガスバリア性と高効率を達成する新たな装置の開発に取り組む。上述の通り、装置の改良と新開発、実験を繰り返すことによって、最終的にはガスバリア性10倍(ガスの透過量を10分の1に抑える)を達成するシリカ系薄膜の成膜装置を開発することが目標である。
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