Project/Area Number |
22K04913
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29010:Applied physical properties-related
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Research Institution | National Institute of Technology(KOSEN),Numazu College |
Principal Investigator |
大澤 友克 沼津工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (60414108)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | スキルミオン / 周回レーストラックメモリ / 多層構造 / レーストラックメモリ / スキルミオン間相互作用 / スキルミオントンネル現象 / 磁性多層膜 / スピン流 / 磁性/非磁性多層膜 |
Outline of Research at the Start |
不揮発性のワーキングメモリとして実現が期待されているレーストラックメモリは、磁性細線に並べられた磁区やスキルミオンをスピン偏極電流で駆動する。ビット当たりの読書部の数が少なく構造が単純で、大容量化が期待されている。 本研究では、記憶容量の倍増を目指した周回構造化実現のため、情報担体として利用するスキルミオンの非磁性絶縁体トンネル現象を解明する。更に、多層構造を用いることでデータ保持(安定動作)に必要なスキルミオン間距離を保持する方法を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スキルミオンを情報担体として用いた高集積周回レーストラックメモリの安定動作を目的としている。レーストラックメモリは、磁性細線に並べられた磁区をスピン偏極電流で駆動する。ビット当たりの読書部の数が少なく構造が単純で、大容量化が期待できるが、(1)安定動作のために磁区間隔を保つことや(2)大容量化に対する構造上の欠点を解消することが実用化に向けた課題である。計算には、マイクロマグネティクスシミュレーションを用いる。 2023年度は、(2)について研究を行った。ここで構造上の欠点とは、磁性細線の半分が余白として使用されることである。そこで本研究では、磁性細線の両端を非磁性絶縁体を介して接合させるレーストラックメモリの周回構造化により、磁性細線の全領域にデータを保存させることを目指している。接合部の構造として、非磁性絶縁体を強磁性金属で挟んだ3層構造を考える。下層のスキルミオンが進行し、上層がスキルミオンの形状に転写されれば、磁気的な性質で離れた空間を移動し、非磁性絶縁体をトンネルしたことになる。単純な3層構造ではなく、積層構造を階段状に変化させ、全体の細線の厚さを一定にし、スキルミオンが感じる形状変化を抑えた構造で計算を行なった。 その結果、非磁性絶縁体を介した強磁性金属層間の交換相互作用が無いとした場合、絶対零度の計算ではスキルミオンが転写されず、温度の導入が不可欠であることが分かった。また狭い温度帯であるが、スキルミオンが強磁性金属層間を転写する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、大きく2つの課題に分けられる。1つはスキルミオン間隔の安定化であり、もう一方は周回構造レーストラックメモリに必要となるスキルミオントンネル現象である。1つ目のスキルミオン間隔の安定化については、トリガ層のみにスピン偏極電流を流す省電力化を目指した研究成果として論文発表している(J. Phys. D: Appl. Phys. 55 (2022) 475002 (7pp))。 2つ目の課題であるスキルミオントンネル現象について、非磁性絶縁体を2つの強磁性金属で挟んだ3層構造を考え、両方の金属層にスピン偏極電流を流してスキルミオン駆動の計算を行う。下層のスキルミオンが進行し、上層がスキルミオンの形状に転写されれば、磁気的な性質で離れた空間を移動し、非磁性絶縁体をトンネルしたことになる。積層構造を階段状に変化させることで細線構造全体の厚さを一定にし、スキルミオンが感じる形状変化を小さくさせた構造とする。1段ごとの長さをスキルミオンサイズよりも大きくすることで、安定したスキルミオンの移動を目指した。 その結果、非磁性絶縁体を介した強磁性金属層間の交換相互作用が無いとした場合、絶対零度の計算ではスキルミオンが転写されず、温度の導入が不可欠であることが分かった。また有限温度とした場合、高温ではスキルミオンが安定せずに崩壊、または無秩序に生成されてしまい、低温では上層への転移が起こらない。その境界の狭い温度帯であるが、スキルミオンが強磁性金属層間を転写する可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
周回レーストラックメモリ実現のための残る課題として、安定化したスキルミオン間隔での、スキルミオントンネル現象の確認がある。これにはまず、等間隔に敷き詰めたスキルミオンが非磁性絶縁体を連続的に通過することを確認する必要がある。次に、スキルミオンが連続的な通過を確認できた模型をトリガ層と考え、その上にデータ層を配置する。その模型のトリガ層のみにスピン偏極電流を流し、データ層のスキルミオンが安定してトリガ層のスキルミオンに追従するかを調べる。 スキルミオンの通過には温度の導入が必要であり、温度の導入によってスキルミオンの安定度は低下することがわかっている。そのため、まずは安定して連続的なスキルミオンが通過できるような構造を明らかにする。強磁性金属として、実験でスキルミオンの電流駆動が観測されているTbFeCoやCoFeBの値を用いる。非磁性絶縁体の領域では、飽和磁化と電流値をゼロにする。パラメータとして、階段状の非磁性絶縁体部分の長さやその厚さ、温度を変化させて最適化する。次にデータ層を配置して同様な計算を行う。 本研究はマイクロマグネティクスシミュレーションにより磁化状態の時間発展を計算するため、長時間の計算では計算誤差が大きくなると考えられる。そのため必要に応じて倍精度計算を実行し、計算精度の確認を行う。
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