電子格子結合の制御に基づく高性能熱電物質の理論設計指針の探究
Project/Area Number |
22K04908
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29010:Applied physical properties-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
越智 正之 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10734353)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 電子状態計算 / フォノン / 熱電効果 / ゼーベック効果 / 第一原理計算 / 熱電変換 / 電子フォノン結合 |
Outline of Research at the Start |
熱エネルギーと電気エネルギーの相互変換を熱電変換という。特にゼーベック効果を用いると、利用されずに捨てられている熱を、電気エネルギーに変換して活用することが可能となるため、クリーンエネルギー技術として注目されている。ここで、固体中の輸送特性は電子-フォノン結合などによる散乱効果に強く支配される。しかし現在のところ、電子-フォノン結合と熱電性能の関係について十分には理解されていない。本研究は、電子-フォノン結合系におけるどのような特徴が熱電性能に影響を及ぼすのかを明らかにし、熱電物質の新しい設計指針を探究することを目的とした、第一原理計算に基づく理論研究を行なうものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、電子状態・フォノン状態とそれらの結合に注目して、熱電物質の新しい性能向上指針を探るものである。そこでは、理論計算手法として第一原理計算と有効模型計算を相補的に組み合わせて用いる。 当該年度は、第一年度に引き続き、電子フォノン相互作用を含んだ有効模型の解析を行なった。特に、マルチバレーバンド構造において、バレー間散乱が強い場合に非自明な現象が起こることが明らかになった。一般には散乱効果は電気伝導を妨げるものであり、ネガティブな効果があるものと考えられることが多い。しかし、散乱効果によってバンドの一部を選択的に短寿命化することで、有効的に状態密度の高いバンド端を生み出すことが可能であることがわかった。特に、ゼーベック効果は電子キャリアとホールキャリアのうみだす電位の相殺が弱いときに強くなることが知られているため、電子寿命の電子ホール非対称性が鍵となることが明らかになった。従来の熱電物質の設計指針は、電子とホールとで状態密度や群速度に差をつけるものが多い(あるいは、バンド端という電子・ホール間に差がついている状況を前提として、全体の状態密度を低次元化やマルチバレー化などによって高めるものが多い)。寿命の非対称性という考え方は新しい設計指針となりうるものであり、興味深い。本研究成果は学術論文として出版(Physical Review B誌)し、また、日本物理学会や米国物理学会といった複数の学会における発表も行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定よりも有効模型計算を主とする方向に展開しているものの、電子フォノン結合に着目した電子・フォノン状態の設計指針の探索という目的に沿った研究が着実に推進している。明確な設計指針が得られたことも大きな成果の一つである。全体としておおむね順調に進展しているといって良いと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の大きな課題は、得られた設計指針をいかにして現実物質において実現するか、という具体的な物質における方針を明確にすることである。そのため、現実の熱電候補物質の第一原理計算を進めるほか、モデル計算においても、これまで考えたものとは異なる状況において、ここで考えている電力因子向上指針がどのように働くのかを検討する。現実の状況に近づけたモデリングについても検討を進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)