Project/Area Number |
22K04790
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26060:Metals production and resources production-related
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
正木 匡彦 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00360719)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 炭素材料 / 溶接接合 / 炭素化合物 / 凝固組織 / 接合 / グラファイト / 溶接 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、新たな耐熱性構造材料として期待されている炭素繊維強化グラファイト(C-Cコンポジット)などの純グラファイト材料に対して、炭化ホウ素(B4C)を融剤とした溶接加工の技術を確立することにある。これまでの研究から炭化ホウ素を用いて高純度アルゴン雰囲気下(大気圧)における無酸素アーク溶接を行うことにより、焼結グラファイトやガラス状炭素(グラッシーカーボン)のロウ付けができることを見出した。本研究計画はその成果をさらに発展させ、自動車や航空機など超軽量構造材料としての用途が見込まれるグラッシーカーボンやC-Cコンポジットなどより強度の高い炭素素材の溶接接合の技術の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、燃費向上などの観点から自動車や航空機などの構造材料の軽量・高強度化が強く望まれている。C-FRPは航空機や自動車などの広く用いられているが、エポキシ樹脂などのバインダー部の耐熱温度(数百℃)が使用できる上限温度になっている。一方で、ロケットエンジンのノズルなどの超高温環境に使用される耐熱性のカーボン系材料として炭素繊維強化グラファイト(C-Cコンポジット)が開発されている。しかしながら、これらの材料は一体成型・焼結により作られるため大型の部品が作りにくく、大型機器の構造材料に使用するにはコストや精度の面に課題を有している。本研究は、低融点の融剤(フラックス)を用いることで炭素系複合材料の溶接による構造体形成を可能にし、低コスト・高精度な小型部品のインテグレートによる大型構造物の構築法の確立を目指している。 本研究は、B4Cを融材としたグラファイト系複合材料の溶接接合技術の確立を目的とし、材料工学的な視点からグラファイト系材料の溶融・凝固を解析し、従来の金属材料との共通点や差異を明らかにする。これまでの研究において、焼結炭素やグラッシーカーボン上においてB4C―炭素合金の溶融実験を行ったところ、炭化ホウ素側への炭素の良好な溶け込みと微細な組織の形成が明らかになった。この知見を発展させ、いくつかの炭素系複合材料(焼結グラファイト,炭素繊維―炭素コンポジット材料,グラッシーカーボンなど)と上記のB4C―炭素合金を接触溶融させ、接合の際の溶け込みの状況や接合部の組織形成を調べた。酸素濃度を制御した環境においてB4Cを融剤としたアーク溶接をすることにより、高い接合性を示すことが明らかになった。高速度カメラや放射温度計による溶接過程の詳細な観察,引張強度試験,SEM・EPMAによる組織観察などw組み合わせて最適な接合プロセスの解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において、炭化ホウ素を融剤として用いることで焼結グラファイトの溶接接合が可能となることを見出している。また、本年度の研究において、炭化ホウ素とグラファイトの濡れ性を向上させるために微量のアルミニウムを添加してアーク溶接をすることにより、融剤の良好な溶け込みと微細化した組織が形成されることが明らかになった。接合部の強度試験(引張強度)においても、治具や試験片の嵌合部の設計を見直すことにより定量的な測定が可能となり、焼結グラファイトの強度の65%程度の引張強度を有することが確認された。 炭化ホウ素とグラファイトの濡れ性を向上させるために微量のアルミニウムを添加し、それを融剤として不活性ガス中で焼結グラファイト棒の端部をアーク溶接したところ、グラファイト棒の突き合わせ溶接をすることができた。溶接部に生じている物質についてX線構造解析をしたところ, B13C2およびAlB12が生成したことが確認された。溶接した試料の引張方向の接合強度について引張試験機を用いて測定した。引張試験の治具や試験片の嵌合部の見直しを行い、強度をより高精度に測定する方法を確立した。また、炭化ホウ素単体を用いたときよりもアルミニウムを添加したほうが強度が向上したが、アルミニウムが過剰になると逆に強度が低下した。炭化ホウ素に対して質量比で数%程度のときが最も強度が高く、母材の焼結グラファイトの60%程度の強度が得られることが明らかになった。EPMAを用いてアルミニウムやホウ素の分布を調べたところ、最大強度となる塑性において最も均質な分布を示すことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終的な目標はC/Cコンポジットの溶接接合である。これまで比較的安価な焼結グラファイトを用いて溶接条件や付随する溶融・凝固現象の理解を勧めてきたが、おおよその条件が見出されたことから今後はC/Cコンポジットの溶接へと移行する。C/Cコンポジットの試験片の形状は焼結グラファイトと同様の形状とする。試験片の試作はすでに完了しており試験的な溶接接合を行ったところ、焼結グラファイトと比較して溶融炭化ホウ素の試験片との濡れ性に違いが現れることが見出された。C/Cコンポジットと焼結グラファイトの熱伝導率が異なるため、同一のアーク条件でも接合部近傍の温度勾配に差が生じ得る。その結果として融剤の表面張力差誘起対流(マランゴニ対流)の違いが生じており、試験片表面への融剤の広がりが異なることが予想される。今後は、高速度カメラや放射温度計を用いてそれらの挙動の違いを明らかにし、C/Cコンポジットの接合条件の最適化と接合部の強度を明らかにする。また、焼結グラファイトと同様にEPMAなどの機器分析法により接合部の組成分布や微細組織を調べ、接合強度の向上へ向けた現象の理解を進める。 これらの実験と並行して、伝熱計算等による試料片内部の温度分布と接合強度の関係を調査する。解析のソフトウエアとしては、まずCADなどに付属する簡易なものを使用するが、必要に応じて所属の大学がライセンスを所有する専用ソフトウエアの使用を検討する。これらの成果を総合して2024年度において特許の申請を目指す。
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